平和な日常~冬~3
「先程はありがとうございました」
ダンスパーティーも残り数曲となり、ちょうど会場では今まで休んでいた人達なども踊りだし賑やかになり始めていた。
しばし会話もなく踊っていた横島とあやかだが、会話の口火を切ったのはあやかである。
「気にすんなって。 元を辿れば俺が頼り過ぎたことも原因の一つだしな。 あやかちゃんの立場をあんまり考えてなかったとこも確かだし」
あやかが横島をわざわざダンスに誘った理由の一つは、先程の酔っ払いに絡まれた件も無関係ではないらしい。
素直にお礼を言うあやかだが、横島はあやかに頼り過ぎたというか任せ過ぎたのかもしれないと感じていた。
先程夕映に事情を聞くまでは横島自身は一切事情を知らずあやか達が判断した案件だったが、本来は横島自身が判断しなければいけなかったのかとも思うのだ。
無論横島は万が一の時は責任は取るつもりだったが、判断までほとんど任せたのは結果的に丸投げし過ぎかなと考えていた。
「人に任せることは決して悪いことではありませんわ。 人が一人で出来ることは限られてます。 現時点で横島さんの代わりに動ける人間は限られてますから。 それと、横島さんや明日菜さん達にまで家柄や立場を気遣いされるのは嫌だと言うのが本音です」
あやかにかかる負担の大きさを悩むような横島に、彼女は少し考えてから逆に横島を諭すように自身の考えを口にする。
現実問題として横島を必要とする仕事や案件はそれなりにあった。
例え半ばお飾りだとしても納涼祭や麻帆良カレーは今更横島が引けるものではないし、本来の仕事である店だって横島一人では現状の営業は続かないだろう。
結局のところ横島が望む望まないに限らず、あやかや木乃香達は横島絡みの仕事から簡単に抜け出せないほど深入りしてしまっている。
加えて横島にまで雪広家のお嬢様として見られるのは、あやかにとって不愉快以外の何物でもない。
「それはそうなんだが、あやかちゃん達はまだ学生だろ?」
「……横島さん。 私達は学生ですしまだまだ未熟ですが、きちんと自分の意思で考えています。 私達の働きが満足出来ないならともかく、学生だからという理由だけで現状を変えられるのは納得出来ません」
この時あやかは横島が今回の件で何を考え始めたのか理解していた。
確かに自分達は学生だが、それを理由に現状を変えてただの学生に戻されるのはとても納得出来るものではない。
実のところ横島本人はまだそこまで考えてないが、あやかは横島の考え始めた方向性の行く先に気付き今のうちに釘を刺す。
「いや、そこまで具体的に考えてる訳じゃないんだけどさ」
「では私や木乃香さんや綾瀬さん達を信じて任せてください。 誰も現状に不満は抱いてませんし、不満があればきちんとお話しますわ」
なんというか横島がこの先考えるだろう方向性を完全に潰してしまうあやかに、横島本人は何とも言えない表情で頷くしか出来なかった。
正直横島は夕映やあやかには学生を逸脱しない範囲でと考え始めていただけに、あやかはそれは横島の押し付けでしかないと言わんばかりの表情である。
あやかや木乃香達からすると、今までと同じく完全に任されたままが一番であった。
結局横島は本当にいいのかと悩みつつもあやかや夕映の負担を減らそうと安易に考えることが出来なくなってしまう。
ダンスパーティーも残り数曲となり、ちょうど会場では今まで休んでいた人達なども踊りだし賑やかになり始めていた。
しばし会話もなく踊っていた横島とあやかだが、会話の口火を切ったのはあやかである。
「気にすんなって。 元を辿れば俺が頼り過ぎたことも原因の一つだしな。 あやかちゃんの立場をあんまり考えてなかったとこも確かだし」
あやかが横島をわざわざダンスに誘った理由の一つは、先程の酔っ払いに絡まれた件も無関係ではないらしい。
素直にお礼を言うあやかだが、横島はあやかに頼り過ぎたというか任せ過ぎたのかもしれないと感じていた。
先程夕映に事情を聞くまでは横島自身は一切事情を知らずあやか達が判断した案件だったが、本来は横島自身が判断しなければいけなかったのかとも思うのだ。
無論横島は万が一の時は責任は取るつもりだったが、判断までほとんど任せたのは結果的に丸投げし過ぎかなと考えていた。
「人に任せることは決して悪いことではありませんわ。 人が一人で出来ることは限られてます。 現時点で横島さんの代わりに動ける人間は限られてますから。 それと、横島さんや明日菜さん達にまで家柄や立場を気遣いされるのは嫌だと言うのが本音です」
あやかにかかる負担の大きさを悩むような横島に、彼女は少し考えてから逆に横島を諭すように自身の考えを口にする。
現実問題として横島を必要とする仕事や案件はそれなりにあった。
例え半ばお飾りだとしても納涼祭や麻帆良カレーは今更横島が引けるものではないし、本来の仕事である店だって横島一人では現状の営業は続かないだろう。
結局のところ横島が望む望まないに限らず、あやかや木乃香達は横島絡みの仕事から簡単に抜け出せないほど深入りしてしまっている。
加えて横島にまで雪広家のお嬢様として見られるのは、あやかにとって不愉快以外の何物でもない。
「それはそうなんだが、あやかちゃん達はまだ学生だろ?」
「……横島さん。 私達は学生ですしまだまだ未熟ですが、きちんと自分の意思で考えています。 私達の働きが満足出来ないならともかく、学生だからという理由だけで現状を変えられるのは納得出来ません」
この時あやかは横島が今回の件で何を考え始めたのか理解していた。
確かに自分達は学生だが、それを理由に現状を変えてただの学生に戻されるのはとても納得出来るものではない。
実のところ横島本人はまだそこまで考えてないが、あやかは横島の考え始めた方向性の行く先に気付き今のうちに釘を刺す。
「いや、そこまで具体的に考えてる訳じゃないんだけどさ」
「では私や木乃香さんや綾瀬さん達を信じて任せてください。 誰も現状に不満は抱いてませんし、不満があればきちんとお話しますわ」
なんというか横島がこの先考えるだろう方向性を完全に潰してしまうあやかに、横島本人は何とも言えない表情で頷くしか出来なかった。
正直横島は夕映やあやかには学生を逸脱しない範囲でと考え始めていただけに、あやかはそれは横島の押し付けでしかないと言わんばかりの表情である。
あやかや木乃香達からすると、今までと同じく完全に任されたままが一番であった。
結局横島は本当にいいのかと悩みつつもあやかや夕映の負担を減らそうと安易に考えることが出来なくなってしまう。