ハートの国のアリス(代理)。
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――ハートの城、廊下にて。
スカートの裾を揺らして意気揚々と歩く少女と、暗く淀んだ空気に包まれ重たげに歩く女。
対照的な二人の余所者を見て、何事だろうかと首を傾げる顔なし達。
軽やかに振り返ったアリスは、ぱっと両手を合わせて楽しげに言った。
「さて、まずはこのお城からね!ふふっ、誰にしようかしら」
〇〇は生気の失せた面持ちで、ゆっくりと挙手した。なあに、と邪気なく尋ねるアリスが恨めしい。
「アリス……どうしてもやるの」
「もちろんよ!」
「……そーですか」
駄目だ。今のアリスを止めるだけの力が出ない。
〇〇はスキップでも始めそうな彼女の後ろについて、またとろとろと歩き出した。
先ほどまでのハイテンションはどこに行ってしまったのか、まるでやる気が湧かない。
てっきりアリスが役持ちに仕掛けるのだとばかり思っていた。
サプライズイベントに舌舐めずりしていたというのに、実際はとんでもない企画だった。
なんと、アリスは〇〇を使って役持ちを照れさせようというのである。
(フラグ立った……死ぬ……)
精神的な絶望もあるが、バッドエンドの可能性が俄かに浮上した。
アリスはこれから各領土を回り、それぞれの場所で、とりあえず誰か一人をターゲットにするつもりらしい。
しかし、ハートの城から生きて出られる気がしない。なにしろ前方からやってきたのが、
「――アリスっ、会いたかったです…!」
ペーター=ホワイト、その人だったので。
上機嫌なアリスは、飛びかかってくる白ウサギを寛大に受け止めた。
ペタアリラブ、と〇〇は反射的に小さく拳を握ったものの、依然として目は生き返らない。
ペーターの淀みなく紡がれる愛の言葉に、アリスは適当に相槌を打ちながら、こっそりアイコンタクト。
今か。今やれってか。……この状況で?
いったいどんな手を使えば、絶対零度のウサギさんを攻略できるというのか。
(でも、なにもしないでいたら、絶対納得しないよなー…)
自身の目的の遂行のためには、ときにはこんな苦行も耐えねばならない。
なんだかんだ言いつつも、アリスには弱い〇〇である。
ペーターとてアリスの前で、彼女の友人である余所者を惨たらしく殺したりはしないだろう。
そう腹を括ったはいいが、いかんせん作戦を考える時間が少なすぎた。
「……で、そこのあなたはいったいなにをしているんです?」
やるなら不意打ちで、と考えた矢先に、赤い目に射抜かれ出端を挫かれた。
一応存在には気づかれていたようだ。できれば空気に徹していたかった。
〇〇はこうなりゃ自棄だと硬い表情筋を動かし、営業スマイルを浮かべた。
「こんにちは、ペーター。今日も驚きの素敵な白さだね」
「……。……は?」
あれ、なんか間違えた?ペーターは怪訝な顔をしている。褒めたつもりなのだが。
「馬鹿にしているんですか?」
「いやいや、そうじゃなくてさ。…えーと、ペーターは色白だから、その赤い服、ぴったり似合ってる」
「……」
「似合ってると言えば、そう、そうやってアリスと並ぶとまさにベストカップルだ」
「……そうですか」
お、相手の表情が僅かばかり緩んだぞ。〇〇は少し瞳の輝きを取り戻した。
方向性がわかった気がする。そうだ、この手があるではないか。
なにも〇〇自身が直接どうこうするだけが方法ではない。ペーターにもっとも有効的なのは、
(――アリスしかない…!)
そうと決まれば話は早く、〇〇は饒舌に喋り出した。端的に言うとペタアリの良さをである。
創作の世界云々という禁忌には抵触することなく、いかに二人が素晴らしいかを滔々と語る。語る。語る。
すると、最初は胡乱げに聞いていた白ウサギも、次第に態度の軟化を見せ始めた。
自分のことより、アリスとの関係を称賛されるほうが嬉しいとはペーターらしい。
腕を組み、時折眼鏡を押し上げる彼は、満更でもない様子で、
「…まあ、あなたに言われるようなことではありませんけど」
と、そわそわと隣の少女に熱視線を送る姿は、まさに〇〇が求めていたものだった。
(よっしゃ、これでペーターはクリア…!)
〇〇はガッツポーズをして、アリスに期待の眼差しを向けた。しかし。
白ウサギの愛を跳ね返すほどの冷やかな微笑みと出会い、握りしめた拳が小刻みに震えた。
スカートの裾を揺らして意気揚々と歩く少女と、暗く淀んだ空気に包まれ重たげに歩く女。
対照的な二人の余所者を見て、何事だろうかと首を傾げる顔なし達。
軽やかに振り返ったアリスは、ぱっと両手を合わせて楽しげに言った。
「さて、まずはこのお城からね!ふふっ、誰にしようかしら」
〇〇は生気の失せた面持ちで、ゆっくりと挙手した。なあに、と邪気なく尋ねるアリスが恨めしい。
「アリス……どうしてもやるの」
「もちろんよ!」
「……そーですか」
駄目だ。今のアリスを止めるだけの力が出ない。
〇〇はスキップでも始めそうな彼女の後ろについて、またとろとろと歩き出した。
先ほどまでのハイテンションはどこに行ってしまったのか、まるでやる気が湧かない。
てっきりアリスが役持ちに仕掛けるのだとばかり思っていた。
サプライズイベントに舌舐めずりしていたというのに、実際はとんでもない企画だった。
なんと、アリスは〇〇を使って役持ちを照れさせようというのである。
(フラグ立った……死ぬ……)
精神的な絶望もあるが、バッドエンドの可能性が俄かに浮上した。
アリスはこれから各領土を回り、それぞれの場所で、とりあえず誰か一人をターゲットにするつもりらしい。
しかし、ハートの城から生きて出られる気がしない。なにしろ前方からやってきたのが、
「――アリスっ、会いたかったです…!」
ペーター=ホワイト、その人だったので。
上機嫌なアリスは、飛びかかってくる白ウサギを寛大に受け止めた。
ペタアリラブ、と〇〇は反射的に小さく拳を握ったものの、依然として目は生き返らない。
ペーターの淀みなく紡がれる愛の言葉に、アリスは適当に相槌を打ちながら、こっそりアイコンタクト。
今か。今やれってか。……この状況で?
いったいどんな手を使えば、絶対零度のウサギさんを攻略できるというのか。
(でも、なにもしないでいたら、絶対納得しないよなー…)
自身の目的の遂行のためには、ときにはこんな苦行も耐えねばならない。
なんだかんだ言いつつも、アリスには弱い〇〇である。
ペーターとてアリスの前で、彼女の友人である余所者を惨たらしく殺したりはしないだろう。
そう腹を括ったはいいが、いかんせん作戦を考える時間が少なすぎた。
「……で、そこのあなたはいったいなにをしているんです?」
やるなら不意打ちで、と考えた矢先に、赤い目に射抜かれ出端を挫かれた。
一応存在には気づかれていたようだ。できれば空気に徹していたかった。
〇〇はこうなりゃ自棄だと硬い表情筋を動かし、営業スマイルを浮かべた。
「こんにちは、ペーター。今日も驚きの素敵な白さだね」
「……。……は?」
あれ、なんか間違えた?ペーターは怪訝な顔をしている。褒めたつもりなのだが。
「馬鹿にしているんですか?」
「いやいや、そうじゃなくてさ。…えーと、ペーターは色白だから、その赤い服、ぴったり似合ってる」
「……」
「似合ってると言えば、そう、そうやってアリスと並ぶとまさにベストカップルだ」
「……そうですか」
お、相手の表情が僅かばかり緩んだぞ。〇〇は少し瞳の輝きを取り戻した。
方向性がわかった気がする。そうだ、この手があるではないか。
なにも〇〇自身が直接どうこうするだけが方法ではない。ペーターにもっとも有効的なのは、
(――アリスしかない…!)
そうと決まれば話は早く、〇〇は饒舌に喋り出した。端的に言うとペタアリの良さをである。
創作の世界云々という禁忌には抵触することなく、いかに二人が素晴らしいかを滔々と語る。語る。語る。
すると、最初は胡乱げに聞いていた白ウサギも、次第に態度の軟化を見せ始めた。
自分のことより、アリスとの関係を称賛されるほうが嬉しいとはペーターらしい。
腕を組み、時折眼鏡を押し上げる彼は、満更でもない様子で、
「…まあ、あなたに言われるようなことではありませんけど」
と、そわそわと隣の少女に熱視線を送る姿は、まさに〇〇が求めていたものだった。
(よっしゃ、これでペーターはクリア…!)
〇〇はガッツポーズをして、アリスに期待の眼差しを向けた。しかし。
白ウサギの愛を跳ね返すほどの冷やかな微笑みと出会い、握りしめた拳が小刻みに震えた。