平和な日常~冬~2

さてお昼の食事を終えたタマモと明日菜達だが、生徒主催のイベント会場に来ていた。

こちらはメインの大ホールとは違い、割と普通のクリスマスパーティーといった感じの雰囲気である。

部屋は複数あるパーティールームの一つで木乃香達が使ってる部屋と同じ広さだが、こちらは特設ステージを設置して生徒によるイベントが行われていた。


「うわ~、すごい!!」

部屋の中央には天井まで届くほど大きなクリスマスツリーが置かれていて、電飾や飾りが部屋中を綺麗に彩っている。

部屋自体は窓を遮光カーテンで覆っていて本来の照明も使用してなく、クリスマスツリーの電飾や特設のライトを明かりにしているので少し薄暗いくらいだ。

ただそれがクリスマスツリーをより美しく輝かせているようで見る者を引き付けていた。


「ここも混んでるわねー」

先程バイキングを食べた場所に続き、このパーティールームもどちらかと言えば生徒達で賑わっている。

部屋の入口でプログラムを貰い目を通す明日菜達だが、この後は今年の麻帆良祭で有名になったバンドの生演奏やマジックショーなんかもやるようだ。

他にはクリスマスプレゼントを賭けたビンゴ大会などもあり、夜まで飽きさせないようなスケジュールを組んでいる。


「ちょっと、アスナ見て見て! ビンゴ大会の景品に海外旅行ご招待とか新車があるよ!!」

そのままタマモと一緒に大きなクリスマスツリーを眺めていた明日菜だったが、美砂達がこの後行われるビンゴ大会のチラシを手に駆け寄って来た。

普通パーティーのビンゴ大会だと高い物でも数万円の品がせいぜいだが、麻帆良の場合は桁が違うようで数十万はする海外旅行のご招待や新車が当たるらしい。


「相変わらず派手ね」

学生達がほどほどのイベントで海外旅行はともかくとして新車なんかを景品に出すイベント主催者に少し呆れる明日菜だが、まあ普通に家族が居れば家族へのいいプレゼントになるのだろうなと考えると何とも言えなくなる。


「食券一年分とか良くない!?」

尤もどうせ海外旅行や新車は当たらないと考える美砂達は、賞品の中にある食券一年分を狙ってるらしい。

ちなみに日頃から運がいい桜子だが、だからといって宝くじやこの手のビンゴ大会などで一番になった経験はない。

宝くじなんかだと三等とかそれ以下で良く当たる程度だった。

従って今回は食券一年分を狙ってるらしい。


「くるまほしい! よこしまにくるまあげる!」

そして美砂達にビンゴ大会のチラシを見せられビンゴ自体を知らなく説明されたタマモは、何故か新車が欲しいと燃えてしまう。

ずいぶん前から車を買うかどうかで迷って今だに買ってないだけに、タマモは自分が当ててプレゼントしたいと考えたらしい。


「これ参加人数が多いからなかなか当たらないわよ?」

「うん、それでもいいよ」

食券だ新車だとまず当たるはずがない賞品をすでに貰う気満々のタマモと桜子に明日菜は若干頭痛を感じたようだが、まあ参加するならタダなのでいいかとビンゴ大会に参加することにする。

もちろんタマモには必ず貰える物ではないときちんと説明したのは言うまでもない。



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