勝手な未来
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「────じ!主!こんなところで寝ては風邪をひきますよ!」
肩を揺さぶられて、審神者はハッと目を覚ました。
「……長谷部!?」
「?はい、長谷部です。どうしたんです?何か夢でも見ていたんですか?」
そういって少しおかしそうに微笑む長谷部は、審神者のよく知る長谷部だった。
「長谷部……本当の長谷部……?」
「おかしなことを言いますね、寝ぼけているんですか?まぎれも無い、貴方の長谷部ですよ」
審神者の手を握り、長谷部はにっこり微笑んだ。
「みんなは?怪我は大丈夫?無事なの?」
まくしたてるように問い詰める審神者を、やはり寝ぼけているのだと判断した長谷部は、落ち着けるようにポンポンと背中を叩いて言った。
「皆、怪我ひとつなく揃っていますよ。主の心配することなんて何もありません。ご安心ください」
ここには、何も残っていなかった。
刀剣達は怪我など負っていない。本丸は荒れたあともなく綺麗なままだ。遡行軍の襲撃など、なかった。
審神者の記憶にある出来事が、すっぽりと抜け落ちた世界だった。まるで、これが正しい歴史であるかのように、皆この時間を生きていた。
これが、長谷部の言った『勝手な未来』なのか。
この未来を作った刀剣達は消えてしまった。
いや、存在しなくなったと言った方がいいのかもしれない。
歴史が変わり、未来の彼らの存在は無いものとなった。それにより、彼らの襲撃もまた、歴史からは消えた。
彼らの変えた歴史は、正しい歴史の痕を全て消して、未来を描きはじめた。
審神者はその歴史を生きる。
最後に審神者を『主』と呼んだ彼は、きっとどこかの時間で審神者の刀だったんだろう。歴史の改変に身を落としたその刀を、審神者はどう受け止めたら良いのだろう。
許さなくて良い、といったあの刀を、責めるつもりなどなかった。誰が責められるというのだ。
歴史改変を目論む遡行軍の手より、正しい歴史を守るための審神者は、とある刀たちの罪を背負って、改変された時間を生きて行くのだ。
2019.5.5
肩を揺さぶられて、審神者はハッと目を覚ました。
「……長谷部!?」
「?はい、長谷部です。どうしたんです?何か夢でも見ていたんですか?」
そういって少しおかしそうに微笑む長谷部は、審神者のよく知る長谷部だった。
「長谷部……本当の長谷部……?」
「おかしなことを言いますね、寝ぼけているんですか?まぎれも無い、貴方の長谷部ですよ」
審神者の手を握り、長谷部はにっこり微笑んだ。
「みんなは?怪我は大丈夫?無事なの?」
まくしたてるように問い詰める審神者を、やはり寝ぼけているのだと判断した長谷部は、落ち着けるようにポンポンと背中を叩いて言った。
「皆、怪我ひとつなく揃っていますよ。主の心配することなんて何もありません。ご安心ください」
ここには、何も残っていなかった。
刀剣達は怪我など負っていない。本丸は荒れたあともなく綺麗なままだ。遡行軍の襲撃など、なかった。
審神者の記憶にある出来事が、すっぽりと抜け落ちた世界だった。まるで、これが正しい歴史であるかのように、皆この時間を生きていた。
これが、長谷部の言った『勝手な未来』なのか。
この未来を作った刀剣達は消えてしまった。
いや、存在しなくなったと言った方がいいのかもしれない。
歴史が変わり、未来の彼らの存在は無いものとなった。それにより、彼らの襲撃もまた、歴史からは消えた。
彼らの変えた歴史は、正しい歴史の痕を全て消して、未来を描きはじめた。
審神者はその歴史を生きる。
最後に審神者を『主』と呼んだ彼は、きっとどこかの時間で審神者の刀だったんだろう。歴史の改変に身を落としたその刀を、審神者はどう受け止めたら良いのだろう。
許さなくて良い、といったあの刀を、責めるつもりなどなかった。誰が責められるというのだ。
歴史改変を目論む遡行軍の手より、正しい歴史を守るための審神者は、とある刀たちの罪を背負って、改変された時間を生きて行くのだ。
2019.5.5
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