毒を発散する人、蓄積する人。
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毒とはいったいなんぞやと、〇〇は二人の男を交互に見遣った。
仲がいいのか悪いのかわからない彼らは、確かに通じ合ったらしい。
ペーター=ホワイトは挑むように〇〇を見つめ、ぎゅっと拳を握った。攻撃的というには殺意の薄い、けれど鋭い顔つきだった。
「な、なに、ペーター…」
意味がわからず僅かに怯む〇〇に、エースが顔を寄せる。
「中に戻ろう、〇〇。俺達のことが邪魔みたいだよ」
そういう顔なのだろうか。言葉で詰るでもなく真っ直ぐに睨む様子に、かすかに違和感が過ぎった。
だが邪魔なのは事実のはずなので、〇〇は肘をついて寝そべった状態から身体を起こしながら、
「あー、エースには片づけるようにちゃんと言い聞かせとくから。アナタは仕事に戻って…」
「――……アリスが、」
奥に引っ込もうとした〇〇は、その一言にぴくりと肩を揺らして動きを止めた。
ぐるりと首を回してペーターを凝視し、熱い期待の眼差しを向ける。その反応のよさに嫌な顔も見せず、彼は無表情で無感動に告げた。
「アリスが、あなたを探していました。こんなところで男と戯れている暇があるなら、直ちに彼女に会いに行きなさい」
「アリスがあたしを?」
どうしてそういう大切なことを後回しにする。まあ、大方あたしをアリスに会わせたくないってところだろう。
「エース、今の聞いたよな?」
満面の笑顔で言う〇〇を見て、エースは意味ありげな笑みを浮かべた。
が、「なんの用なんだろうな」と爽やかな笑顔になり、〇〇を促してあっさり解放した。
あれだけ粘った男が簡単に引き下がったことに、つい裏があるのではと疑ってしまう〇〇だったが、
(いや、それだけアリスの影響力がすごいってことかな、うん)
と結論づけ、軽く挨拶を済ませるとペーターが指差す方向に向かって駆け出した。
〇〇を見送るためにテントを出たエースは、逃した獲物を惜しみながらも、その場に残った男に声をかけずにはいられなかった。
「――アリスが呼んでるなんて、嘘なんだろう?」
エースは見通したように目を細めて微笑んだ。一瞬の沈黙が真実を雄弁に物語る。
にもかかわらず、白ウサギは決して認めようとしなかった。冷ややかな眼差しで騎士を射抜くと、他者を拒絶する背を向けた。
「なんのために?どうしてこの僕がそんな嘘をつかなければならないんです。…馬鹿馬鹿しい」
足早に立ち去る白ウサギの向こうには、廊下の角を曲がる〇〇の姿があった。
それは意図せず、遠のいていく余所者の後を追うようにも見えて。
「“なんのために”だって?……それは、俺から〇〇を引き離すためだよ、ペーターさん」
無自覚って怖いなあ。ハートの騎士は白々しい呟きを残し、テントの中に戻った。
end。→あとがき
仲がいいのか悪いのかわからない彼らは、確かに通じ合ったらしい。
ペーター=ホワイトは挑むように〇〇を見つめ、ぎゅっと拳を握った。攻撃的というには殺意の薄い、けれど鋭い顔つきだった。
「な、なに、ペーター…」
意味がわからず僅かに怯む〇〇に、エースが顔を寄せる。
「中に戻ろう、〇〇。俺達のことが邪魔みたいだよ」
そういう顔なのだろうか。言葉で詰るでもなく真っ直ぐに睨む様子に、かすかに違和感が過ぎった。
だが邪魔なのは事実のはずなので、〇〇は肘をついて寝そべった状態から身体を起こしながら、
「あー、エースには片づけるようにちゃんと言い聞かせとくから。アナタは仕事に戻って…」
「――……アリスが、」
奥に引っ込もうとした〇〇は、その一言にぴくりと肩を揺らして動きを止めた。
ぐるりと首を回してペーターを凝視し、熱い期待の眼差しを向ける。その反応のよさに嫌な顔も見せず、彼は無表情で無感動に告げた。
「アリスが、あなたを探していました。こんなところで男と戯れている暇があるなら、直ちに彼女に会いに行きなさい」
「アリスがあたしを?」
どうしてそういう大切なことを後回しにする。まあ、大方あたしをアリスに会わせたくないってところだろう。
「エース、今の聞いたよな?」
満面の笑顔で言う〇〇を見て、エースは意味ありげな笑みを浮かべた。
が、「なんの用なんだろうな」と爽やかな笑顔になり、〇〇を促してあっさり解放した。
あれだけ粘った男が簡単に引き下がったことに、つい裏があるのではと疑ってしまう〇〇だったが、
(いや、それだけアリスの影響力がすごいってことかな、うん)
と結論づけ、軽く挨拶を済ませるとペーターが指差す方向に向かって駆け出した。
〇〇を見送るためにテントを出たエースは、逃した獲物を惜しみながらも、その場に残った男に声をかけずにはいられなかった。
「――アリスが呼んでるなんて、嘘なんだろう?」
エースは見通したように目を細めて微笑んだ。一瞬の沈黙が真実を雄弁に物語る。
にもかかわらず、白ウサギは決して認めようとしなかった。冷ややかな眼差しで騎士を射抜くと、他者を拒絶する背を向けた。
「なんのために?どうしてこの僕がそんな嘘をつかなければならないんです。…馬鹿馬鹿しい」
足早に立ち去る白ウサギの向こうには、廊下の角を曲がる〇〇の姿があった。
それは意図せず、遠のいていく余所者の後を追うようにも見えて。
「“なんのために”だって?……それは、俺から〇〇を引き離すためだよ、ペーターさん」
無自覚って怖いなあ。ハートの騎士は白々しい呟きを残し、テントの中に戻った。
end。→あとがき