2月。現世はどこもかしこもバレンタインのチョコレートでいっぱいだ。

　私にも関係のないイベントではないバレンタイン。日頃の感謝の気持ちを込めて、本丸のみんなにチョコを用意した。
　友達と一緒にいった特設スペースのチョコでは、70振りを超える彼らに配るのに一体いくらのお金がかかるか計り知れない。そこで、手作りのチョコレートを用意したのだ。
　私1人ではとてもじゃないが用意できる量ではない。いつものように、お料理のことななら歌仙さんや燭台切さんに頼みたいところだが、今回はそういうわけにもいかない。彼らだって感謝を伝えたい相手の1人だ。

　学校の友人たちに頼んで、なんとか74個のチョコを用意した。「なにそれ業者？」という友人の言葉の通り、ラッピングを終えたチョコの山はとても個人が用意する量ではない。しかし、なんとかこれを本丸の自室へと運ばなければいけない。

　友人からの手伝いの申し出を断り、1人本丸への門をくぐる。

　さて、まずは自室までこのチョコの山を見つからずに運べるだろうか。