救いを断たれた世界の何処かで。
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何故、こんなことになってしまったのか。なにがペーターを歪めてしまったのだろう。
アリス、と救いを求めるように呟いて、〇〇は視線を少し離れたところにあるソファーに向けた。
それに気づいたペーターは立ち上がると、悠然とした足取りでそちらに歩み寄った。
「アリス…」
「そうです、あなたの大好きなアリスです。僕の愛しい人ですよ」
ペーターは優しい手つきでアリスを横抱きにしてソファーに座った。
膝の上で抱きしめられても、彼女は文句ひとつ言わなかった。
いや、この部屋に来てから一言も話してはいないし、自力でなにかしようという意思さえ見られない。
〇〇はぞっとして、鎖が許す限界までベッドの端ににじり寄り、アリスを凝視した。
「アリス…?なあ、アリス、聞こえる?」
まるで愛玩人形のようにおとなしく髪を撫でられているアリス。〇〇の声が聞こえないのか、なんの反応も返さない。
眠っているわけではなく伏せがちな目をして、なにを見るともなく視線を落とし、時折瞬きをする。ただそれだけだ。
名を呼ぶたびに、口の中が渇いていく。ペーターが彼女になにかの薬を盛ったのだと見当がついてしまったのだ。
「アリス……なんで、こんな…」
「彼女、あなたのことを気にかけてばかりいるんです」
ペーターはさらさらの長い髪を手で梳いて、労りと同情の眼差しで腕の中の少女を見つめた。
「〇〇はどこ、〇〇に会いたいってそればかり…。元の世界に帰ったといくら説明しても、信じてくれません」
当然だ。それは事実ではないのだから。〇〇がこの世界を去ったにしても、あまりに不自然な点が目につく。
ペーターは溜め息を零して、ふと声のトーンを極端に落とした。
「それにあの連中……役持ち達は、腹立たしいほどあなたに執着して…。まあ、捜したところで徒労です。せいぜい気の済むまで付き合ってやりますよ」
ふふと低く笑って、死体を突き出してやるのも面白そうだ、と呟く。
思いつきのように軽く口に出された言葉に、〇〇は表情を硬くした。
雰囲気を敏感に感じ取ったペーターは、別の微笑みを唇に乗せて安心させるように言った。
「あなたを殺すことはいとも容易い。ですが、たとえ死体であろうと、むざむざ他人の手に渡すつもりはありません」
それに僕は死体愛好家ではないので、生きて反応を返すあなたのほうが好みです。
喜ぶべきかわからないことを、冗談とは正反対の口ぶりで言う。
〇〇にとって、死は解放だ。元の世界に戻る手段のひとつ。
しかし、仮に死を与えられたとしても、それは〇〇の望む安楽とは掛け離れているに違いない。
そう思えば安易に渇望はできず、むしろ彼がそれをちらつかせるだけで、恐怖心を煽ることにしかならなかった。
「アリス、僕の愛する人。聞こえていますか。あなたの会いたがっていた余所者はここにいますよ」
虚ろな意識のアリスに声が届くはずがない。それでもペーターは優しい声で彼女に語りかける。
「僕、あなたの望むことならなんだってしてあげたいんです。どんなことだって叶えてあげたい。だから、きっとあなたも喜んでくれていますよね。認識できなくても、こうして〇〇に“会う”ことができたんですから。ねえ、アリス。そうですよね…?」
白ウサギと少女。〇〇が好きだったツーショット。
今は何故こんなにも異様な光景に変わってしまったのだろう。言い知れぬ戦慄に心ごと身体が小刻みに震えた。
アリス、と救いを求めるように呟いて、〇〇は視線を少し離れたところにあるソファーに向けた。
それに気づいたペーターは立ち上がると、悠然とした足取りでそちらに歩み寄った。
「アリス…」
「そうです、あなたの大好きなアリスです。僕の愛しい人ですよ」
ペーターは優しい手つきでアリスを横抱きにしてソファーに座った。
膝の上で抱きしめられても、彼女は文句ひとつ言わなかった。
いや、この部屋に来てから一言も話してはいないし、自力でなにかしようという意思さえ見られない。
〇〇はぞっとして、鎖が許す限界までベッドの端ににじり寄り、アリスを凝視した。
「アリス…?なあ、アリス、聞こえる?」
まるで愛玩人形のようにおとなしく髪を撫でられているアリス。〇〇の声が聞こえないのか、なんの反応も返さない。
眠っているわけではなく伏せがちな目をして、なにを見るともなく視線を落とし、時折瞬きをする。ただそれだけだ。
名を呼ぶたびに、口の中が渇いていく。ペーターが彼女になにかの薬を盛ったのだと見当がついてしまったのだ。
「アリス……なんで、こんな…」
「彼女、あなたのことを気にかけてばかりいるんです」
ペーターはさらさらの長い髪を手で梳いて、労りと同情の眼差しで腕の中の少女を見つめた。
「〇〇はどこ、〇〇に会いたいってそればかり…。元の世界に帰ったといくら説明しても、信じてくれません」
当然だ。それは事実ではないのだから。〇〇がこの世界を去ったにしても、あまりに不自然な点が目につく。
ペーターは溜め息を零して、ふと声のトーンを極端に落とした。
「それにあの連中……役持ち達は、腹立たしいほどあなたに執着して…。まあ、捜したところで徒労です。せいぜい気の済むまで付き合ってやりますよ」
ふふと低く笑って、死体を突き出してやるのも面白そうだ、と呟く。
思いつきのように軽く口に出された言葉に、〇〇は表情を硬くした。
雰囲気を敏感に感じ取ったペーターは、別の微笑みを唇に乗せて安心させるように言った。
「あなたを殺すことはいとも容易い。ですが、たとえ死体であろうと、むざむざ他人の手に渡すつもりはありません」
それに僕は死体愛好家ではないので、生きて反応を返すあなたのほうが好みです。
喜ぶべきかわからないことを、冗談とは正反対の口ぶりで言う。
〇〇にとって、死は解放だ。元の世界に戻る手段のひとつ。
しかし、仮に死を与えられたとしても、それは〇〇の望む安楽とは掛け離れているに違いない。
そう思えば安易に渇望はできず、むしろ彼がそれをちらつかせるだけで、恐怖心を煽ることにしかならなかった。
「アリス、僕の愛する人。聞こえていますか。あなたの会いたがっていた余所者はここにいますよ」
虚ろな意識のアリスに声が届くはずがない。それでもペーターは優しい声で彼女に語りかける。
「僕、あなたの望むことならなんだってしてあげたいんです。どんなことだって叶えてあげたい。だから、きっとあなたも喜んでくれていますよね。認識できなくても、こうして〇〇に“会う”ことができたんですから。ねえ、アリス。そうですよね…?」
白ウサギと少女。〇〇が好きだったツーショット。
今は何故こんなにも異様な光景に変わってしまったのだろう。言い知れぬ戦慄に心ごと身体が小刻みに震えた。