ハートの国のアリス(代理)。
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時計屋の素直な反応に気を良くしたアリスは、その調子よと〇〇を鼓舞した。
特に自信がついたわけでもないが、ユリウスの狼狽っぷりにほんの少し癒された。気がする。
〇〇はすっかり諦めモードだった。こうなったら、とことん彼女に付き合うしかない。
思えば、日頃の付けが回ってきたのかもしれない。
アリスをあっちの役持ちとくっつけ、こっちの役持ちとくっつけして、自分本位に妄想を楽しむ〇〇。
それを目的としてこの世界にいるわけだが…今、二人の立場は逆転していた。
(いつもお世話になってるんだ。今日一日くらいは、アリスに従おう…)
お詫びを兼ねて。リアルでも脳内でも、本当に毎日大変お世話になっております。
〇〇は殊勝な顔をしてアリスに付き従い、帽子屋屋敷を目指して歩いた。
道中、男がどういう仕草に弱いかといったレクチャーを受ける。
彼女が言う攻略法はごく一般的なもので、〇〇は一応頷きながら聞いていた。
(問題はそれを行う人間なんだけど……せめて、お手本見せてくれないかな)
これから向かう先にもまた厄介な役持ちがいる。誰とは言うまい。
最初に出会った役持ちがターゲットになるのなら、順当にいけば相手は決まっていた。
同時に二人は些か難しい。あらかじめ作戦を立てて本番に備えようと、頭の中でシミュレーションする。
そうやって帽子屋屋敷を訪れたアリスと〇〇だったが、いるはずの門の番人の姿はなかった。
代わりに、鮮やかな色の髪から人間のものではない耳を生やした男がいた。
「〇〇。次はエリオットみたいね」
「なんでエリオット……」
せっかく用意していた対双子プランは崩れ去った。なんということだ。
代案を考える間もなく、アリスは三月ウサギに近づいていく。しかたなく〇〇も倣った。
「おっ、アリスと〇〇じゃねえか!」
「こんにちは。今日はエリオットが門番…なわけないわよね」
アリスがディーとダムの所在を問うと、エリオットは苛立たしげに髪を掻き上げた。
あいつらまたサボりやがって、とお冠のご様子である。これまたタイミングが悪い。
少し時間を置いてから仕切り直したいところだが、先延ばしにしても結局やることは変わらない。
それならさっさと終わらせようと、〇〇はエリオットに接近した。
(照れるまでいかなくても、驚かせるだけなら、あたしでも…)
エリオットがふとこちらに気づき、「〇〇?」と首を傾げた。〇〇の足は止まらない。
言葉を交わすには不自然な近さになっても、まだ近づく。
異様な空気を感じ取ったのか、エリオットは後ずさった。それでもどんどん進んでいく。
「えっ、なっ、おい、〇〇…っ?」
がたいのいい、それもマフィアを生業としている男が、気圧されたように下がる。
ついに相手を塀へと追いつめた〇〇は、手のひらを彼の背後に突き出した。
憧れのシチュエーションと昨今名高い、所謂“壁ドン”の完成である。
(こういうのが似合うのって、美男美女限定じゃない?)
片方が残念なこの現実では、まあ絵にならないこと。
冷めた実感を抱きつつ、〇〇はさらにずいっと身体を寄せた。
駄目押しとばかりにエリオットを見上げる。この体勢は実に首に優しくない。
上目遣いが効果的と聞いていたが、やり方がいまいちわからない。あ、白目剥きそう。
苦労の甲斐あってか、エリオットは目を泳がせ平静を失っている。いい感じだ。
〇〇は役持ちにある種の脅威を与えられたことに満足する。
エリオット、と親しみを込めて名前を呼べば、長いウサギの耳がぶるりと震えた。
「ッ、〇〇……!」
頬を紅潮させて目を潤ませ、衝動に駆られそうになったエリオットを、〇〇は見ていなかった。
伸ばされた両腕に気づかず見事に擦り抜け、アリスの傍へと戻っていく。
「ふう……。こんなもんでどうよ、アリス?」
「ええ、なかなか見物だったわ」
アリスはいい子いい子と〇〇の頭を撫で、次に行きましょうとその手を引いた。
「それじゃあ、エリオット。また遊びに来るわね」
「エリオットー、なんかごめんなー」
呆気なく去っていく二人の余所者を見送る、三月ウサギの大きな背中。
――しばらくして、その背に気だるげな声がかけられたとか。
「エリオット。先ほどお嬢さん達が来ていたようだが…?」
「……男心を弄ばれた」
「は?」
特に自信がついたわけでもないが、ユリウスの狼狽っぷりにほんの少し癒された。気がする。
〇〇はすっかり諦めモードだった。こうなったら、とことん彼女に付き合うしかない。
思えば、日頃の付けが回ってきたのかもしれない。
アリスをあっちの役持ちとくっつけ、こっちの役持ちとくっつけして、自分本位に妄想を楽しむ〇〇。
それを目的としてこの世界にいるわけだが…今、二人の立場は逆転していた。
(いつもお世話になってるんだ。今日一日くらいは、アリスに従おう…)
お詫びを兼ねて。リアルでも脳内でも、本当に毎日大変お世話になっております。
〇〇は殊勝な顔をしてアリスに付き従い、帽子屋屋敷を目指して歩いた。
道中、男がどういう仕草に弱いかといったレクチャーを受ける。
彼女が言う攻略法はごく一般的なもので、〇〇は一応頷きながら聞いていた。
(問題はそれを行う人間なんだけど……せめて、お手本見せてくれないかな)
これから向かう先にもまた厄介な役持ちがいる。誰とは言うまい。
最初に出会った役持ちがターゲットになるのなら、順当にいけば相手は決まっていた。
同時に二人は些か難しい。あらかじめ作戦を立てて本番に備えようと、頭の中でシミュレーションする。
そうやって帽子屋屋敷を訪れたアリスと〇〇だったが、いるはずの門の番人の姿はなかった。
代わりに、鮮やかな色の髪から人間のものではない耳を生やした男がいた。
「〇〇。次はエリオットみたいね」
「なんでエリオット……」
せっかく用意していた対双子プランは崩れ去った。なんということだ。
代案を考える間もなく、アリスは三月ウサギに近づいていく。しかたなく〇〇も倣った。
「おっ、アリスと〇〇じゃねえか!」
「こんにちは。今日はエリオットが門番…なわけないわよね」
アリスがディーとダムの所在を問うと、エリオットは苛立たしげに髪を掻き上げた。
あいつらまたサボりやがって、とお冠のご様子である。これまたタイミングが悪い。
少し時間を置いてから仕切り直したいところだが、先延ばしにしても結局やることは変わらない。
それならさっさと終わらせようと、〇〇はエリオットに接近した。
(照れるまでいかなくても、驚かせるだけなら、あたしでも…)
エリオットがふとこちらに気づき、「〇〇?」と首を傾げた。〇〇の足は止まらない。
言葉を交わすには不自然な近さになっても、まだ近づく。
異様な空気を感じ取ったのか、エリオットは後ずさった。それでもどんどん進んでいく。
「えっ、なっ、おい、〇〇…っ?」
がたいのいい、それもマフィアを生業としている男が、気圧されたように下がる。
ついに相手を塀へと追いつめた〇〇は、手のひらを彼の背後に突き出した。
憧れのシチュエーションと昨今名高い、所謂“壁ドン”の完成である。
(こういうのが似合うのって、美男美女限定じゃない?)
片方が残念なこの現実では、まあ絵にならないこと。
冷めた実感を抱きつつ、〇〇はさらにずいっと身体を寄せた。
駄目押しとばかりにエリオットを見上げる。この体勢は実に首に優しくない。
上目遣いが効果的と聞いていたが、やり方がいまいちわからない。あ、白目剥きそう。
苦労の甲斐あってか、エリオットは目を泳がせ平静を失っている。いい感じだ。
〇〇は役持ちにある種の脅威を与えられたことに満足する。
エリオット、と親しみを込めて名前を呼べば、長いウサギの耳がぶるりと震えた。
「ッ、〇〇……!」
頬を紅潮させて目を潤ませ、衝動に駆られそうになったエリオットを、〇〇は見ていなかった。
伸ばされた両腕に気づかず見事に擦り抜け、アリスの傍へと戻っていく。
「ふう……。こんなもんでどうよ、アリス?」
「ええ、なかなか見物だったわ」
アリスはいい子いい子と〇〇の頭を撫で、次に行きましょうとその手を引いた。
「それじゃあ、エリオット。また遊びに来るわね」
「エリオットー、なんかごめんなー」
呆気なく去っていく二人の余所者を見送る、三月ウサギの大きな背中。
――しばらくして、その背に気だるげな声がかけられたとか。
「エリオット。先ほどお嬢さん達が来ていたようだが…?」
「……男心を弄ばれた」
「は?」