あの子のクッキーをめぐるお話。
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アリスのお菓子作りの腕は見習いたいものだな、と〇〇は小さな包みを手に歩きながら思った。
〇〇がハートの城を訪れると、アリスはメイド達とクッキーを作っていた。
一枚味見させてもらったのだが、お世辞抜きでおいしかった。
たくさん作ったからおすそ分け、と包んでもらい、受け取った〇〇の頬が緩んでしまったのはしかたがない。
忙しいだろうと、本来の目的であるアリスを堪能することはひとまず諦めたのだが、さてこの後どうしようか。
時計塔に帰って、このクッキーをユリウスと食べようか。彼がアリスの手作りにどんな反応を示すか見物だ。
(あたしも一応料理はできるけど、お菓子に関してはさっぱりだからなー)
食べる専門なんだ、と誰に言うでもなく呟いた。
まあ、あたしは別に作れなくても問題ない。食べてほしいと思う相手もいないわけだから。
(アリスは誰にあげるつもりで作ってたんだろ…?)
出来上がった分、そしてこれから焼こうとしている量を見れば、特定の一人でないことは確かである。城中の人間に渡すつもりなのだろうか。
「だとしたら、妬く人間が少なからず――…あ、」
〇〇は足を止めた。噂をすればなんとやら。
向こうもこちらに気づいたようで、すぐさま不機嫌面を装備した。〇〇は気にすることなく、挨拶に片手を上げた。
「や、ペーター。そんなにきょろきょろしちゃって、どうかしたの?」
「…僕がどこでどうしていようが勝手でしょう。いちいち干渉しないでください、欝陶しい」
まるで親を煙たがる反抗期の子供のようだ。白ウサギのこんな態度には慣れたもので、「ごめん」と愛想よく笑って謝る。
彼が探すものに心当たりのある〇〇は、
「ああ、そういえばアリスが厨房を借りてお菓子を作ってたよ」
「!……そうですか」
さりげない情報提供に、ウサギ耳がぴくりと揺れた。
ペーターの顔はアリスを想って和らいだが、瞬時に表情を崩すまいと強張った。
残念。にやけても気にしないのに、と言うのは要らぬ気遣いだろう。
「ペーターの分も用意してくれてるだろうから、今から行ってみれば?」
ここでついていって彼の機嫌を損ねるのはいい考えとはいえない。今後のことを思えば、こちらにも多少の我慢は必要だ。
次があると自分に言い聞かせて、〇〇はその場を立ち去ろうとした、のだが。
「――待ちなさい」
冷たい声に呼び止められる。ペーターの目は、立ち止まる〇〇の手に注がれていた。
「それはなんです?…まさかアリスにもらったんじゃないでしょうね」
「え、そうだけど…」
言うが早いか、ペーターはあっという間に時計を銃に変えた。
躊躇いもなく銃口を突きつけられ、ひくっと〇〇の喉が変に引き攣った。
甘かった。ペーターのアリスへの愛は、彼女お手製のお菓子を他人に譲ることを微塵たりともよしとしないらしい。
「えーっと……なに?」
言いたいことはわかっているが、一応尋ねてみた。
「なにじゃありません。その包みを渡しなさい」
やっぱりそう来たか。予想通りすぎて面白みに欠けるぞ、白ウサギさん。
〇〇がハートの城を訪れると、アリスはメイド達とクッキーを作っていた。
一枚味見させてもらったのだが、お世辞抜きでおいしかった。
たくさん作ったからおすそ分け、と包んでもらい、受け取った〇〇の頬が緩んでしまったのはしかたがない。
忙しいだろうと、本来の目的であるアリスを堪能することはひとまず諦めたのだが、さてこの後どうしようか。
時計塔に帰って、このクッキーをユリウスと食べようか。彼がアリスの手作りにどんな反応を示すか見物だ。
(あたしも一応料理はできるけど、お菓子に関してはさっぱりだからなー)
食べる専門なんだ、と誰に言うでもなく呟いた。
まあ、あたしは別に作れなくても問題ない。食べてほしいと思う相手もいないわけだから。
(アリスは誰にあげるつもりで作ってたんだろ…?)
出来上がった分、そしてこれから焼こうとしている量を見れば、特定の一人でないことは確かである。城中の人間に渡すつもりなのだろうか。
「だとしたら、妬く人間が少なからず――…あ、」
〇〇は足を止めた。噂をすればなんとやら。
向こうもこちらに気づいたようで、すぐさま不機嫌面を装備した。〇〇は気にすることなく、挨拶に片手を上げた。
「や、ペーター。そんなにきょろきょろしちゃって、どうかしたの?」
「…僕がどこでどうしていようが勝手でしょう。いちいち干渉しないでください、欝陶しい」
まるで親を煙たがる反抗期の子供のようだ。白ウサギのこんな態度には慣れたもので、「ごめん」と愛想よく笑って謝る。
彼が探すものに心当たりのある〇〇は、
「ああ、そういえばアリスが厨房を借りてお菓子を作ってたよ」
「!……そうですか」
さりげない情報提供に、ウサギ耳がぴくりと揺れた。
ペーターの顔はアリスを想って和らいだが、瞬時に表情を崩すまいと強張った。
残念。にやけても気にしないのに、と言うのは要らぬ気遣いだろう。
「ペーターの分も用意してくれてるだろうから、今から行ってみれば?」
ここでついていって彼の機嫌を損ねるのはいい考えとはいえない。今後のことを思えば、こちらにも多少の我慢は必要だ。
次があると自分に言い聞かせて、〇〇はその場を立ち去ろうとした、のだが。
「――待ちなさい」
冷たい声に呼び止められる。ペーターの目は、立ち止まる〇〇の手に注がれていた。
「それはなんです?…まさかアリスにもらったんじゃないでしょうね」
「え、そうだけど…」
言うが早いか、ペーターはあっという間に時計を銃に変えた。
躊躇いもなく銃口を突きつけられ、ひくっと〇〇の喉が変に引き攣った。
甘かった。ペーターのアリスへの愛は、彼女お手製のお菓子を他人に譲ることを微塵たりともよしとしないらしい。
「えーっと……なに?」
言いたいことはわかっているが、一応尋ねてみた。
「なにじゃありません。その包みを渡しなさい」
やっぱりそう来たか。予想通りすぎて面白みに欠けるぞ、白ウサギさん。