平和な日常~冬~3
「ほら元気出せって」
そのままビンゴの番号が発表されると会場では歓声やため息が沸き上がる。
当然目玉の新車と海外旅行は多くの参加者が狙っており、すぐに当選者が決まっていたがそれはやはりタマモではない。
絶対に当たる訳ではないとタマモ自身も理解はしていたのだろうが、明らかにしょんぼりと落ち込んでしまうと横島は抱き抱えて慰めていた。
「車はさよちゃんとみんなで一緒に選んで買えばいいだろ?」
タマモが何故車を欲しがったのかは横島もよく分からなかったが、元々車は以前からみんなで情報を集めてワイワイと騒ぎながらもゆっくりと考えていたのだ。
「……うん」
ただタマモとしては横島を喜ばせたかったので結構ショックは大きく、かなり期待していたのだろう。
「ちょっと待って、タマちゃんのカードビンゴだよ!」
一方周りの少女達は日頃はワガママ一つ言わないタマモが落ち込む姿に、不謹慎だが微笑ましいものを感じていた。
普段の優しく笑顔が絶えないタマモはみんな好きだったが、今回のように落ち込む姿もそれはそれで可愛らしい。
ある意味子供らしいタマモの姿にホッとしたのも本音だろう。
そんな微笑ましいようなその空気を一変させたのは、タマモが諦めたビンゴカードを続けてやっていた桜子だった。
「ほらタマちゃん当たりだよ!」
タマモ的には車がダメだったショックで後のことは全く頭に入ってなかったが、まだビンゴ大会は続いていたのだ。
桜子にビンゴカードを渡されたタマモは突然の事態にキョトンとしながらも、周りに言われるままに特設ステージに向かって走っていく。
「えー、次の当選者はマホラカフェの看板娘のタマモちゃんです! 景品は国産和牛十キロです」
ビンゴ大会の進行役は高等部の放送部に所属する女子高生だったが、タマモとも顔見知りらしく特設ステージに上がったタマモのビンゴカードを確認すると会場の人達に紹介し景品の目録を手渡す。
「ありがとう! ……こくさんわぎゅうってなに?」
「美味しい牛肉のことよ。 十キロもあればみんなでお腹いっぱい食べれるわね」
顔見知りの女子高生に目録を手渡されたタマモは反射的に頭を下げてお礼を言うが、すぐに国産和牛という言葉の意味が分からないらしく首を傾げる。
そんなタマモの姿に会場は笑いに包まれるが、女子高生が国産和牛とは美味しい牛肉のことだと教えると嬉しそうな表情に変わった。
「料理上手なマスターに美味しく調理して貰って食べてね」
「うん! ありがとうございます!!」
ようやく自分は牛肉を貰ったのだと理解したタマモは、進行役の女子高生や会場の人達に何度もお礼を言って嬉しそうに横島達の元に戻っていく。
「よかったわね~」
「タマちゃんもなかなか運がいいね」
ついさっき落ち込んだとは思えないほど満面の笑みで戻って来たタマモは、明日菜達や横島みんなに目録を見せて喜びを爆発させていた。
「十キロとはまた大量だな。 どうやって食べようか」
「みんなでたべる!」
そんなタマモを明日菜達はみんな笑顔で迎えて自分のことのように喜ぶが、横島がタマモにどうやって食べようと尋ねるとタマモは当然のようにみんなで食べると言い切る。
横島に車はプレゼント出来なかったが、みんなに牛肉をプレゼント出来ることがよほど嬉しいのかタマモはご機嫌な様子で横島や少女達の周りをくるくると回っていた。
そのままビンゴの番号が発表されると会場では歓声やため息が沸き上がる。
当然目玉の新車と海外旅行は多くの参加者が狙っており、すぐに当選者が決まっていたがそれはやはりタマモではない。
絶対に当たる訳ではないとタマモ自身も理解はしていたのだろうが、明らかにしょんぼりと落ち込んでしまうと横島は抱き抱えて慰めていた。
「車はさよちゃんとみんなで一緒に選んで買えばいいだろ?」
タマモが何故車を欲しがったのかは横島もよく分からなかったが、元々車は以前からみんなで情報を集めてワイワイと騒ぎながらもゆっくりと考えていたのだ。
「……うん」
ただタマモとしては横島を喜ばせたかったので結構ショックは大きく、かなり期待していたのだろう。
「ちょっと待って、タマちゃんのカードビンゴだよ!」
一方周りの少女達は日頃はワガママ一つ言わないタマモが落ち込む姿に、不謹慎だが微笑ましいものを感じていた。
普段の優しく笑顔が絶えないタマモはみんな好きだったが、今回のように落ち込む姿もそれはそれで可愛らしい。
ある意味子供らしいタマモの姿にホッとしたのも本音だろう。
そんな微笑ましいようなその空気を一変させたのは、タマモが諦めたビンゴカードを続けてやっていた桜子だった。
「ほらタマちゃん当たりだよ!」
タマモ的には車がダメだったショックで後のことは全く頭に入ってなかったが、まだビンゴ大会は続いていたのだ。
桜子にビンゴカードを渡されたタマモは突然の事態にキョトンとしながらも、周りに言われるままに特設ステージに向かって走っていく。
「えー、次の当選者はマホラカフェの看板娘のタマモちゃんです! 景品は国産和牛十キロです」
ビンゴ大会の進行役は高等部の放送部に所属する女子高生だったが、タマモとも顔見知りらしく特設ステージに上がったタマモのビンゴカードを確認すると会場の人達に紹介し景品の目録を手渡す。
「ありがとう! ……こくさんわぎゅうってなに?」
「美味しい牛肉のことよ。 十キロもあればみんなでお腹いっぱい食べれるわね」
顔見知りの女子高生に目録を手渡されたタマモは反射的に頭を下げてお礼を言うが、すぐに国産和牛という言葉の意味が分からないらしく首を傾げる。
そんなタマモの姿に会場は笑いに包まれるが、女子高生が国産和牛とは美味しい牛肉のことだと教えると嬉しそうな表情に変わった。
「料理上手なマスターに美味しく調理して貰って食べてね」
「うん! ありがとうございます!!」
ようやく自分は牛肉を貰ったのだと理解したタマモは、進行役の女子高生や会場の人達に何度もお礼を言って嬉しそうに横島達の元に戻っていく。
「よかったわね~」
「タマちゃんもなかなか運がいいね」
ついさっき落ち込んだとは思えないほど満面の笑みで戻って来たタマモは、明日菜達や横島みんなに目録を見せて喜びを爆発させていた。
「十キロとはまた大量だな。 どうやって食べようか」
「みんなでたべる!」
そんなタマモを明日菜達はみんな笑顔で迎えて自分のことのように喜ぶが、横島がタマモにどうやって食べようと尋ねるとタマモは当然のようにみんなで食べると言い切る。
横島に車はプレゼント出来なかったが、みんなに牛肉をプレゼント出来ることがよほど嬉しいのかタマモはご機嫌な様子で横島や少女達の周りをくるくると回っていた。