平和な日常~冬~2
「これは雪広あやかさん。 お久しぶりです」
逃げようとした矢先に横から口を挟んで来たのはあやかだった。
元々正義感が強い性格であるし、祖父や父の教育もあり聞き捨てならなかったのだろう。
「挨拶は結構ですわ。 よそ者とはどなたのことですの?」
「さて誰のことだったか。 ど忘れしました」
あやかが声をかけた影響で周囲はますます斉木に注目するが、あやかは険しい面持ちで斉木によそ者が誰かと問いただす。
その姿に斉木は流石にまずいと思ったのか明らかに表情が悪くなり言葉を濁すが、あやかは逃がすつもりはないらしく決して目を離さない。
「そういえば面白い噂を耳にしましたわ。 とある方が来年の麻帆良納涼祭の主催者になれなかったことで実行委員会と主催者を逆恨みしてるとか」
逃げるタイミングを探す斉木だが、あやかは追求の手を緩めることなく逆に挑発する言葉を続ける。
それはあくまでも噂として語るあやかだが、実は斉木と横島には横島が知らない意外な接点があった。
それというのも今年納涼祭を成功させた横島達だが、元々横島本人が来年の主催者にあまり乗り気でなかったことから大学生を中心にした実行委員会では一時期新しい主催者を探していたのだ。
その際に情報を聞き付けて真っ先に手を上げたのが斉木である。
ただしこの斉木という男は経済分野では有能だが、大学部では一番と言っていいほどの嫌われ者でも有名であった。
斉木は納涼祭の費用を全額自分が保障すると公言もしたが、その時会議に居たあやかや夕映達以外の大学部の実行委員会のメンバーが全会一致で却下している。
個人投資家としては昨年数千万から億単位での利益を上げたとの噂もある斉木だが、最近はそれに見合う名誉や地位が欲しいらしく積極的に動くもことごとく無視されてる人物であった。
「噂ねぇ」
「ええ噂では実行委員会の大学生の皆さんが全員反対したそうです。 とある方を主催者にすることだけは絶対させないと。 更に一部では開催権を買いたいなどとの噂もありましたが、それもお願いだから受けないでくれと頼んだとか頼まなかったとか」
斉木の興味はすっかりあやかに移り、横島達は気を効かせた関係者に引っ張っられる形で後方に下がっている。
ホッと一息つきつつ夕映に事情を確認する横島だが、夕映はあやかの言葉を補足するように説明を始める。
「本当かい?」
「はい、あくまでも噂ですが」
そんな夕映の説明に周りの事情を知らない関係者やVIP達は興味ありげに聞いていたが、一人の関係者は思わず口を挟み確認してしまうと夕映はそれを噂としてだが素直に肯定する。
「なんでそんなに嫌われてるんだ?」
「なんでも自分以外の人を常に見下しているとか。 それと投資家としては優秀らしいですが、いろいろと良からぬ噂も多いと聞きます。 ああ酒癖の悪さも有名らしいですね」
何処にでも嫌われてる人は居るんだなと少し昔の自分を思い出し複雑な心情になる横島だが、周りの人々は夕映の言葉を聞きなるほどと頷きあやかと斉木の二人を見ていた。
そもそも麻帆良学園は一つの都市を包括する規模の学校であり、時々斉木のような人間が現れるのもまた事実だった。
まあ初等部や中等部から麻帆良学園で教育を受けた人間ならばここまで勘違いした馬鹿はほぼ居ないが、大学部には麻帆良の外から来た人間も多く斉木のように権利や自由を勘違いした人間は時々出て来る。
逃げようとした矢先に横から口を挟んで来たのはあやかだった。
元々正義感が強い性格であるし、祖父や父の教育もあり聞き捨てならなかったのだろう。
「挨拶は結構ですわ。 よそ者とはどなたのことですの?」
「さて誰のことだったか。 ど忘れしました」
あやかが声をかけた影響で周囲はますます斉木に注目するが、あやかは険しい面持ちで斉木によそ者が誰かと問いただす。
その姿に斉木は流石にまずいと思ったのか明らかに表情が悪くなり言葉を濁すが、あやかは逃がすつもりはないらしく決して目を離さない。
「そういえば面白い噂を耳にしましたわ。 とある方が来年の麻帆良納涼祭の主催者になれなかったことで実行委員会と主催者を逆恨みしてるとか」
逃げるタイミングを探す斉木だが、あやかは追求の手を緩めることなく逆に挑発する言葉を続ける。
それはあくまでも噂として語るあやかだが、実は斉木と横島には横島が知らない意外な接点があった。
それというのも今年納涼祭を成功させた横島達だが、元々横島本人が来年の主催者にあまり乗り気でなかったことから大学生を中心にした実行委員会では一時期新しい主催者を探していたのだ。
その際に情報を聞き付けて真っ先に手を上げたのが斉木である。
ただしこの斉木という男は経済分野では有能だが、大学部では一番と言っていいほどの嫌われ者でも有名であった。
斉木は納涼祭の費用を全額自分が保障すると公言もしたが、その時会議に居たあやかや夕映達以外の大学部の実行委員会のメンバーが全会一致で却下している。
個人投資家としては昨年数千万から億単位での利益を上げたとの噂もある斉木だが、最近はそれに見合う名誉や地位が欲しいらしく積極的に動くもことごとく無視されてる人物であった。
「噂ねぇ」
「ええ噂では実行委員会の大学生の皆さんが全員反対したそうです。 とある方を主催者にすることだけは絶対させないと。 更に一部では開催権を買いたいなどとの噂もありましたが、それもお願いだから受けないでくれと頼んだとか頼まなかったとか」
斉木の興味はすっかりあやかに移り、横島達は気を効かせた関係者に引っ張っられる形で後方に下がっている。
ホッと一息つきつつ夕映に事情を確認する横島だが、夕映はあやかの言葉を補足するように説明を始める。
「本当かい?」
「はい、あくまでも噂ですが」
そんな夕映の説明に周りの事情を知らない関係者やVIP達は興味ありげに聞いていたが、一人の関係者は思わず口を挟み確認してしまうと夕映はそれを噂としてだが素直に肯定する。
「なんでそんなに嫌われてるんだ?」
「なんでも自分以外の人を常に見下しているとか。 それと投資家としては優秀らしいですが、いろいろと良からぬ噂も多いと聞きます。 ああ酒癖の悪さも有名らしいですね」
何処にでも嫌われてる人は居るんだなと少し昔の自分を思い出し複雑な心情になる横島だが、周りの人々は夕映の言葉を聞きなるほどと頷きあやかと斉木の二人を見ていた。
そもそも麻帆良学園は一つの都市を包括する規模の学校であり、時々斉木のような人間が現れるのもまた事実だった。
まあ初等部や中等部から麻帆良学園で教育を受けた人間ならばここまで勘違いした馬鹿はほぼ居ないが、大学部には麻帆良の外から来た人間も多く斉木のように権利や自由を勘違いした人間は時々出て来る。