熱の発露を誘うのは、いつも。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
身体の中で燻っていたものは衝動的に、予期せぬ言葉となって吐き出された。
訪れた沈黙。余所者は目を丸くし、え?と表情でペーターに問いかける。
……なんだ、今の言い方は。これではまるで、不公平な扱いを受けて拗ねる子供ではないか。
ペーターは最悪の失態に顔を強張らせた。一度相手に届いてしまったものは、取り消しがきかない。
甘い顔をして、好き、と〇〇が紡ぐその言葉。
要らない、欲しくないと言ったところで、取り返しのつかないことをしたという思いは根付いて取れない。
きっと女は、厭らしく笑ってからかってくる。そうされたら、もういろんなものが駄目になりそうだ。
動揺する真っ白な頭の片隅で、その前に根源を消してしまえばいい、という囁きがした。
ペーターは無意識のうちに時計を探ろうと手を動かした。しかし。
「やだなあ、もちろんペーターのことも好きだよ」
なに言ってんだか、と〇〇は笑った。ペーターの予想とは正反対の、心の好意をそのまま顔に出したような柔らかさで。
真っ白な頭の中。さらに白を塗り重ねられれば思考は失われた。手は勝手に銃など不要と判断し、動かなくなる。
「アナタはあたしのこと、嫌いだと思うけどさ。まあ、好き嫌いは他人に合わせるもんじゃないからしょうがない」
普段、性別らしい素振りなど見せない〇〇は、やはり女に見えた。
ひょっとすると、外見を飾るメイド服が内面を引き出したのかもしれない。
(好きと言われて、寒気のひとつも感じないなんて……僕は、どうかしてる)
ああ、もしかして熱があるのだろうか。悪寒はしないが、そうに違いない。
そういえば身体の奥が熱い気がするし、頭もぼんやりするような…気がする。
白ウサギの色白の頬に朱が走ったのを見たのは、目の前にいる余所者ただ一人。
「ご、ごめん。あの、怒らせようと思って言ったわけじゃなくて――あっ、アリス……!」
気を逸らすための嘘か。そんなことをしなくても、撃ちはしないのに。
ペーターはいつになく寛大な己を認めたが、すべて熱のせいにして目を背けた。
もしも。もしも、この余所者が僕だけに、あの言葉を寄越す日が来たとしたら。
赤く染まる白い肌を前にした僕は、銃を手にしているのだろうか。それとも、……それとも、唇や舌で……?
〇〇が嬉しそうに駆け寄った先には、愛しい少女の姿。
我に返って二人を引き離しにかかったときには、ペーター=ホワイトは“正常”に戻っていた。
そして、白ウサギを支配していた熱は、またひっそりと鎮まり、彼の中に息づくのである。
end。→あとがき
訪れた沈黙。余所者は目を丸くし、え?と表情でペーターに問いかける。
……なんだ、今の言い方は。これではまるで、不公平な扱いを受けて拗ねる子供ではないか。
ペーターは最悪の失態に顔を強張らせた。一度相手に届いてしまったものは、取り消しがきかない。
甘い顔をして、好き、と〇〇が紡ぐその言葉。
要らない、欲しくないと言ったところで、取り返しのつかないことをしたという思いは根付いて取れない。
きっと女は、厭らしく笑ってからかってくる。そうされたら、もういろんなものが駄目になりそうだ。
動揺する真っ白な頭の片隅で、その前に根源を消してしまえばいい、という囁きがした。
ペーターは無意識のうちに時計を探ろうと手を動かした。しかし。
「やだなあ、もちろんペーターのことも好きだよ」
なに言ってんだか、と〇〇は笑った。ペーターの予想とは正反対の、心の好意をそのまま顔に出したような柔らかさで。
真っ白な頭の中。さらに白を塗り重ねられれば思考は失われた。手は勝手に銃など不要と判断し、動かなくなる。
「アナタはあたしのこと、嫌いだと思うけどさ。まあ、好き嫌いは他人に合わせるもんじゃないからしょうがない」
普段、性別らしい素振りなど見せない〇〇は、やはり女に見えた。
ひょっとすると、外見を飾るメイド服が内面を引き出したのかもしれない。
(好きと言われて、寒気のひとつも感じないなんて……僕は、どうかしてる)
ああ、もしかして熱があるのだろうか。悪寒はしないが、そうに違いない。
そういえば身体の奥が熱い気がするし、頭もぼんやりするような…気がする。
白ウサギの色白の頬に朱が走ったのを見たのは、目の前にいる余所者ただ一人。
「ご、ごめん。あの、怒らせようと思って言ったわけじゃなくて――あっ、アリス……!」
気を逸らすための嘘か。そんなことをしなくても、撃ちはしないのに。
ペーターはいつになく寛大な己を認めたが、すべて熱のせいにして目を背けた。
もしも。もしも、この余所者が僕だけに、あの言葉を寄越す日が来たとしたら。
赤く染まる白い肌を前にした僕は、銃を手にしているのだろうか。それとも、……それとも、唇や舌で……?
〇〇が嬉しそうに駆け寄った先には、愛しい少女の姿。
我に返って二人を引き離しにかかったときには、ペーター=ホワイトは“正常”に戻っていた。
そして、白ウサギを支配していた熱は、またひっそりと鎮まり、彼の中に息づくのである。
end。→あとがき