平和な日常~春~
それから二時間が過ぎた頃、静まり返った店内では横島に注目が集まっていた
「さっき君が選んだカードはハートのキングだ」
「おおー!!」
横島があるカードの名前を告げると、周りで見ていた2ーAの生徒達は歓声と拍手で盛り上がる
「んじゃ次は物質移動のマジックだ。 これは俺が合コン用に覚えたやつなんだが……」
鳴滝姉妹やまき絵などが最前列で見守る中、何故か店内は横島のマジックショーになっていた
あの後食事をした横島はせがまれるように占いを何人かにしていたのだが、誰かが面白い事をやってと言った為にいつの間にかマジックショーになっているのだ
ちなみにこれは普通のマジックで、正真正銘タネも仕掛けもある
かつて女の子にモテたい一心でマジックを覚えたのだが、披露してもモテなかった記憶がある思い出のマジックだった
「本当、いろいろ芸の細かい人ね」
「ホンマやわ~」
軽快なトークでマジックを披露する横島に、明日菜と木乃香にはちょっとした売れない芸人に見えてしまう
何故売れないかと言われれば、どこにでもあるようなマジックとどこかで聞いたようなトークなのだ
なんと言うか微妙に新鮮味がないマジックだった
一方そんな横島の手品を真剣な面持ちで見つめていたのは刹那である
開店初日以来木乃香達のおかげでほとんどクラスメートが来店していたが、実は刹那は初めてだったのだ
まあ横島ならば普通に客として来たならば特に問題になどしないのだが、刹那は相変わらず勝手に壁を作っていたのだから
(普通の人ですね……)
今回クラスメートに流されるまま着いて来た刹那は横島を知るいい機会だと考えていたのだが、結果から言うと占い以外は普通の人だった
やはり占いには僅かに力を感じたが、あれが狙った物なのか無意識なのかは刹那には分からない
加えてその他の行動は、当然普通であり怪しいところなどなかったのである
「龍宮どう思う?」
「マジックが上手いな。 あれならば宴会芸にピッタリだ」
「いやその話じゃなくて……」
刹那は裏の世界と関わりが深く自分よりも経験がある龍宮真名に横島の感想を聞くが、真名の答えは全く関係ないマジックの評価だった
「普通の一般人ではないだろう。 ただ確証はないがな」
少し困った様子の刹那に真名はクスッと笑い答えを話し出す
どうやら刹那の問い掛けの意味を分かっていてわざとはぐらかしていたらしい
「やはりか……」
「ちょっと見た感じだとそれほど実力者には見えないな。 ただ実力は上に行けば行くほど隠したがる者は多いし、隠し玉の一つや二つは誰だって持ってる。 用心するならば実力者とみるかな」
横島が一般人ではないと言い切る真名に刹那はなんとも言えない表情をするが、真名は現状からの推測を述べていく
ちなみに真名の魔眼では横島の正体や隠された力を見破ることなど出来ない
横島は当然として魔眼などへの対策をしている
まあヒャクメクラスの能力者が近くに来たならば別なのだろうが、厄介事が嫌いな横島は自分の正体の秘匿にはかなり気を使っているのだ
そんな真名が横島を実力者かもしれないと判断したのは、彼女の経験からくる推測だった
長年戦場や危険な仕事を請け負って来た真名は、相手を一見しただけの見た目で判断するほど愚かではない
横島自身には何の力も感じないし占いに僅かに力を感じた程度で弱そうではあるのだが、動きや何気ない仕種が真名は少し気になっていた
「さっき君が選んだカードはハートのキングだ」
「おおー!!」
横島があるカードの名前を告げると、周りで見ていた2ーAの生徒達は歓声と拍手で盛り上がる
「んじゃ次は物質移動のマジックだ。 これは俺が合コン用に覚えたやつなんだが……」
鳴滝姉妹やまき絵などが最前列で見守る中、何故か店内は横島のマジックショーになっていた
あの後食事をした横島はせがまれるように占いを何人かにしていたのだが、誰かが面白い事をやってと言った為にいつの間にかマジックショーになっているのだ
ちなみにこれは普通のマジックで、正真正銘タネも仕掛けもある
かつて女の子にモテたい一心でマジックを覚えたのだが、披露してもモテなかった記憶がある思い出のマジックだった
「本当、いろいろ芸の細かい人ね」
「ホンマやわ~」
軽快なトークでマジックを披露する横島に、明日菜と木乃香にはちょっとした売れない芸人に見えてしまう
何故売れないかと言われれば、どこにでもあるようなマジックとどこかで聞いたようなトークなのだ
なんと言うか微妙に新鮮味がないマジックだった
一方そんな横島の手品を真剣な面持ちで見つめていたのは刹那である
開店初日以来木乃香達のおかげでほとんどクラスメートが来店していたが、実は刹那は初めてだったのだ
まあ横島ならば普通に客として来たならば特に問題になどしないのだが、刹那は相変わらず勝手に壁を作っていたのだから
(普通の人ですね……)
今回クラスメートに流されるまま着いて来た刹那は横島を知るいい機会だと考えていたのだが、結果から言うと占い以外は普通の人だった
やはり占いには僅かに力を感じたが、あれが狙った物なのか無意識なのかは刹那には分からない
加えてその他の行動は、当然普通であり怪しいところなどなかったのである
「龍宮どう思う?」
「マジックが上手いな。 あれならば宴会芸にピッタリだ」
「いやその話じゃなくて……」
刹那は裏の世界と関わりが深く自分よりも経験がある龍宮真名に横島の感想を聞くが、真名の答えは全く関係ないマジックの評価だった
「普通の一般人ではないだろう。 ただ確証はないがな」
少し困った様子の刹那に真名はクスッと笑い答えを話し出す
どうやら刹那の問い掛けの意味を分かっていてわざとはぐらかしていたらしい
「やはりか……」
「ちょっと見た感じだとそれほど実力者には見えないな。 ただ実力は上に行けば行くほど隠したがる者は多いし、隠し玉の一つや二つは誰だって持ってる。 用心するならば実力者とみるかな」
横島が一般人ではないと言い切る真名に刹那はなんとも言えない表情をするが、真名は現状からの推測を述べていく
ちなみに真名の魔眼では横島の正体や隠された力を見破ることなど出来ない
横島は当然として魔眼などへの対策をしている
まあヒャクメクラスの能力者が近くに来たならば別なのだろうが、厄介事が嫌いな横島は自分の正体の秘匿にはかなり気を使っているのだ
そんな真名が横島を実力者かもしれないと判断したのは、彼女の経験からくる推測だった
長年戦場や危険な仕事を請け負って来た真名は、相手を一見しただけの見た目で判断するほど愚かではない
横島自身には何の力も感じないし占いに僅かに力を感じた程度で弱そうではあるのだが、動きや何気ない仕種が真名は少し気になっていた