染めたい
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「ねぇ、国光。なんかこれダサくない?」
「問題ないな。首元までしっかりチャックをあげておくといい」
現在テニス部の朝練が始まろうかという時間。遅刻ギリギリですべりこんだ私は部長の国光に捕まっていた。どこか怒っているような彼が迫ってくるが遅刻はギリギリセーフのはずだ。だが、咎められたのはそこではなかった。
「マフラーはどうした?」
「へ?」
言われて初めて首元にてをやれば、なるほどマフラーがない。そういえば、慌てて家をでたせいですっかり忘れていた。
「ごめん、慌ててたから忘れちゃった」
なんだそんなことかと、軽く謝るが彼はどこか納得いかないようだ。
「これを着ているといい」
おもむろに渡されたのは彼のジャージだ。
「いや、大丈夫だよ?寒くないし」
むしろ国光の方が寒そうだ。この寒さの中、半袖は見ているだけで凍える。
「いいから着ていろ」
そういって無理やり袖を通させる。しっかりとチャックを上まであげられて、大きなジャージに制服がすっぽりと包まれてしまう。
不思議と満足げな国光はそのまま部員たちに指示をだすべく行ってしまう。
「なかなかむっつりだよね、手塚って」
後ろから突然不二くんが現れる。突然そんなことを言われても返事に困ってしまう。
「苗字さんのこと好きなんだってのはよくわかるんだけどね」
そういう彼はなんだか面白そうだ。
「あんまり喋っていると怒られてしまいそうだから行こうかな」
彼の視線の先を見れば、なるほど国光がこちらを見ている。小走りで集合の号令に向かっていく不二くんを見送って、自分の仕事にとりかかる。
と言っても、朝の仕事は大したことはない。ストップウォッチで時間を計ったり、記録をしたり、その程度だ。それなのに、
「これ、じゃまだなぁ」
ぶかぶかの国光のジャージが邪魔をする。手の先までしっかりと覆ってしまうそれは袖をまくらなければ随分と不便だ。
「なんでこんなの着せるかなぁ」
ぶつぶつと文句を言ってみるものの、本当のところ嫌というわけではない。いわゆる彼ジャージというやつに、少し嬉しいと思っていることは国光には内緒だ。
内緒ついでにちょっとだけ、襟元に顔を埋めてみる。マフラーと同じ、国光の匂いだ。
「ねぇ、手塚。あれ、苗字さんが可愛いことしてる」
「む、そうか」
「口元緩んでるよ。油断したね」
「ねぇ、国光。なんかこれダサくない?」
「問題ないな。首元までしっかりチャックをあげておくといい」
現在テニス部の朝練が始まろうかという時間。遅刻ギリギリですべりこんだ私は部長の国光に捕まっていた。どこか怒っているような彼が迫ってくるが遅刻はギリギリセーフのはずだ。だが、咎められたのはそこではなかった。
「マフラーはどうした?」
「へ?」
言われて初めて首元にてをやれば、なるほどマフラーがない。そういえば、慌てて家をでたせいですっかり忘れていた。
「ごめん、慌ててたから忘れちゃった」
なんだそんなことかと、軽く謝るが彼はどこか納得いかないようだ。
「これを着ているといい」
おもむろに渡されたのは彼のジャージだ。
「いや、大丈夫だよ?寒くないし」
むしろ国光の方が寒そうだ。この寒さの中、半袖は見ているだけで凍える。
「いいから着ていろ」
そういって無理やり袖を通させる。しっかりとチャックを上まであげられて、大きなジャージに制服がすっぽりと包まれてしまう。
不思議と満足げな国光はそのまま部員たちに指示をだすべく行ってしまう。
「なかなかむっつりだよね、手塚って」
後ろから突然不二くんが現れる。突然そんなことを言われても返事に困ってしまう。
「苗字さんのこと好きなんだってのはよくわかるんだけどね」
そういう彼はなんだか面白そうだ。
「あんまり喋っていると怒られてしまいそうだから行こうかな」
彼の視線の先を見れば、なるほど国光がこちらを見ている。小走りで集合の号令に向かっていく不二くんを見送って、自分の仕事にとりかかる。
と言っても、朝の仕事は大したことはない。ストップウォッチで時間を計ったり、記録をしたり、その程度だ。それなのに、
「これ、じゃまだなぁ」
ぶかぶかの国光のジャージが邪魔をする。手の先までしっかりと覆ってしまうそれは袖をまくらなければ随分と不便だ。
「なんでこんなの着せるかなぁ」
ぶつぶつと文句を言ってみるものの、本当のところ嫌というわけではない。いわゆる彼ジャージというやつに、少し嬉しいと思っていることは国光には内緒だ。
内緒ついでにちょっとだけ、襟元に顔を埋めてみる。マフラーと同じ、国光の匂いだ。
「ねぇ、手塚。あれ、苗字さんが可愛いことしてる」
「む、そうか」
「口元緩んでるよ。油断したね」
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