平和な日常~冬~2
さていよいよクリスマスパーティー開始時刻になるとメイン会場である大ホールでは、近右衛門達学園関係者に生徒会や支援企業やOBの主要な人が集まってセレモニーが行われていた。
大ホールは日本のホテルの施設としては驚くほど広く、立食形式のパーティーならば千五百人は入ると言われるほどである。
以前も少し説明したがそもそも麻帆良ホテルは図書館島や横島の店と同じく明治期に建てられた建物であり、建物の造り自体が日本的な要素は少なく全体的に広い西洋風な造りなのが特徴であった。
大ホールもそんな時代の遺産であり、昔はメガロメセンブリアの魔法使い達がパーティーをよくしていた場所でもある。
ただあまりに広いこの大ホールは現代だと少々使いにくく、最近は今回のような学園主催のパーティーや大学部のイベントなんかで時々使う程度だったりするが。
「こうして見ると誰が権力者かすぐに分かるな」
そんな大ホールの隅では、横島と夕映が若干場違いな空気に押されながらもセレモニーを眺めていた。
本当は横島は木乃香の方に居るつもりだったが、例によって挨拶周りの為にセレモニーに参加している。
まあ木乃香の方もすでにスイーツ作りは終わっているので後は来訪者への顔見せのみであり、新堂が居る限り木乃香は大丈夫そうで横島のやることはあまりなさそうではあるのだが。
「いいんちょと千鶴さんもやっぱりお嬢様なんですね」
会場に作られた臨時のメインステージでは近右衛門など関係者が挨拶しているが、他はある程度グループに分かれており特に人だかりが出来ているのは雪広家と那波家の居る場所だ。
ちなみにあやかと千鶴は両親や祖父母と一緒に居て挨拶に来る関係者への応対をしている。
夕映はあまり気乗りしない様子だった千鶴が、そんな本音など微塵も見せずに笑顔で応対する姿に感心していた。
「さっさと挨拶を済ませたいとこだけど……」
「向こうが一通り終わるまでは大人しくしてるです」
会場ではホテルの従業員が飲み物を配っており横島も夕映もジュースを貰いのんびりとしているが、流石にセレモニーの最中に挨拶周りに行く訳にはいかない。
それに挨拶周りをするのは横島だけではなく、会場に居る大人は大半が挨拶周りをするのだ。
新参者の横島が挨拶周りをするのは、そんな関係者が終わった頃を見計らう必要がある。
「あら、こんなとこに居たのね」
「流石は葛葉先生、ドレス姿もお美しいっすね」
そのまましばらく会場を眺めてる横島達だったが、少し大人しめのドレスを着た刀子がやって来た。
横島は相変わらず照れることなく刀子のドレス姿を褒めるが、刀子と夕映は少し微妙な笑顔でそんな横島を見ている。
「またみんなにも同じこと言ってるんでしょ?」
「そうですね。 皆さんのドレス姿を褒めてます」
褒められて悪い気はしないが、横島の場合は割とみんなに同じように褒めるのを刀子は理解していたらしい。
どうせお世辞でしょといいたげな表情で刀子が確認すると、夕映はあっさりとみんなを褒めていたと暴露する。
「やだな~、みんな綺麗だからそのまま感想を言っただけっすよ」
「そのうち刺されますよ」
結局刀子と夕映に仕方ない人だなと見られる横島だが、横島自身としてはお世辞ではなく本気で言っただけだった。
まあ夕映も刀子もそれを理解してるからこそ、仕方ない人だと笑っているのだが。
大ホールは日本のホテルの施設としては驚くほど広く、立食形式のパーティーならば千五百人は入ると言われるほどである。
以前も少し説明したがそもそも麻帆良ホテルは図書館島や横島の店と同じく明治期に建てられた建物であり、建物の造り自体が日本的な要素は少なく全体的に広い西洋風な造りなのが特徴であった。
大ホールもそんな時代の遺産であり、昔はメガロメセンブリアの魔法使い達がパーティーをよくしていた場所でもある。
ただあまりに広いこの大ホールは現代だと少々使いにくく、最近は今回のような学園主催のパーティーや大学部のイベントなんかで時々使う程度だったりするが。
「こうして見ると誰が権力者かすぐに分かるな」
そんな大ホールの隅では、横島と夕映が若干場違いな空気に押されながらもセレモニーを眺めていた。
本当は横島は木乃香の方に居るつもりだったが、例によって挨拶周りの為にセレモニーに参加している。
まあ木乃香の方もすでにスイーツ作りは終わっているので後は来訪者への顔見せのみであり、新堂が居る限り木乃香は大丈夫そうで横島のやることはあまりなさそうではあるのだが。
「いいんちょと千鶴さんもやっぱりお嬢様なんですね」
会場に作られた臨時のメインステージでは近右衛門など関係者が挨拶しているが、他はある程度グループに分かれており特に人だかりが出来ているのは雪広家と那波家の居る場所だ。
ちなみにあやかと千鶴は両親や祖父母と一緒に居て挨拶に来る関係者への応対をしている。
夕映はあまり気乗りしない様子だった千鶴が、そんな本音など微塵も見せずに笑顔で応対する姿に感心していた。
「さっさと挨拶を済ませたいとこだけど……」
「向こうが一通り終わるまでは大人しくしてるです」
会場ではホテルの従業員が飲み物を配っており横島も夕映もジュースを貰いのんびりとしているが、流石にセレモニーの最中に挨拶周りに行く訳にはいかない。
それに挨拶周りをするのは横島だけではなく、会場に居る大人は大半が挨拶周りをするのだ。
新参者の横島が挨拶周りをするのは、そんな関係者が終わった頃を見計らう必要がある。
「あら、こんなとこに居たのね」
「流石は葛葉先生、ドレス姿もお美しいっすね」
そのまましばらく会場を眺めてる横島達だったが、少し大人しめのドレスを着た刀子がやって来た。
横島は相変わらず照れることなく刀子のドレス姿を褒めるが、刀子と夕映は少し微妙な笑顔でそんな横島を見ている。
「またみんなにも同じこと言ってるんでしょ?」
「そうですね。 皆さんのドレス姿を褒めてます」
褒められて悪い気はしないが、横島の場合は割とみんなに同じように褒めるのを刀子は理解していたらしい。
どうせお世辞でしょといいたげな表情で刀子が確認すると、夕映はあっさりとみんなを褒めていたと暴露する。
「やだな~、みんな綺麗だからそのまま感想を言っただけっすよ」
「そのうち刺されますよ」
結局刀子と夕映に仕方ない人だなと見られる横島だが、横島自身としてはお世辞ではなく本気で言っただけだった。
まあ夕映も刀子もそれを理解してるからこそ、仕方ない人だと笑っているのだが。