ハートの国のアリス(代理)。
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ハートの城を出た〇〇はとぼとぼと歩いていた。アリスに手を引かれ、視線は地面を這う。
〇〇が引き出した白ウサギの“デレ”を不服であると断じたアリス。
彼女は巧みにペーターの意欲を掻き立て、仕事に向かわせた。
ペタアリが、と嘆いている暇はなかった。彼が駄目ならと、アリスが次の役持ちを探しに行こうとしたからだ。
(ハートの城は揃いも揃ってハードル高すぎ…)
ハートの女王様は現在、夕方の時間帯がなかなか巡ってこないことに苛立ちを募らせている。
声をかけに行くことさえ躊躇われる。下手に刺激しないほうが身のためだ。
ハートの騎士は言わずもがな。あの男の照れた顔など誰が想像できよう。
同じく下手に接触を試みようものなら、むしろこちらが被害者になりかねない。
アリスを説き伏せて、なんとかハートの城を脱出することには成功した。
が、それは次があるからとやむを得ず説得したからであり、一難去ってまた一難とはこのことである。
「アリスぅ……あたし、本当に死んじゃうかもしんない」
ある意味ペーターはもっとも手強い相手だったが、一方で、アリスと絡めれば難易度は意外と下がった。
難関を突破しても先は長い。自分のどんな態度がいつ、どの役持ちの癇に障るかも知れないのだ。
「絶対イラっとして殺られる…」
「大丈夫よ。〇〇のことは私が守るわ」
「…おー」
なんという男前。胸がきゅんとした。これが人生最後のトキメキだったら笑える。
確かにアリスが傍にいれば、滅多なことにはならないと思うが…。
〇〇の晴れない顔を見て、アリスは繋いだ手を力強く握った。
「あなたはもっと自分に自信を持ってもいいと思うの」
「自信…?」
役持ち達をどうこうできるという自信だろうか。そんなもの皆無である。
「次はとっておきの場所に行きましょう!」
――そうして、ぐいぐい引っ張っていかれたのは、時計塔だった。
部屋にいた引きこもりの時計屋は、いつもどおり黙々と仕事をこなしていた。
顔を上げて来客を確認し、「おまえ達か」と言ってまた作業を再開する。
アリスは「こんにちは、ユリウス」と挨拶をしながら、陰で〇〇をせっついた。
〇〇は無表情で浅く頷くと、椅子に座るユリウスに近づいていった。
(できるかできないかと言われたら…できないけど…為せば成る、のか……?)
甚だ疑問ではあるが、〇〇はさらに接近した。おかしなほど距離は縮まる。
影に覆われたユリウスが、首を傾げるように机上から目を離した直後、
「ただいま」
その顔目がけて抱きついた。瞬時に、ユリウスの背筋がぴーんと素晴らしく伸びる。
ただいまの抱擁など一度もしたことがない。これなら十分動揺を誘えるはずだ。
腕の中の頭は動かない。大の男がされるがままというのは、ちょっと面白い。
少々強引な手法をとってしまったと思ったが、〇〇はついでに彼の長い髪を手で梳いた。
「おお、さらさらー」
「っ、な、なんだ、これはなんなんだ〇〇…っ!?」
やっと硬直状態から復活したユリウスは、激しく狼狽していた。
「あたしは疲れた…アナタが癒してよー」
ないもの強請りで心の呟きを漏らせば、図らずも追い打ちになってしまった。
顔を見ずとも熱の上昇を知る。頭の上から湯気が立ちそうだ。
白ウサギと比べてあまりに単純だが、滑稽というよりは、可愛いところもあるじゃないかと好印象を受けた。
彼は〇〇では話にならないと思ったのか、もう一人の余所者がいるほうへと必死に顔を向けた。
「アリスっ、こいつは頭を打ったのか!?」
「あらユリウス、そんなに慌てふためいてどうしたの」
共犯者である少女は救いの手を差し伸べるどころか、素直に喜べばいいじゃない、などと笑う。
(いや、喜べるようなシチュエーションでもないと思う…)
もがく男の頭を肉づきの乏しい胸に抱えながら、〇〇はひとつ学習した。
――使えない女の武器も、相手によっては有効。(マニアックなのか?)
〇〇が引き出した白ウサギの“デレ”を不服であると断じたアリス。
彼女は巧みにペーターの意欲を掻き立て、仕事に向かわせた。
ペタアリが、と嘆いている暇はなかった。彼が駄目ならと、アリスが次の役持ちを探しに行こうとしたからだ。
(ハートの城は揃いも揃ってハードル高すぎ…)
ハートの女王様は現在、夕方の時間帯がなかなか巡ってこないことに苛立ちを募らせている。
声をかけに行くことさえ躊躇われる。下手に刺激しないほうが身のためだ。
ハートの騎士は言わずもがな。あの男の照れた顔など誰が想像できよう。
同じく下手に接触を試みようものなら、むしろこちらが被害者になりかねない。
アリスを説き伏せて、なんとかハートの城を脱出することには成功した。
が、それは次があるからとやむを得ず説得したからであり、一難去ってまた一難とはこのことである。
「アリスぅ……あたし、本当に死んじゃうかもしんない」
ある意味ペーターはもっとも手強い相手だったが、一方で、アリスと絡めれば難易度は意外と下がった。
難関を突破しても先は長い。自分のどんな態度がいつ、どの役持ちの癇に障るかも知れないのだ。
「絶対イラっとして殺られる…」
「大丈夫よ。〇〇のことは私が守るわ」
「…おー」
なんという男前。胸がきゅんとした。これが人生最後のトキメキだったら笑える。
確かにアリスが傍にいれば、滅多なことにはならないと思うが…。
〇〇の晴れない顔を見て、アリスは繋いだ手を力強く握った。
「あなたはもっと自分に自信を持ってもいいと思うの」
「自信…?」
役持ち達をどうこうできるという自信だろうか。そんなもの皆無である。
「次はとっておきの場所に行きましょう!」
――そうして、ぐいぐい引っ張っていかれたのは、時計塔だった。
部屋にいた引きこもりの時計屋は、いつもどおり黙々と仕事をこなしていた。
顔を上げて来客を確認し、「おまえ達か」と言ってまた作業を再開する。
アリスは「こんにちは、ユリウス」と挨拶をしながら、陰で〇〇をせっついた。
〇〇は無表情で浅く頷くと、椅子に座るユリウスに近づいていった。
(できるかできないかと言われたら…できないけど…為せば成る、のか……?)
甚だ疑問ではあるが、〇〇はさらに接近した。おかしなほど距離は縮まる。
影に覆われたユリウスが、首を傾げるように机上から目を離した直後、
「ただいま」
その顔目がけて抱きついた。瞬時に、ユリウスの背筋がぴーんと素晴らしく伸びる。
ただいまの抱擁など一度もしたことがない。これなら十分動揺を誘えるはずだ。
腕の中の頭は動かない。大の男がされるがままというのは、ちょっと面白い。
少々強引な手法をとってしまったと思ったが、〇〇はついでに彼の長い髪を手で梳いた。
「おお、さらさらー」
「っ、な、なんだ、これはなんなんだ〇〇…っ!?」
やっと硬直状態から復活したユリウスは、激しく狼狽していた。
「あたしは疲れた…アナタが癒してよー」
ないもの強請りで心の呟きを漏らせば、図らずも追い打ちになってしまった。
顔を見ずとも熱の上昇を知る。頭の上から湯気が立ちそうだ。
白ウサギと比べてあまりに単純だが、滑稽というよりは、可愛いところもあるじゃないかと好印象を受けた。
彼は〇〇では話にならないと思ったのか、もう一人の余所者がいるほうへと必死に顔を向けた。
「アリスっ、こいつは頭を打ったのか!?」
「あらユリウス、そんなに慌てふためいてどうしたの」
共犯者である少女は救いの手を差し伸べるどころか、素直に喜べばいいじゃない、などと笑う。
(いや、喜べるようなシチュエーションでもないと思う…)
もがく男の頭を肉づきの乏しい胸に抱えながら、〇〇はひとつ学習した。
――使えない女の武器も、相手によっては有効。(マニアックなのか?)