平和な日常~冬~3

そんな横島と明日菜がダンスを終えると、ちょうどダンスパーティーはラストを迎えていた。

このダンスパーティーにて麻帆良学園主催のクリスマスパーティーは終了になる。

学園関係者や主要企業の人達はこのまま二次会という名の飲み会に移行し、ホテルの従業員と一部生徒は後片付けをするらしい。

もちろん木乃香と新堂のスイーツを提供したスペースも片付けられるが、こちらは設置と同じ大学生達に予め頼んでいる。

一応横島はダンスパーティー終了後に手伝おうかと声をかけたが、彼らには依頼という形で正式に頼んでるので不要らしかった。

ちなみに費用に関しては最低限の経費は学園側から出ることになっているが、横島と新堂は彼らに謝礼金を少しばかり払っている。

最低限の報酬は学園側から出るのだが依頼者が成人の場合は依頼者からも多少なりとも払うのが一般的なようだ。


「たのしかったね!」

「ああ、楽しかったな」

結局横島達は大多数の生徒達と同じタイミングで帰ることになり、すっかり夜も更けた時間にも関わらずパーティーのテンションのまま賑やかな学生達と一緒に帰路についていた。

もちろん木乃香達や美砂達もパーティーの余韻からか満足げであり、ダンスパーティーの時間の分まで甘えるようなタマモは楽しそうな笑顔を見せなからも横島と手を繋いで離れない。

そんな横島達だが道路沿いにある商店などのクリスマスツリーや、ちょっとしたイルミネーションを見ながら帰るのは中々楽しいものだった。

派手なネオンや看板のない麻帆良の町並みは普段でも有名な観光名所だが、特にこのクリスマス時期の夜の麻帆良は評価が高い。

決して派手なイルミネーションがある訳ではないが、西洋風の町並みと控え目にも感じるクリスマスツリーやイルミネーションは絶妙にマッチして人気なのだ。


「ねえ、このまま私達も二次会しない?」

「あっ、いいわね」

「じゃあ、横島さん家で二次会だー!!」

そのままこの季節しか見れない町並みに楽しかったクリスマスパーティーの余韻に浸る横島達だったが、一部にはまだまだ騒ぎ足りないと言わんばかりに元気が有り余っている少女達が居る。

特に一緒に帰っていた裕奈やまき絵に美砂達三人なんかは、もうひと騒ぎしたいらしく誰かの一言から二次会をやりたいと騒ぎ出す。


「わーい、にじかいだ! にじかいだ!」

そんな友人達を今日は気疲れしたらしい夕映などは若干呆れた様子で見ていたが、タマモが楽しそうな二次会に賛成してしまうと最早止められる者はいなかった。


「……来てもいいけど、今日は食いもんはないぞ?」

タマモを加えた影響もありどんどんテンションが上がる少女達は、最後に家主である横島の賛成が必要だと熱い視線を送ったり横島に抱き着いたりとあの手この手で許可を求めると横島は当然ながらあっさりと陥落する。


「イエーイ!」

「朝まで騒ぐぞ!!」

結局疲れを知らない少女達は朝まで騒ぐつもりらしく、一旦寮に帰り着替えた後に横島宅へ集合して朝まで騒ぐことになる。



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