染められたい
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目の前の光景にこれは夢かと目を疑いたくなる。
帰り道、いつものように跡部が校門のところで待ち構えている。昨日の今日でなんとなくきまずく思っていたのだが、変わらない彼の登場に、まあ大したことではないかと思い直したところだった。
だが、近くにつれて異様さが目につく。
彼の首に巻かれたピンクのマフラー。どう考えても似合っていないそれは、間違いなく私が昨日巻きつけたマフラーだった。改めてみると何割も増して似合わないように見える。
そんな跡部から逃げようと、そっと離れようとしたのだが、運悪く彼がこちらを見てしまう。
「おう、待ってたぞ」
キラキラと笑顔を浮かべる彼だが、もう首元のマフラーにしか意識がいかない。
「あの、跡部?そのマフラー、捨ててっていったよね?」
「あーん?もらったんだから俺様のもんだろ。俺様の好きにするさ」
百歩譲って好きにしてもらってもいいので、せめて着用するのだけはやめていただきたい。いつも周りを取り囲んでいる女子生徒たちの視線もこころなしかマフラーを気にしているように見えてしまう。
「ほら、プレゼントだ」
ずいっと渡されたシンプルだが可愛らしい高級感のある袋。プレゼントと言われても、もらうような出来事に心当たりはない。
「マフラーの礼だ。受けとれよ」
半ば強引に私の手にそれを握らせる。そっと中を見れば、白のもこもことしたマフラーが入っていた。見るからに高そうなそれは私のあげたマフラーの何倍もするだろう。
「いやいやいや、恐れ多いわ。こんなの……」
勢いよく口を閉じて彼に突き返すが、自信たっぷりな顔で受け取る手はないと言わんばかりに両手をあげられてしまう。
「残念だが返品は受け付けてないんでな。観念して受け取っとけ」
それだけいうとさっさと歩き始めてしまう。自分勝手にもほどがある。だが、プレゼントというのは素直に嬉しい。
「あ、ありがと」
初めて、彼にお礼を言った。今回のことだけじゃなく、今まで毎日送ってくれたことなんかも、伝わらなくてもいいから全部込めて言ったつもりだ。
「なんだ?よく聞こえなかったな」
ニヤリと笑っていう彼の顔は意地悪で、やっぱり少し苦手だ。
「もう一度、大きな声で言ってみろ」
「や、やだ。なんも言ってないし」
彼に素直になれる日はもう少し先みたいだ。今度はこのマフラーを付けて彼に思いを伝えてみよう。
「なぁ、跡部のあのマフラーなんだ!?」
「なんつーか、らしくねぇよな」
「本人はなぜか満足げですけどね」
しばらくテニス部員の中でめちゃくちゃ話題になった。
目の前の光景にこれは夢かと目を疑いたくなる。
帰り道、いつものように跡部が校門のところで待ち構えている。昨日の今日でなんとなくきまずく思っていたのだが、変わらない彼の登場に、まあ大したことではないかと思い直したところだった。
だが、近くにつれて異様さが目につく。
彼の首に巻かれたピンクのマフラー。どう考えても似合っていないそれは、間違いなく私が昨日巻きつけたマフラーだった。改めてみると何割も増して似合わないように見える。
そんな跡部から逃げようと、そっと離れようとしたのだが、運悪く彼がこちらを見てしまう。
「おう、待ってたぞ」
キラキラと笑顔を浮かべる彼だが、もう首元のマフラーにしか意識がいかない。
「あの、跡部?そのマフラー、捨ててっていったよね?」
「あーん?もらったんだから俺様のもんだろ。俺様の好きにするさ」
百歩譲って好きにしてもらってもいいので、せめて着用するのだけはやめていただきたい。いつも周りを取り囲んでいる女子生徒たちの視線もこころなしかマフラーを気にしているように見えてしまう。
「ほら、プレゼントだ」
ずいっと渡されたシンプルだが可愛らしい高級感のある袋。プレゼントと言われても、もらうような出来事に心当たりはない。
「マフラーの礼だ。受けとれよ」
半ば強引に私の手にそれを握らせる。そっと中を見れば、白のもこもことしたマフラーが入っていた。見るからに高そうなそれは私のあげたマフラーの何倍もするだろう。
「いやいやいや、恐れ多いわ。こんなの……」
勢いよく口を閉じて彼に突き返すが、自信たっぷりな顔で受け取る手はないと言わんばかりに両手をあげられてしまう。
「残念だが返品は受け付けてないんでな。観念して受け取っとけ」
それだけいうとさっさと歩き始めてしまう。自分勝手にもほどがある。だが、プレゼントというのは素直に嬉しい。
「あ、ありがと」
初めて、彼にお礼を言った。今回のことだけじゃなく、今まで毎日送ってくれたことなんかも、伝わらなくてもいいから全部込めて言ったつもりだ。
「なんだ?よく聞こえなかったな」
ニヤリと笑っていう彼の顔は意地悪で、やっぱり少し苦手だ。
「もう一度、大きな声で言ってみろ」
「や、やだ。なんも言ってないし」
彼に素直になれる日はもう少し先みたいだ。今度はこのマフラーを付けて彼に思いを伝えてみよう。
「なぁ、跡部のあのマフラーなんだ!?」
「なんつーか、らしくねぇよな」
「本人はなぜか満足げですけどね」
しばらくテニス部員の中でめちゃくちゃ話題になった。
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