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確かに恋だったbotヨリお題:短文集

お題:【どうしようあなたが愛しい】
※本気の恋は叶わないって、あの人が言ったから の続き。



「……よし。」

ルビーロードで踊る踊り子たちを眺めつつ。次の行き先を決めた。
アリゼーと話をして、この深い底から浮上してしまった想いを、もう一度鎮めるために。
今日は、お気に入りの場所へ行くことにした。
テレポもいいけど、景色を眺めていくから今日はチョコボポーターに乗る。

ドライボーンを経由してトランキルを抜けて、クォーリーミルへ。
そこからは自分のチョコボであと少し歩くと、そこに着く。

ーーーーーーーーーウルズの泉。

奥の奥にあるクリスタルの周りにいる敵も今の私には害はないから。
少し高い位置にあるそこまで駆け上がり、端の木々にチョコボを繋いだ。
手荷物と、脱いだ靴を括り付けて…冷たい底に足を浸す。
ひんやりとした水と、清浄な空気が私の中の淀んだ何かを消し飛ばしてくれる気がしてーーーー
少しの水音を立てながら、中央にそびえるクリスタルの前に立った
そこへ掌を当てて、冷たさにふるりと震える。

…どうか、この想いを沈めて。
彼の人に恋い焦がれる炎を…。

何となく、何かに祈るようにそんな事をいつも通りにしていると
ーーーーーーーーーーーーーーーー周りの空気が一瞬にして沈んだ。


「!? 何…?」

これは…【闘気】…!
グリダニア周辺の森林に古の蛮神:オーディンがやってくる時の天候だ。
確かに、このクリスタルはオーディンが封印されていた、場所。
まさ…か? ココに出てくるとでも…!?


【ウルズよ…】

「いけない!!」
触れていたクリスタルから手を離したが、遅かった。瞬きの間にクリスタルの傍へと降り立ったのはーーー

「オーディン…!」
咄嗟に脇へ刺していた武器を抜く。
…今日はそもそも戦闘する予定など無かった。いつものソロ活動時の盾の用意などしていない。
まあヒーラーだけどなんとかなるか…?と、魔術書を構える。と、その時


「伏せろ!」

かかる声と同時に水面へ膝をつくと、背後から一気に飛びかかったのは鋭い銀糸の一閃。

「ーーーサンクレッド!?」
「倒すぞ。…いけるか?」
「! ーーーーok」

唐突に始まった戦闘は然し、サンクレッドの加勢もありすんなり討伐できた。
キラキラと、粉砕したオーディンの姿は光に解けていく。
私もはぁ、と一つ息を吐いて、パタリと本を閉じた。
……びっくりした。今まで此処へ訪れてこんな事はなかったのに。このまま他所へ行っていたらと思うと…恐ろしい。ここで倒せて良かった。
そして…もう一つ驚いたのは、サンクレッドがここにきた、ということ。
タイミングが、良すぎる。…一体どうして? 然しその話をする前にきちんとお礼を言わねばならない。

「あの……助けてくれて、有難う」ーーーーーサンクレッド。そう彼の後ろから声をかけると、まだクリスタルの周囲を警戒していたが振り向いて。
「いや。…大丈夫か?」
私の腕を引き寄せ、何も問題はないかと肩や腕をぺたぺたと触ってきた。

「!!!だ、大丈夫だよ?!」唐突なその動作は正直心臓に悪い。
彼は、ただ、私を仲間として心配してくれただけだ。…そうに違いない。だからこんな風に驚いて、赤くなったりしたら駄目だ。
…駄目なのに、私は少し頬を染めてしまっていた。然しそれを見ただろう、彼は…特に誂うこともなく。

「…良かった。」
「!」
私の身体は、更に抱き寄せられていた。
「間に合わなかったら、どうしようかと」
「サンクレッド…」
私の背に回されている腕は強い。
それが…嬉しくて。どうしようもなく、喜んでしまう自分がいて。気がついたら、ぽろりと涙が溢れていた。

「っふ…」
「!?…おい…」
「…ありがとう…ごめん、ね」
「ーーー謝るな。」
すると、サンクレッドの指先が涙を拭ってくれて。そのまま…おとがいに指をかけると、彼は目元に口吻を落とした。
途端に顔が赤くなるのを感じる。
本当は顔を背けたいけれど彼の手に阻まれて、そのまま逃れられないように額をこつんと合わさせられた。至近距離から見つめてくる彼の眼は、とても真摯な光を帯びている。
…逸したいのに、逸らせない。私の心が乱れてしまう…嬉しくて。彼は、私ではない人に心が向いてるはずなのに。

「駄目、こんな事、しないで…」
「…どうして?」
「だって……サンクレッドは、好きな人いるんでしょ…?」だから私にこんな事はしてはいけない。
…それに、もっとして欲しいと私の心が叫んでしまうから。
無理やり彼の手から逃れるように頭を振ると、彼は一つ息を吐きもう一度緩く私の身体に腕を回して。少し…言い倦ねていたがーーー
「お前に謝らないといけないことがある」…そう話し始めた。


「お前のことが気になり始めたのが、いつだったかわからないけど」
「…?」
「いつからかずっと目線で追いかけるようになってた。ただ、だからこそお前が【誰かに惹かれ始めていた】事だけは、わかったんだ。」
だから…俺は【狡いこと】をした。
そう話すサンクレッドは一瞬言い淀んだ。…どうやら少々彼にとってバツの悪い話らしい。
「狡い、こと?」私が、思わず逸らせた彼との目線を合わせて問うと、苦笑しながらあの時の話をした。

「ああ。…以前、【本気の恋は叶わない】って話をしただろう?」
「!!」
「アレは…そう言ったら…お前がそいつを諦めて俺の方を見てくれるかもしれないって。」
狡いことを考えていたからなんだ。…と言うサンクレッド。
【なにそれ、アレはわざとだったってこと…?!】思わず彼を呆然と見やってしまった。
「な…にそれ…?!」
えっと・・・?じゃあ、サンクレッドは私が他の誰かに心があるとおもって、それを止めさせるためにそうしたって、事?しかも、寧ろサンクレッドはずっと私を見てくれてたって…事…?
どう、しよう。
なんてこと言ってくれたんだっていう怒る気持ちと、彼の気持ちが自分と同じって事に喜ぶ気持ちとがせめぎ合っている。徐々に頬が熱くなってきた。

…彼の言葉は続いていて。
「でもその後、お前はどんどんそういう感情を表に出さなくなっていっただろう。」
それ見て思ったんだ…ああ、俺は完全に見誤ったんだと。
お前がそんな風に心を凍らせてしまうとは思ってなくて。徐々に心からの笑みを消していくお前を見たら、なんてことを言ってしまったんだろうと思ったんだ。
「ーーーーーーーー悪かった。」ほんとに。…軽蔑しただろ?という彼は大変申し訳無さそうな体である。
そんな彼をみていると、私は…怒っていた気持ちがスルスルと消えていってしまって。
嬉しさと、なんだかもうどうしようもないな、という気持ちのまま笑ってしまった。

「フ…フフフ…なんだかなぁ。」
笑いながら、彼の肩に頬を寄せ。距離を取りたかったから彼の胸に当てていた腕は、そのまま背中に回した。だって仕方ないじゃないか…それを聞いても、好きな気持ちは変わらないんだもの。
「お前…」
然しこの狡い大人はどうしてくれようか?…ああでも、その前に知りたいことを全部聞いてしまおう。…今なら、ちゃんと答えてくれそうな気がする。もう一度視線を合わせるために、少し顔をあげる。

「…ねえサンクレッド」改めてきちんと目線を合わせて。
「うん?」
「どうしてこんなタイミング良く助けにこれたの?」
当初持った疑問をそのままぶつけてみる。と私の身体に回っていた腕は少しだけ強くなった。

「そりゃ…お前が何処で何してるのかは何時も把握してたからな」
「へぇ…?」
「一緒に旅したかったから。」いつでも、その手を取れるように。
「そ、う、だった…の?」
「ああ。…他の奴に聞いたりもしてたから、解る奴は解ってたかもしれんが」
「!!!」
あぁ…アリゼーの言葉はそいうことか…色々腑に落ちなかった事の意味が判ったが。
ほんとこの男、外堀埋めすぎでしょうよ。…という気がしてならない。思わず呆れてしまう。…それでも、心の中で喜んでいる自分がいるのも事実だった。
ーーーーーーどうしよう。あなたが愛しい。

「…まったく。その前に私への誤解を解く方が先だとは思わなかったの?」
「あー…すまない」それはほんとに。
反省しきりなサンクレッドを見ていると、クスクスと笑いが止まらない。
取り敢えず足も冷たいし此処からまずはどこか街に出て、ゆっくり休もう。

「…まあいっか。…取り敢えず戻るとするかな。」
一緒してくれるんでしょ?サンクレッド。ウルダハもどろ?と言いながら一瞬だけ彼を強く抱きしめた後腕を解き、チョコボを繋いでいた方へ身体を向けようとしたら。
「ああ。勿論」
「ふぁ」
解いた腕を強く引かれたかと思ったら、今度は彼に抱き上げられた。
「サンクレッド!」
「……良いだろ?」
「! フフ…」
留めたチョコボがいる位置までのほんの少しの間に、サンクレッドは幾つも私にキスをくれた。
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