ハートの国のアリス(代理)。
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「照れた顔を見てみたいわ」
「…藪から棒に、どうした?」
それは独り言だったのかもしれない。〇〇は顔を上げたが、アリスと目は合わなかった。
彼女は膝の上に本を広げたまま、宙に浮いていた視線をこちらに下げた。
今度はばっちり視線が交わる。アリスは独り言を呟いたそのままの表情で、
「照れた顔を見てみたいの」
「うん、二回目だな。……で、誰の顔を見たいって?」
テーブルの上には、見るからにおいしそうなアフタヌーンティーセットが二人分。
少し無残に崩されたケーキが〇〇の皿で、もう一方はいまだ手つかずである。
〇〇はクリームのついたフォークを舐め、いったん手を止めた。本腰を入れて、アリスの話を聞こうじゃないか。
〇〇が聞く姿勢になると、アリスはカップを持ち上げて一口含んだ。
ほっと息をついた後、同意を求めるような調子で語り出した。
「ねえ、〇〇。私もあなたも、この世界に来てから随分と経つわよね」
「まあねー」
「私としては、結構いろんなことをわかったつもりでいたんだけど…いまだに驚かされることがあるの」
「それはしかたないよ。ここは不思議な世界だから」
〇〇も繊細な取っ手を摘んで紅茶を啜る。思えば、主な飲み物が紅茶になって久しい。
ゲームの世界に来る前は、麦茶や番茶、ほうじ茶などをよく飲んでいたものだ。
ああ、日本食から離れてどれくらい経つだろう。急に食べたくなってきた。
〇〇は首を振って現実を遠ざけた。素晴らしい夢を見ている最中に、敢えて我に返ることもなかろう。
「そうなんだけど、考えてみて。驚かされるばかりなんて、なんだか悔しいじゃない」
そうだろうか、と考えて、そうかもしれない、と思い直した。
〇〇のように予備知識があればまだしも、ヒロインであるアリスにとっては未知の世界だ。
自身の持つ常識は通用せず、価値観はあっさりひっくり返される。
余所者が受ける諸々の衝撃に比べると、役持ち達のなんと悠然たることか。
しかたないの一言で切り捨てるには、〇〇のアリスへの情は些か深かった。
「…要するに。腹いせに、彼らを逆に驚かせてやろうって話か」
面白そうだと不敵に笑う〇〇に、「言葉が悪いわよ」と突っ込みが入った。あらま。
「驚かせるというか、動揺させてみたいの。それなら、照れさせるのもひとつの手でしょう?」
「おっけー。そういう話なら、あたしも乗ろう」
〇〇は残りのケーキにフォークを突き刺し、大きな口を開けて頬張った。
素敵なイベントの発生だ。これはアリス総受け主義の腕が鳴る。
〇〇の快諾を受けて、アリスの顔が綻んだ。誰もが素直に可愛いと思える、魅力的な笑顔。
「それじゃあ〇〇、よろしくね!」
その言葉に含まれる重大な意味合いを知ったのは、すぐ後のことだった。
「…藪から棒に、どうした?」
それは独り言だったのかもしれない。〇〇は顔を上げたが、アリスと目は合わなかった。
彼女は膝の上に本を広げたまま、宙に浮いていた視線をこちらに下げた。
今度はばっちり視線が交わる。アリスは独り言を呟いたそのままの表情で、
「照れた顔を見てみたいの」
「うん、二回目だな。……で、誰の顔を見たいって?」
テーブルの上には、見るからにおいしそうなアフタヌーンティーセットが二人分。
少し無残に崩されたケーキが〇〇の皿で、もう一方はいまだ手つかずである。
〇〇はクリームのついたフォークを舐め、いったん手を止めた。本腰を入れて、アリスの話を聞こうじゃないか。
〇〇が聞く姿勢になると、アリスはカップを持ち上げて一口含んだ。
ほっと息をついた後、同意を求めるような調子で語り出した。
「ねえ、〇〇。私もあなたも、この世界に来てから随分と経つわよね」
「まあねー」
「私としては、結構いろんなことをわかったつもりでいたんだけど…いまだに驚かされることがあるの」
「それはしかたないよ。ここは不思議な世界だから」
〇〇も繊細な取っ手を摘んで紅茶を啜る。思えば、主な飲み物が紅茶になって久しい。
ゲームの世界に来る前は、麦茶や番茶、ほうじ茶などをよく飲んでいたものだ。
ああ、日本食から離れてどれくらい経つだろう。急に食べたくなってきた。
〇〇は首を振って現実を遠ざけた。素晴らしい夢を見ている最中に、敢えて我に返ることもなかろう。
「そうなんだけど、考えてみて。驚かされるばかりなんて、なんだか悔しいじゃない」
そうだろうか、と考えて、そうかもしれない、と思い直した。
〇〇のように予備知識があればまだしも、ヒロインであるアリスにとっては未知の世界だ。
自身の持つ常識は通用せず、価値観はあっさりひっくり返される。
余所者が受ける諸々の衝撃に比べると、役持ち達のなんと悠然たることか。
しかたないの一言で切り捨てるには、〇〇のアリスへの情は些か深かった。
「…要するに。腹いせに、彼らを逆に驚かせてやろうって話か」
面白そうだと不敵に笑う〇〇に、「言葉が悪いわよ」と突っ込みが入った。あらま。
「驚かせるというか、動揺させてみたいの。それなら、照れさせるのもひとつの手でしょう?」
「おっけー。そういう話なら、あたしも乗ろう」
〇〇は残りのケーキにフォークを突き刺し、大きな口を開けて頬張った。
素敵なイベントの発生だ。これはアリス総受け主義の腕が鳴る。
〇〇の快諾を受けて、アリスの顔が綻んだ。誰もが素直に可愛いと思える、魅力的な笑顔。
「それじゃあ〇〇、よろしくね!」
その言葉に含まれる重大な意味合いを知ったのは、すぐ後のことだった。