勝手な未来
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鳩の知らせを受け、慌てて戻った本丸はそれは酷い有様だった。
緊急を伝える鳩に、進行を中止して慌てて引き上げることとなったが、その途中にもなぜか敵の襲撃を受け続け、戻るのが随分遅くなってしまった。普通ならばありえない量の敵との遭遇。まるで自分たちの行く手を阻むようなそれに嫌な予感はしていた。
その予感は最悪の形で的中してしまった。
話を聞かずとも、本丸が襲撃にあったことは見て取れた。
先に帰還していた第二、第三、第四部隊の面々が中心となって負傷した刀に応急処置を施す。ほとんどのものは軽傷で済んでいるようだが、形を保っているのがやっとの刀も存在している。一体どれほどの凄惨な戦いだったのか。目の届く範囲では、折れた刀は見当たらないことが唯一の救いだろうか。
誰もがくらい面持ちの中、帰ってきた本丸を見渡す第一部隊の目は、何かを必死に探していた。ここに、なくてはならない存在を。
心のどこかでは、理解しているのだが、その現実を受け入れるのは、彼らにとって簡単なことではない。
「……報告を、聞こう」
やっとの思い出吐き出したその言葉は、誰に向かっていったものでもない。ただ、教えて欲しかった。この本丸に、一体何が起こったのか。受け入れられない現実を、突きつけて欲しかった。一体、あの人はどこにいるのか。
「報告、します……」
山姥切の言葉に、小さな声が応えた。震えるその声は、なぜか不思議と全員の耳に響いた。誰もがその声に耳を傾ける。
一歩前に出た五虎退は、涙を溜め、体を震わせてその言葉を絞り出した。
「本丸は襲撃を受け、主さまが……連れ去られました」
ただ、事実のみを伝えるその言葉。それは改めて、刀たちに現実を突き刺した。
2019.4.23
緊急を伝える鳩に、進行を中止して慌てて引き上げることとなったが、その途中にもなぜか敵の襲撃を受け続け、戻るのが随分遅くなってしまった。普通ならばありえない量の敵との遭遇。まるで自分たちの行く手を阻むようなそれに嫌な予感はしていた。
その予感は最悪の形で的中してしまった。
話を聞かずとも、本丸が襲撃にあったことは見て取れた。
先に帰還していた第二、第三、第四部隊の面々が中心となって負傷した刀に応急処置を施す。ほとんどのものは軽傷で済んでいるようだが、形を保っているのがやっとの刀も存在している。一体どれほどの凄惨な戦いだったのか。目の届く範囲では、折れた刀は見当たらないことが唯一の救いだろうか。
誰もがくらい面持ちの中、帰ってきた本丸を見渡す第一部隊の目は、何かを必死に探していた。ここに、なくてはならない存在を。
心のどこかでは、理解しているのだが、その現実を受け入れるのは、彼らにとって簡単なことではない。
「……報告を、聞こう」
やっとの思い出吐き出したその言葉は、誰に向かっていったものでもない。ただ、教えて欲しかった。この本丸に、一体何が起こったのか。受け入れられない現実を、突きつけて欲しかった。一体、あの人はどこにいるのか。
「報告、します……」
山姥切の言葉に、小さな声が応えた。震えるその声は、なぜか不思議と全員の耳に響いた。誰もがその声に耳を傾ける。
一歩前に出た五虎退は、涙を溜め、体を震わせてその言葉を絞り出した。
「本丸は襲撃を受け、主さまが……連れ去られました」
ただ、事実のみを伝えるその言葉。それは改めて、刀たちに現実を突き刺した。
2019.4.23
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