平和な日常~冬~2
さて女子寮ではドレスに着替え終えたタマモ達が出発しようとしていた。
「うわ~、タマちゃんよく似合ってるね」
寮のロビーで美砂達と待ち合わせしていた明日菜とタマモはドレスの上にコートを羽織って待っていたが、タマモは待ちきれないのか近くに偶然居合わせた少女に自分のドレスを見せて歩いている。
タマモのドレスは当然ハニワ兵のお手製だが、タマモの為にと気合いを入れて作った一品だった。
子供ということで派手過ぎる訳でもなく綺麗というよりは可愛いドレスだったが、タマモは一目見た時から気に入ってしまいみんなに早く見て欲しくてウズウズしていたなんて事情もある。
「初めてのパーティーだもんね。 いっぱい楽しんで来てね」
嬉しそうにドレスを見せて初めてパーティーに行くんだと笑顔で語るタマモを、周りに居た少女達は温かく見守っていた。
誰しもが幼い頃に一度は似たような経験をするが、今のタマモはパーティーの中身がなんであれ楽しみなのだ。
まだ幼いのに両親と一緒に暮らせないタマモには少なからず同情する者が多いし、タマモにとっては横島やさよ達だけでなく店のお客さんもみんな家族のようなものなのだと理解してる常連は多い。
「さよちゃんといっしょに、ぱーてぃーのべんきょうしたんだよ!」
いつの間にかタマモの周りには何人もの少女達が集まってしまうが、みんなタマモに対し楽しんで来てとかあれこれと言葉をかけていく。
もちろんタマモはそんな少女達の言葉に一つ一つ答えていくが、パーティーはさよと一緒に勉強したから大丈夫だと自信ありげな表情を見せる。
実は講師役はハニワ兵であり、さよとタマモに簡単なパーティーの内容やマナーを教えていたらしい。
この季節になると地元のケーブルテレビでは昨年のクリスマスパーティーの映像なんかも流しているのでそれを見て勉強したようだ。
「そろそろ行こっか」
「うん、みんないってくるね~」
結局タマモは美砂達が来るまで賑やかにおしゃべりをしていたが、美砂達が現れるといよいよ出発する。
明日菜と手を繋いだタマモは、見送りに玄関まで出て来た少女達に何度も手を振って出掛けて行く。
「ねえアスナ、マスターってずっと忙しいの?」
「うーん、ずっとじゃないけど忙しいかも。 私も細かく知らないけど、いいんちょと那波さんと夕映ちゃんで横島さんのスケジュールいろいろ考えていたから」
電車と路面電車を乗り継ぎ会場の麻帆良ホテルに向かう一行だが、美砂と桜子は向こうで横島と合流出来るか気になるらしく明日菜に尋ねている。
しかし明日菜の表情は微妙であり、今日はあまり期待しない方がいいと知っていた。
流石に細かい話までは知らないが、最低限横島にも挨拶して貰わねば困るリストを見ながら夕映達が悩んでいたのだ。
それは麻帆良カレーや納涼祭の為でもあるが、同時に横島自身の為の挨拶でもあった。
人間関係において挨拶は基本中の基本であり、横島がこの先麻帆良で生きて行くには麻帆良の関係者が集まる今日きちんと挨拶をしないと今後横島自身が困ることになる。
いくら雪広グループや那波グループに個人的なツテがあるとはいえ、横島自身が挨拶にも出て来ないと見られるのは流石にまずかった。
「せっかくドレス借りたんだし、ダンスの相手もして欲しかったのにな~」
「向こうに着いたら夕映ちゃんに聞いてみたら? ダンスはメインだし顔見せくらいには出るんじゃないの?」
今日は横島と一緒に騒げないとなった美砂と桜子は少しテンションが下がるが、明日菜は仕方ないと言わんばかりの表情である。
学園主催のクリスマスパーティーはいくつかのメインイベントがあるが、中でも一番注目を集めるのは大ホールでのダンスパーティーだった。
どうやら美砂なんかは横島をダンスパーティーに誘いたかったらしい。
「うわ~、タマちゃんよく似合ってるね」
寮のロビーで美砂達と待ち合わせしていた明日菜とタマモはドレスの上にコートを羽織って待っていたが、タマモは待ちきれないのか近くに偶然居合わせた少女に自分のドレスを見せて歩いている。
タマモのドレスは当然ハニワ兵のお手製だが、タマモの為にと気合いを入れて作った一品だった。
子供ということで派手過ぎる訳でもなく綺麗というよりは可愛いドレスだったが、タマモは一目見た時から気に入ってしまいみんなに早く見て欲しくてウズウズしていたなんて事情もある。
「初めてのパーティーだもんね。 いっぱい楽しんで来てね」
嬉しそうにドレスを見せて初めてパーティーに行くんだと笑顔で語るタマモを、周りに居た少女達は温かく見守っていた。
誰しもが幼い頃に一度は似たような経験をするが、今のタマモはパーティーの中身がなんであれ楽しみなのだ。
まだ幼いのに両親と一緒に暮らせないタマモには少なからず同情する者が多いし、タマモにとっては横島やさよ達だけでなく店のお客さんもみんな家族のようなものなのだと理解してる常連は多い。
「さよちゃんといっしょに、ぱーてぃーのべんきょうしたんだよ!」
いつの間にかタマモの周りには何人もの少女達が集まってしまうが、みんなタマモに対し楽しんで来てとかあれこれと言葉をかけていく。
もちろんタマモはそんな少女達の言葉に一つ一つ答えていくが、パーティーはさよと一緒に勉強したから大丈夫だと自信ありげな表情を見せる。
実は講師役はハニワ兵であり、さよとタマモに簡単なパーティーの内容やマナーを教えていたらしい。
この季節になると地元のケーブルテレビでは昨年のクリスマスパーティーの映像なんかも流しているのでそれを見て勉強したようだ。
「そろそろ行こっか」
「うん、みんないってくるね~」
結局タマモは美砂達が来るまで賑やかにおしゃべりをしていたが、美砂達が現れるといよいよ出発する。
明日菜と手を繋いだタマモは、見送りに玄関まで出て来た少女達に何度も手を振って出掛けて行く。
「ねえアスナ、マスターってずっと忙しいの?」
「うーん、ずっとじゃないけど忙しいかも。 私も細かく知らないけど、いいんちょと那波さんと夕映ちゃんで横島さんのスケジュールいろいろ考えていたから」
電車と路面電車を乗り継ぎ会場の麻帆良ホテルに向かう一行だが、美砂と桜子は向こうで横島と合流出来るか気になるらしく明日菜に尋ねている。
しかし明日菜の表情は微妙であり、今日はあまり期待しない方がいいと知っていた。
流石に細かい話までは知らないが、最低限横島にも挨拶して貰わねば困るリストを見ながら夕映達が悩んでいたのだ。
それは麻帆良カレーや納涼祭の為でもあるが、同時に横島自身の為の挨拶でもあった。
人間関係において挨拶は基本中の基本であり、横島がこの先麻帆良で生きて行くには麻帆良の関係者が集まる今日きちんと挨拶をしないと今後横島自身が困ることになる。
いくら雪広グループや那波グループに個人的なツテがあるとはいえ、横島自身が挨拶にも出て来ないと見られるのは流石にまずかった。
「せっかくドレス借りたんだし、ダンスの相手もして欲しかったのにな~」
「向こうに着いたら夕映ちゃんに聞いてみたら? ダンスはメインだし顔見せくらいには出るんじゃないの?」
今日は横島と一緒に騒げないとなった美砂と桜子は少しテンションが下がるが、明日菜は仕方ないと言わんばかりの表情である。
学園主催のクリスマスパーティーはいくつかのメインイベントがあるが、中でも一番注目を集めるのは大ホールでのダンスパーティーだった。
どうやら美砂なんかは横島をダンスパーティーに誘いたかったらしい。