バレンタイン2019
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「主君、荷物でしたら運びましょうか?」
「前田さん!いいところに!」
廊下で鉢合わせた前田さんは、優秀な彼らしくすぐに私の手元のチョコレートに気づいたようだ。
「これ、なんだと思う?」
袋から一つ取り出し、彼の前に差し出す。
「なんでしょう?あまり大きくはないし、重量もなさそうですね……可愛らしい包みですし、お菓子でしょうか?」
さすが聡明な前田さんだ。
「正解!じゃあどうぞ」
「え?僕にですか?」
きょとんとする彼に受け取るように促す。
「今日は大切な人にチョコレートを送って気持ちを伝える日なんだよ。だから、前田さんに、いつもありがとうの気持ちを込めて」
前田さんがそっと箱を受け取ってくれる。そして恭しく膝をついて頭を下げた。
「ありがたく頂戴します」
「そ、そんなかしこまられると困るよ」
少し大げさすぎる前田さんの反応にこちらがたじろいでしまう。そんなに大層なものではない。ただこの機会に、チョコに乗せて日頃の感謝を送りたかっただけなのだが。
「いえ、主君からのお気持ち、しっかりと受け取らせてください」
深々と頭を垂れる前田さん。その小さな体には似つかわしくない姿勢がしっかりと様になっているあたりがさすがだ。
「僕は主君の刀です。主君を守るために、ここにいます。僕がそうしたくてやっていることですが、こうして感謝の言葉をいただけるというのはとても嬉しいです。主君、僕の主でいてくれて、ありがとうございます」
膝をついたまま、手を取りこちらを見上げる彼はまるでどこかの国の王子様のようだ。幼い見た目とは裏腹に、なんとも男らしい。それが前田藤四郎という刀だ。
「前田さん、かっこよすぎるよ……」
「もったいないお言葉です」
すくっと立ち上がり、軽く頭を下げる姿すらかっこいい。
「こちらのチョコレート、しっかり味わっていただきますね」
嫌味のない爽やかな笑顔でそう言われると、謙遜の言葉を口にするのも躊躇われる。どこまでもまっすぐな刀だ。
「このお礼はいつかお返しさせてください」
「その気持ちだけで嬉しいよ」
とはいっても、彼はきっと何かしらの形でお礼をしてくれるのだろう。ホワイトデーのことなんて知ったら、それこそすごいお返しが帰ってきそうだな、と想像して少し面白そうだとも思う。
何もお礼が欲しくて渡しているわけではないが、それでも気持ちというのは暖かくて嬉しいものだ。
「前田さん!いいところに!」
廊下で鉢合わせた前田さんは、優秀な彼らしくすぐに私の手元のチョコレートに気づいたようだ。
「これ、なんだと思う?」
袋から一つ取り出し、彼の前に差し出す。
「なんでしょう?あまり大きくはないし、重量もなさそうですね……可愛らしい包みですし、お菓子でしょうか?」
さすが聡明な前田さんだ。
「正解!じゃあどうぞ」
「え?僕にですか?」
きょとんとする彼に受け取るように促す。
「今日は大切な人にチョコレートを送って気持ちを伝える日なんだよ。だから、前田さんに、いつもありがとうの気持ちを込めて」
前田さんがそっと箱を受け取ってくれる。そして恭しく膝をついて頭を下げた。
「ありがたく頂戴します」
「そ、そんなかしこまられると困るよ」
少し大げさすぎる前田さんの反応にこちらがたじろいでしまう。そんなに大層なものではない。ただこの機会に、チョコに乗せて日頃の感謝を送りたかっただけなのだが。
「いえ、主君からのお気持ち、しっかりと受け取らせてください」
深々と頭を垂れる前田さん。その小さな体には似つかわしくない姿勢がしっかりと様になっているあたりがさすがだ。
「僕は主君の刀です。主君を守るために、ここにいます。僕がそうしたくてやっていることですが、こうして感謝の言葉をいただけるというのはとても嬉しいです。主君、僕の主でいてくれて、ありがとうございます」
膝をついたまま、手を取りこちらを見上げる彼はまるでどこかの国の王子様のようだ。幼い見た目とは裏腹に、なんとも男らしい。それが前田藤四郎という刀だ。
「前田さん、かっこよすぎるよ……」
「もったいないお言葉です」
すくっと立ち上がり、軽く頭を下げる姿すらかっこいい。
「こちらのチョコレート、しっかり味わっていただきますね」
嫌味のない爽やかな笑顔でそう言われると、謙遜の言葉を口にするのも躊躇われる。どこまでもまっすぐな刀だ。
「このお礼はいつかお返しさせてください」
「その気持ちだけで嬉しいよ」
とはいっても、彼はきっと何かしらの形でお礼をしてくれるのだろう。ホワイトデーのことなんて知ったら、それこそすごいお返しが帰ってきそうだな、と想像して少し面白そうだとも思う。
何もお礼が欲しくて渡しているわけではないが、それでも気持ちというのは暖かくて嬉しいものだ。