刀剣乱舞短編
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【君のいない初めての夜】
「嘘!?本丸に戻れないの!?」
突然の政府からの通告。
今日は本丸とを繋ぐゲートのメンテナンスとかで、一時的に出入りが制限されるとは聞いていた。もうさすがに終わっている時間だ。現世での用事を済ませて本丸に戻ろうとした矢先のこの通告。
終了予定は少なくとも明日らしい。つまり今夜は本丸に戻れない……。
「ど、どうしよう……」
私の方は現世で適当に宿を見つけるなり、なんとかなるが、心配なのは本丸のみんなだ。
こんなことを考えるのは過保護かもしれないが、審神者になってから今日まで、彼らに会わない日などなかった。今日は私にとって、彼らにとって、初めての夜になるのだ。私のいない本丸で、彼らが何を思っているのか、正直不安だ。若干名、すごく心配してくれそうな刀に心当たりがある。そうでなくても、きっとみんな心配しているだろう。
せめてあちらにも、しっかり連絡が届いていれば良いのだが……。
「主が帰って来られないだと!?」
審神者がまだ帰らない本丸。
今日はメンテナンスが入るとやらで、帰りは少し遅くなるかもとは聞いていたが、それにしても遅い。主の身に何かあったのでは?と刀剣たちの間に不安が広がり始めた頃、こんのすけがやってきた。
こんのすけ曰く、現世と本丸をつなぐゲートの不具合のせいで審神者が帰ってこられないのだという。
「すみません、政府も取り急ぎ復旧に尽力していますが、少なくとも明日まではかかるかと……」
「明日だと!?そんな呑気なこと言っていられるか!」
声を荒げるのは自称一番の忠臣、長谷部だ。今にも掴みかかりそうな勢いに押され、こんのすけは「それではっ!!」と連絡だけを言い残して消えてしまった。
高ぶった気持ちをどこへぶつけることもできず、長谷部は一度、強く畳を踏みつけると同じ部屋にいる刀たちに向かって大声を上げる。
「俺は主を迎えに行ってくる!」
そう言って部屋を出て行く長谷部を、ただ呆然と見送る残された刀たち。
「迎えに行くったって、俺たちが無断で時間を超えるのはアウトだろ……」
「そもそも、ゲートが使えないのでは……?」
前田の言葉に皆、「あ」と口を開ける。
「全く、長谷部くんは……!」
「ちょっと、長谷部くん!待ってよー!」と燭台切がその背を追って部屋を飛び出す。主のこととなると急に盲目になる長谷部を止めるのはいつもだいたい燭台切の役目だ。
「燭台切さんも大変ですね……」
平野の言葉に前田と薬研は苦笑いで返す。
「さ、じゃあこのことをみんなに伝えてくるか」
「そうですね」
「主君のご不在は不安ではありますが、僕たちがしっかりしなければいけませんね」
しっかりものの粟田口たちが腰をあげてそれぞれ部屋に散っていく。
「鶯丸さま、三日月さまも、伝達お願いしますよ!」
最後に平野が振り返り、部屋に残る二振にそう釘を刺していく。
お茶をすする2人は、おや、自分たちもか?と言った様子で顔をあげる。
「まったく、平野は優秀だなぁ」
「はっはっは。では俺たちも行こうか」
重たそうな腰をあげて、太刀二振も部屋を出て行く。
「今日はどうも寂しい夜になりそうだなぁ」
2019.3.20
「嘘!?本丸に戻れないの!?」
突然の政府からの通告。
今日は本丸とを繋ぐゲートのメンテナンスとかで、一時的に出入りが制限されるとは聞いていた。もうさすがに終わっている時間だ。現世での用事を済ませて本丸に戻ろうとした矢先のこの通告。
終了予定は少なくとも明日らしい。つまり今夜は本丸に戻れない……。
「ど、どうしよう……」
私の方は現世で適当に宿を見つけるなり、なんとかなるが、心配なのは本丸のみんなだ。
こんなことを考えるのは過保護かもしれないが、審神者になってから今日まで、彼らに会わない日などなかった。今日は私にとって、彼らにとって、初めての夜になるのだ。私のいない本丸で、彼らが何を思っているのか、正直不安だ。若干名、すごく心配してくれそうな刀に心当たりがある。そうでなくても、きっとみんな心配しているだろう。
せめてあちらにも、しっかり連絡が届いていれば良いのだが……。
「主が帰って来られないだと!?」
審神者がまだ帰らない本丸。
今日はメンテナンスが入るとやらで、帰りは少し遅くなるかもとは聞いていたが、それにしても遅い。主の身に何かあったのでは?と刀剣たちの間に不安が広がり始めた頃、こんのすけがやってきた。
こんのすけ曰く、現世と本丸をつなぐゲートの不具合のせいで審神者が帰ってこられないのだという。
「すみません、政府も取り急ぎ復旧に尽力していますが、少なくとも明日まではかかるかと……」
「明日だと!?そんな呑気なこと言っていられるか!」
声を荒げるのは自称一番の忠臣、長谷部だ。今にも掴みかかりそうな勢いに押され、こんのすけは「それではっ!!」と連絡だけを言い残して消えてしまった。
高ぶった気持ちをどこへぶつけることもできず、長谷部は一度、強く畳を踏みつけると同じ部屋にいる刀たちに向かって大声を上げる。
「俺は主を迎えに行ってくる!」
そう言って部屋を出て行く長谷部を、ただ呆然と見送る残された刀たち。
「迎えに行くったって、俺たちが無断で時間を超えるのはアウトだろ……」
「そもそも、ゲートが使えないのでは……?」
前田の言葉に皆、「あ」と口を開ける。
「全く、長谷部くんは……!」
「ちょっと、長谷部くん!待ってよー!」と燭台切がその背を追って部屋を飛び出す。主のこととなると急に盲目になる長谷部を止めるのはいつもだいたい燭台切の役目だ。
「燭台切さんも大変ですね……」
平野の言葉に前田と薬研は苦笑いで返す。
「さ、じゃあこのことをみんなに伝えてくるか」
「そうですね」
「主君のご不在は不安ではありますが、僕たちがしっかりしなければいけませんね」
しっかりものの粟田口たちが腰をあげてそれぞれ部屋に散っていく。
「鶯丸さま、三日月さまも、伝達お願いしますよ!」
最後に平野が振り返り、部屋に残る二振にそう釘を刺していく。
お茶をすする2人は、おや、自分たちもか?と言った様子で顔をあげる。
「まったく、平野は優秀だなぁ」
「はっはっは。では俺たちも行こうか」
重たそうな腰をあげて、太刀二振も部屋を出て行く。
「今日はどうも寂しい夜になりそうだなぁ」
2019.3.20