もしも主人公が子供になったら…?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〇〇を小脇に抱えるようにして、ブラッドは歩みを再開した。さて、ちょうどいい暇潰しを手に入れた。早速部屋に戻ろうか。
ブラッドは当初の予定を変更した。もちろん、彼の頭の中でのみだ。
仕事の中止を部下に伝えなければならないのだが、その手間も省けそうだと、賑やかな足音を耳にしたブラッドは振り返った。
「――ここにいたのか、ブラッド…!こっちは準備を終えていつでも出発できるってのに、ボスがなかなか来ねえから心配してたんだぜ?なんか不備でも……って、なんだよそのガキ」
ブラッドの片腕の中でじたばた動く物体に気づき、三月ウサギは首を傾げた。真意を窺うように上司を見つめる。
「まさかとは思うが、攫ってきたんじゃねえよな…?」
「おまえはどう思う、エリオット?」
ブラッドが試すような口調で言うものだから、期待に応えねばとエリオットは意気込んだ。
睨みに似た眼差しで、じっと子供を見下ろして真相を探る。普通の子供なら裸足で逃げ出すこと必至の迫力だ。
〇〇も小さくなったことでエリオットがいつも以上に大きく見えるのか、若干身を引き気味である。
が、見た目は子供でも中身は大人、それなりに長い付き合いのある相手なのでそう簡単に怯みはしない。
「えっと……こんにちは、えりおっと」
宙に浮いた手足をぶらぶらさせながら、〇〇は礼儀正しく挨拶をした。
中身を知るブラッドは、その様子に違和感なく大人の〇〇を重ねたが、エリオットは驚いて目を見開いた。
「おまえ、なんで俺のことを知ってるんだ?」
「なんでといわれても。……ぼす?」
暗に種明かしをしてもいいかと問う余所者は、ブラッドの性格をよく理解していた。簡単に明かしては興醒めなのだ。
こんな非常時でも(そう、これは非常事態だ)こちらの意図を汲んで、わざわざ許可を求めるのだから、律儀というかなんというか。
面白い、とブラッドは愉快そうに目を細めた。ならば彼女の機転を無駄にせず、この状況を楽しもうじゃないか。
「エリオット。この子の母親には、おまえも会ったことがあるぞ」
「母親?」
そうだと頷いたブラッドは、にやりと不敵に笑む。「ちなみに――父親はこの私だ」
「なっ……!?」
「なっ、ふぐぅ」
エリオットと同じように驚いた幼い口を、手のひらで封じるブラッド。小さな顔のパーツをすべて塞ぎきらないよう気遣えただけでも上等だろう。
衝撃の“事実”を知らされた三月ウサギは、あんぐりと口を開いていた。
「ブ、ブラッドに子供……息子がいたなんて……っ!」
……ん、息子?ブラッドと〇〇は視線を合わせた。
確かに今の〇〇の姿はいつにもまして性別不明だ。髪の長さが幼さを手伝って、どちらかといえば男に見えるかもしれない。
むしろ一目で女だと見抜いたブラッドのほうが驚きに値する、というのがおそらく客観的意見だろう。
「あんまりだぜ、ブラッドーっ!俺に隠し事するなんて水臭いじゃねえか…!」
「わ、悪かった。私が悪かったから……泣くな」
欝陶しい、とはおそらくエリオットには聞こえていない、本音である。
ひとしきり恨み言やブラッドへの熱い気持ちを語ることで、エリオットは落ち着きを取り戻した。ようやく視線は再びブラッドの抱える存在へと向けられる。
「へえ、こいつがブラッドの息子か~。なあ、俺にも抱かせてくれっ」
「構わないが……加減を忘れるなよ」
「ああ、わかってる!」
敬愛する上司の子供、ということになっているのだ。エリオットは露ほどの疑いもなく、キラキラと目を輝かせて〇〇を腕に抱きかかえた。
「見た目はあんま父親には似なかったのか。けど、可愛いことに変わりねえよなあ!もうマジで可愛いぜっ。……ん?なんだこの胸の高鳴り」
もの言いたげな〇〇の視線に、エリオットは顔を赤くしてドキドキしているようだ。
だぼだぼの服が小さな肩から落ちかけ、真っ白な胸元が際どく露になっている。
幼すぎるため愛らしさしか感じられないが、これが大人の〇〇ならばと考えると真実を知るブラッドは笑みを禁じ得ない。
と、そのとき、変声期を迎えていない二人の少年の声が廊下に響いた。
「馬鹿ウサギに子供って……嘘だ!」
「僕は信じないよ。絶対信じない!」
「あん…?てめえら、なにしてんだよ。門番が持ち場から離れてんじゃねえ!」
この余興に飛び込み参加したのは屋敷の門番、ディーとダムだった。
本来なら職務怠慢を咎めるべきなのだろうが、これはこれで面白くなりそうだ。
大人のエリオットよりも、子供の双子のほうがこういうことには敏感らしい。彼らは駆け寄ってくるなり、躊躇いなくエリオットに斧を突きつけた。
「なっ、なんだよ?」
「馬鹿ウサギのくせに〇〇に手を出すなんて許せない!」
「そうだよ、あまつさえ子供まで作るなんて…!」
「はあっ?てめえら、なに言って…」
思いがけず余所者の名を出されて、エリオットは見るからに混乱していた。マフィアのNo.2ならば、そう容易く動じてもらっては困るのだが。
厄介なのが増えた、とありありと顔に浮かべる〇〇を、エリオットの腕から双子が奪取した。
「あっ、おい!?」
「ほら、見てよ。これは明らかに〇〇の遺伝子だよ、兄弟」
「間違いないね。ここまで似ていたら、疑う余地もないよ…」
斧を持ったまま検分する双子に、子供は青ざめて固まっている。
ショックを受けて沈むのは双子だが、エリオットはエリオットで“新事実”に気づかされて硬直していた。
「〇〇……母親は、〇〇なのか……?」
エリオットが茫然自失の体 で呟くと、双子がキッと食ってかかった。
「なに、すっとぼけて責任放棄する気?男として最低だ」
「そんな男に〇〇を手にする資格はないね。とりあえず遺産を遺して死ねよ」
〇〇を優しく床に下ろして、ディーとダムは武器を構えてじりじりと間を詰める。
対するエリオットはいまだ呆然から抜け出せずにいる。が、殺意に反応して意識を繋ぎとめているのか、
「……俺、じゃない」
「ハッ、この状況で言い逃れ?」
「見苦しいよ、ひよこウサギ」
「違う、俺じゃない。そいつの父親は……ブラッドだ」
重苦しいことこの上なく告げられた言葉は、その場に深い沈黙の幕を下ろした。
ブラッドは当初の予定を変更した。もちろん、彼の頭の中でのみだ。
仕事の中止を部下に伝えなければならないのだが、その手間も省けそうだと、賑やかな足音を耳にしたブラッドは振り返った。
「――ここにいたのか、ブラッド…!こっちは準備を終えていつでも出発できるってのに、ボスがなかなか来ねえから心配してたんだぜ?なんか不備でも……って、なんだよそのガキ」
ブラッドの片腕の中でじたばた動く物体に気づき、三月ウサギは首を傾げた。真意を窺うように上司を見つめる。
「まさかとは思うが、攫ってきたんじゃねえよな…?」
「おまえはどう思う、エリオット?」
ブラッドが試すような口調で言うものだから、期待に応えねばとエリオットは意気込んだ。
睨みに似た眼差しで、じっと子供を見下ろして真相を探る。普通の子供なら裸足で逃げ出すこと必至の迫力だ。
〇〇も小さくなったことでエリオットがいつも以上に大きく見えるのか、若干身を引き気味である。
が、見た目は子供でも中身は大人、それなりに長い付き合いのある相手なのでそう簡単に怯みはしない。
「えっと……こんにちは、えりおっと」
宙に浮いた手足をぶらぶらさせながら、〇〇は礼儀正しく挨拶をした。
中身を知るブラッドは、その様子に違和感なく大人の〇〇を重ねたが、エリオットは驚いて目を見開いた。
「おまえ、なんで俺のことを知ってるんだ?」
「なんでといわれても。……ぼす?」
暗に種明かしをしてもいいかと問う余所者は、ブラッドの性格をよく理解していた。簡単に明かしては興醒めなのだ。
こんな非常時でも(そう、これは非常事態だ)こちらの意図を汲んで、わざわざ許可を求めるのだから、律儀というかなんというか。
面白い、とブラッドは愉快そうに目を細めた。ならば彼女の機転を無駄にせず、この状況を楽しもうじゃないか。
「エリオット。この子の母親には、おまえも会ったことがあるぞ」
「母親?」
そうだと頷いたブラッドは、にやりと不敵に笑む。「ちなみに――父親はこの私だ」
「なっ……!?」
「なっ、ふぐぅ」
エリオットと同じように驚いた幼い口を、手のひらで封じるブラッド。小さな顔のパーツをすべて塞ぎきらないよう気遣えただけでも上等だろう。
衝撃の“事実”を知らされた三月ウサギは、あんぐりと口を開いていた。
「ブ、ブラッドに子供……息子がいたなんて……っ!」
……ん、息子?ブラッドと〇〇は視線を合わせた。
確かに今の〇〇の姿はいつにもまして性別不明だ。髪の長さが幼さを手伝って、どちらかといえば男に見えるかもしれない。
むしろ一目で女だと見抜いたブラッドのほうが驚きに値する、というのがおそらく客観的意見だろう。
「あんまりだぜ、ブラッドーっ!俺に隠し事するなんて水臭いじゃねえか…!」
「わ、悪かった。私が悪かったから……泣くな」
欝陶しい、とはおそらくエリオットには聞こえていない、本音である。
ひとしきり恨み言やブラッドへの熱い気持ちを語ることで、エリオットは落ち着きを取り戻した。ようやく視線は再びブラッドの抱える存在へと向けられる。
「へえ、こいつがブラッドの息子か~。なあ、俺にも抱かせてくれっ」
「構わないが……加減を忘れるなよ」
「ああ、わかってる!」
敬愛する上司の子供、ということになっているのだ。エリオットは露ほどの疑いもなく、キラキラと目を輝かせて〇〇を腕に抱きかかえた。
「見た目はあんま父親には似なかったのか。けど、可愛いことに変わりねえよなあ!もうマジで可愛いぜっ。……ん?なんだこの胸の高鳴り」
もの言いたげな〇〇の視線に、エリオットは顔を赤くしてドキドキしているようだ。
だぼだぼの服が小さな肩から落ちかけ、真っ白な胸元が際どく露になっている。
幼すぎるため愛らしさしか感じられないが、これが大人の〇〇ならばと考えると真実を知るブラッドは笑みを禁じ得ない。
と、そのとき、変声期を迎えていない二人の少年の声が廊下に響いた。
「馬鹿ウサギに子供って……嘘だ!」
「僕は信じないよ。絶対信じない!」
「あん…?てめえら、なにしてんだよ。門番が持ち場から離れてんじゃねえ!」
この余興に飛び込み参加したのは屋敷の門番、ディーとダムだった。
本来なら職務怠慢を咎めるべきなのだろうが、これはこれで面白くなりそうだ。
大人のエリオットよりも、子供の双子のほうがこういうことには敏感らしい。彼らは駆け寄ってくるなり、躊躇いなくエリオットに斧を突きつけた。
「なっ、なんだよ?」
「馬鹿ウサギのくせに〇〇に手を出すなんて許せない!」
「そうだよ、あまつさえ子供まで作るなんて…!」
「はあっ?てめえら、なに言って…」
思いがけず余所者の名を出されて、エリオットは見るからに混乱していた。マフィアのNo.2ならば、そう容易く動じてもらっては困るのだが。
厄介なのが増えた、とありありと顔に浮かべる〇〇を、エリオットの腕から双子が奪取した。
「あっ、おい!?」
「ほら、見てよ。これは明らかに〇〇の遺伝子だよ、兄弟」
「間違いないね。ここまで似ていたら、疑う余地もないよ…」
斧を持ったまま検分する双子に、子供は青ざめて固まっている。
ショックを受けて沈むのは双子だが、エリオットはエリオットで“新事実”に気づかされて硬直していた。
「〇〇……母親は、〇〇なのか……?」
エリオットが茫然自失の
「なに、すっとぼけて責任放棄する気?男として最低だ」
「そんな男に〇〇を手にする資格はないね。とりあえず遺産を遺して死ねよ」
〇〇を優しく床に下ろして、ディーとダムは武器を構えてじりじりと間を詰める。
対するエリオットはいまだ呆然から抜け出せずにいる。が、殺意に反応して意識を繋ぎとめているのか、
「……俺、じゃない」
「ハッ、この状況で言い逃れ?」
「見苦しいよ、ひよこウサギ」
「違う、俺じゃない。そいつの父親は……ブラッドだ」
重苦しいことこの上なく告げられた言葉は、その場に深い沈黙の幕を下ろした。