平和な日常~冬~3

この頃、ネギは祖父とネカネとアーニャとの四人で魔法世界の中立都市国家の更に辺境の海辺の町に家を借りて住んでいた。

ネカネに関しては以前に少し説明したがメルディアナ魔法協会が混乱するに従ってスプリングフィールド一族の人間として冷遇された結果、メルディアナ魔法協会を抜けて祖父とネギの元に身を寄せている。

アーニャはそんなネギやネカネを追うように同じく魔法協会を抜けてネギ達を追いかけて来ていた。

まあアーニャに関しては元々は両親がナギにゆかりのある者だったことから前魔法協会会長だったネギの祖父の庇護を受けていたが、その後ろ盾を失ったこととメルディアナ魔法協会内でナギにゆかりのある者への冷遇がされ始めるとネカネ同様にさっさと魔法協会に見切りを付けている。

尤もアーニャ自身はロンドンで修行中だったのでさほど冷遇されたりすることもなく指導に当たっていた魔法使いも彼女を守っていたが、将来的なことを考えて指導していた魔法使いはアーニャに魔法協会からの脱会と魔法世界行きを早くから勧めていた。

ちなみにメルディアナ魔法協会から脱会した魔法使いはこの半年でかなりの数に上っており、良心的な魔法使いや権力争いから逃げ出した魔法使いは相当数存在する。

指導していた魔法使いもアーニャが魔法世界に旅立つのを見送り、自身もメルディアナを脱会して多国の親戚の元へ身を寄せている。



「ネギとアーニャは今日は釣りか?」

「ええ、夕食に大きなお魚を釣って来るからって」

そしてこの日ネギとアーニャは、借り家から歩いて5分ほどの海に釣りに出かけていた。

祖父とネカネは最近始めた小さな畑の世話をしており、特に祖父かつての威厳ある姿と消えうせており田舎の農民のような姿になっている。


「ジャックの元にはいつ行くべきかのう」

畑の世話の合間にお茶で休憩する祖父は、魔法世界に来て以降笑顔が増えたネギやネカネやアーニャに満足げであった。

ネギは言うに及ばないがネカネも魔法世界に来た当初は疲れと冷遇されたショックでネギの前では笑顔で居ても内心では辛そうだったが、アーニャが来て賑やかになるとネカネもようやく本当の笑顔を取り戻している。


「おじいちゃんに任せます。 私はこのままでもいい気がしますけど」

当初祖父は自身とネギの二人でジャック・ラカンの元に身を寄せるつもりであったが、ネギの教育やネカネやアーニャが来たことで今だにいつラカンの元に行くか決めかねていた。

祖父はネカネにはいずれラカンの元に行くとは以前に伝えているが、ネカネは祖父の判断に従うつもりでありどちらでもいいらしい。


「少し厄介な男じゃがワシ一人ではお前達を守りきれんからな。 まあ情勢次第では早めるかもしれんし、このまま落ち着けるならもう少し時間をかけるのもよかろうて」

祖父は現在でも地球側魔法協会や魔法世界の世界情勢の情報を集めており、その流れ次第でラカンに会いに行く時期を決めるつもりのようだ。

まあラカンはラカンで厄介な性格をしてるだけに、可能ならばこのまま四人で静かに暮らしたいとも思うのかもしれない。

ただネギの将来を考えるとこのままという選択肢はなく、自身の老いと寿命を考え最終的にはラカンを頼るつもりではあるようだった。



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