平和な日常~春~

明日菜・木乃香・夕映が心配するような呆れるような表情で見つめる中、横島はタラリと冷や汗を流してしまう

特に悪い事をしてる訳ではないのだが、女性のこう言った視線は苦手であった


「あー、金なら心配いらんぞ。 実は株とかでちょこちょこっと稼いでるからな」

「かぶ……?」

若干考えた後で観念したように説明を始める横島だったが、驚きと納得の表情の木乃香と夕映に対して明日菜は一人首を傾げる


「株式投資の事ですよ。 企業の株式の売り買いで利益を上げる事です。 近年では比較的少ない資金をインターネットで取引出来るので、特に珍しい行為ではありませんが」

ピンと来ない明日菜に夕映が補足するように説明を始めるが、明日菜は半信半疑といった感じだ

もちろん明日菜も株式をサラっとは知っているが、実はよく理解してなかったのである


「そんなに儲かるん?」

「うーん、ぼちぼちかな。 損しない程度にやってるだけだからな。 あと店の食材なんかは商売やってる知り合いから安く譲ってもらってるから、物の割には高くないんだわ」

僅かに驚きの表情の木乃香に横島は嘘と真実を混ぜた説明をしていく

実際土偶羅に任せた株取引はそれほど大きな利益は上げてなく、家賃や光熱費などの経費を払う程度に押さえられている

横島はそれに仕入れを安くしているとの嘘を交えて説明していた


「まあそれはそれとしても、過剰なサービスはどうかと思うです。 少し気をつけた方がいいですよ」

木乃香と明日菜は横島の説明でだいたい納得していたが、夕映はそれとは別問題だといいサービスをほどほどにするように告げる

そんな夕映の言葉には納得したはずの木乃香と明日菜も、最もだと言わんばかりに頷く

三人は確かに横島の懐具合を心配していたが、夕映は収入源の有無よりも横島の金銭感覚の無さを心配していた

というか横島には実家が金持ちだと言う噂がある為、夕映は前々から他の収入源があると予測していたようだ

そのため他の収入源の存在よりも、横島の金銭感覚の無さを気にしていたのである


「そうだな。 やり過ぎないように気をつけるよ」

若干苦笑いを浮かべつつも素直に頷く横島に夕映は少しホッとした表情をするが、同時に今回は仕方なかったとも思う

超包子の面々が無料で高級中華を振る舞ってしまったため、横島としても店主としては安い料理を出せなかったのだろうと勝手に推測していたのだ

しかし横島はそこまで考えてなく、超達につられるように作っただけだという事実には気付かなかった

夕映の洞察力と思考力は素晴らしいのだが、今回はズレた推測だったようである


「せっかくだから俺もちょっと食わせて貰おうかな。 超包子の料理が気になってたんだよな~」

夕映達がそれぞれに思いを抱く中、横島は超包子の料理が食べたいと店内に向かう

普通はそんなことをする店主は居ないと木乃香達は思うのだが、横島だし2ーAのクラスメート達は誰も問題にしないだろうと思い自分達も店内に戻っていく


61/86ページ
スキ