なにか間違ってる。
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ようやく道と呼べる道に出るのか、腕の持ち主は「おっ」と嬉しそうな声を上げた。
阻む草を突っ切ったエースは、腕にくっつく〇〇を道へと引き出しながら、ふと発見したその人物に親しげに声をかけた。
「やあ、エリオット!こんなところで会うなんて奇遇だな~」
またてめえかよ…と、うんざり呟いたのは、鮮やかな色の頭にウサギ耳を生やした男だった。
帽子屋ファミリーNo.2の三月ウサギはがしがしと髪を掻き回すと、気を取り直したように、
「なにぬかしてやがる。ここらは帽子屋ファミリーの領土だぜ?俺がここにいるのは当たり前なんだよ!」
「あっははは!そっか、帽子屋さんの領土かあ…。うーん、一応城を目指してるつもりだったんだけど…やっぱりさっきの道を左に行くべきだったのかな?」
君はどう思う?とエースは、草むらから引き抜いた〇〇に問いかけた。
ぎょっとしたのはエリオットである。〇〇がいたなんて気がつかないほど、騎士に気を取られていたのだ。
「〇〇っ!?あ、あんた、なんでそんな…」
エースの片腕を胸に抱く〇〇は、どう見ても自分から男に抱きついていた。何故かかなり必死の体 が伝わってくる。
滅多に目にすることのない光景に、エリオットは混乱した。
対する〇〇は獣道以下の場所から抜け出したことに安堵し、律儀にもエースの問いに答えた。
「左って、いったい今まで通ってきた中でどこに分かれ道があったよ…。ていうか、あたしはあれを道とは認めない」
「立派に道だったじゃないか。ちゃんとここまでたどり着いただろう?」
「それが不思議でならないんだけどね…」
エースはさりげなく〇〇の腰を腕で支えた。疲れきった様子の〇〇を労るように、髪を撫で、ついていた葉を指先ではらった。
〇〇のほうも、支えを邪魔に思わなかったので好きにさせ、赤のコートの肩を飾っていた緑色を手で落とした。
それらを、騎士は意図して(なぜなら意味深な笑みを向けたから)、余所者は含みなく(単なるお返しというふうに)行った。
意図の有無はともかくとして、エリオットの目には非常に仲睦まじく映ったのである。
いつの間に親睦を深めたのか、とか、どの程度深い仲なのか、とかいうようにエリオットは勘繰った。
「〇〇!いつまでそいつに抱かれてるつもりだよ」
我慢弱いウサギさんは、苛立った口調で言った。当然のように手足は同時進行し、騎士の腕から余所者をもぎ取ろうとした。
が、エースは軽い身のこなしで奪取の手をひょいと避けた。
「…おい、よけんじゃねえ」
「んー、それは無理な相談だなあ。俺がよけなかったら、〇〇を取られちゃうだろ?」
「ったりまえだ!てめえは必要ない。〇〇を渡してとっとと帰りな!」
「待っ、エリオ…」
〇〇の制止も虚しく、ガウン、ガウン、と立て続けに発砲音が轟いた。
ぎゃ、と首を竦めて硬直する、その〇〇を胸に抱いた状態でエースは剣を手に防戦した。
なにが起きているのかまったくわからない。意外と男らしく固い身体に顔面を埋めて、あとはぐらぐらと身体の揺れを感じているだけだった。
「チッ…ちょこまかと動くんじゃねえ!」
「ははっ、だって動かないと当たるじゃないかー。あれ、もしかして俺じゃなくて〇〇を狙ってるとか?」
「てめえに決まってんだろうが!!」
イライライライラ。エリオットの憤った雰囲気を背中にびしびしと感じる。
エースに対するそれであるに違いないが、気のせいでなければ〇〇に対する感情も含まれていた。
それをまるっきりとばっちりだと断言することはできなかった。
「エース…むやみにエリオットを挑発しないでよ」
いくら撃っても当たらず、エースからの積極的な攻撃もないことで、エリオットはようやく弾の無駄遣いだということを悟ったようだ。
発砲がやんだところで、〇〇は腕でエースと距離を取って彼を制した。
その一瞬の隙をついて、ぐいっと力強く身体を別方向に持っていかれ、〇〇の目は瞬いた。
「へ…?」
「大人しく男の腕に抱かれてんなよ、〇〇…」
エースが見えるということは、この腕は(声からしても)エリオットに違いなく。
首を回すと、長いウサギの耳が見えた。いつも無邪気にぴこぴこ動くそれは、今は強張ったように静かだった。
「えっと。…じゃあ、今、抵抗しても?」
「俺の腕だけならいい」
「えー……」
(なんだこれ。あたしってどういう状況に立たされてんの?)
〇〇の心の疑問に答えるように、エースが爽やかな笑い声を上げた。
「あっはははは!これって王道の奪い合いだよな~!どう、〇〇?仮にも女の子として、こういう状況ってときめいちゃったりする?」
「…その“仮にも女の子”として逆に訊く。こういう状況って、男は燃えるもんなの?」
「そりゃあ奪う対象にもよるけど、」
エースはじっと〇〇の目を見つめて、唇に好戦的な笑みを刻んだ。
「俺は〇〇をめぐる争いなら、負ける気はしないな。もちろん、略奪愛でもいけるぜ?」
「……」
「てめえは勝手なことほざいてんじゃねえよ!〇〇っ、俺だってあんた相手ならなんでもいける!」
張り合うエリオットの台詞がなんだか妙な方向に聞こえるのは、そう、気のせいだ。
「いける、いけない、は置いとして。…あたし、そろそろ帰ってもいい?」
〇〇はついとその腕から逃れると、ハートの騎士と三月ウサギに向かって言った。
散々連れ回された挙句、こんなヒロイン不在のイベントに巻き込まれて、静かな時計塔が恋しく思えた。
「えー。せっかく面白くなってきたのに?」
「だったら、エースとエリオットの二人でやってろ。あたしは帰る」
「おいっ、俺に男のこいつといったいなにをやれって言うんだよ!?」
「エリオット……なんでわざわざ曲解するかな、アナタは」
呆れの息をついて、〇〇は「じゃ」と手を上げると、さっさと歩き出した。
すぐに「〇〇が行くなら俺も行くよ。またな、エリオット!」と声がして、〇〇の肩に腕が回された。
もう溜め息もつき飽きたので、好きにさせておくことにする。
「〇〇!!」
さっきの流れからして、どういうわけかエースと張り合っているエリオットが放っておくはずがない。
せっかく事態を収拾したというのに、これでまた再開させるわけにはいかなかった。
こうなったらしかたがない。背中にぶつかった大声に応えて〇〇は肩越しに声を返した。
「ったく、しょーがないな……。またあとで戻ってくるよ、エリオット」
「本当だなっ?嘘だったら泣くからな!」
泣くなよ、と心の中で突っ込んで、片手をひらひらと動かした。
「了解。…ま、アリスが見つかったらね」
「ずーっと待ってるぜ、〇〇!早く戻って来いよ!」
ぽそっと付け足した言葉を聞き取ったのかどうかわからなかったが、エリオットは元気よく叫んだ。
阻む草を突っ切ったエースは、腕にくっつく〇〇を道へと引き出しながら、ふと発見したその人物に親しげに声をかけた。
「やあ、エリオット!こんなところで会うなんて奇遇だな~」
またてめえかよ…と、うんざり呟いたのは、鮮やかな色の頭にウサギ耳を生やした男だった。
帽子屋ファミリーNo.2の三月ウサギはがしがしと髪を掻き回すと、気を取り直したように、
「なにぬかしてやがる。ここらは帽子屋ファミリーの領土だぜ?俺がここにいるのは当たり前なんだよ!」
「あっははは!そっか、帽子屋さんの領土かあ…。うーん、一応城を目指してるつもりだったんだけど…やっぱりさっきの道を左に行くべきだったのかな?」
君はどう思う?とエースは、草むらから引き抜いた〇〇に問いかけた。
ぎょっとしたのはエリオットである。〇〇がいたなんて気がつかないほど、騎士に気を取られていたのだ。
「〇〇っ!?あ、あんた、なんでそんな…」
エースの片腕を胸に抱く〇〇は、どう見ても自分から男に抱きついていた。何故かかなり必死の
滅多に目にすることのない光景に、エリオットは混乱した。
対する〇〇は獣道以下の場所から抜け出したことに安堵し、律儀にもエースの問いに答えた。
「左って、いったい今まで通ってきた中でどこに分かれ道があったよ…。ていうか、あたしはあれを道とは認めない」
「立派に道だったじゃないか。ちゃんとここまでたどり着いただろう?」
「それが不思議でならないんだけどね…」
エースはさりげなく〇〇の腰を腕で支えた。疲れきった様子の〇〇を労るように、髪を撫で、ついていた葉を指先ではらった。
〇〇のほうも、支えを邪魔に思わなかったので好きにさせ、赤のコートの肩を飾っていた緑色を手で落とした。
それらを、騎士は意図して(なぜなら意味深な笑みを向けたから)、余所者は含みなく(単なるお返しというふうに)行った。
意図の有無はともかくとして、エリオットの目には非常に仲睦まじく映ったのである。
いつの間に親睦を深めたのか、とか、どの程度深い仲なのか、とかいうようにエリオットは勘繰った。
「〇〇!いつまでそいつに抱かれてるつもりだよ」
我慢弱いウサギさんは、苛立った口調で言った。当然のように手足は同時進行し、騎士の腕から余所者をもぎ取ろうとした。
が、エースは軽い身のこなしで奪取の手をひょいと避けた。
「…おい、よけんじゃねえ」
「んー、それは無理な相談だなあ。俺がよけなかったら、〇〇を取られちゃうだろ?」
「ったりまえだ!てめえは必要ない。〇〇を渡してとっとと帰りな!」
「待っ、エリオ…」
〇〇の制止も虚しく、ガウン、ガウン、と立て続けに発砲音が轟いた。
ぎゃ、と首を竦めて硬直する、その〇〇を胸に抱いた状態でエースは剣を手に防戦した。
なにが起きているのかまったくわからない。意外と男らしく固い身体に顔面を埋めて、あとはぐらぐらと身体の揺れを感じているだけだった。
「チッ…ちょこまかと動くんじゃねえ!」
「ははっ、だって動かないと当たるじゃないかー。あれ、もしかして俺じゃなくて〇〇を狙ってるとか?」
「てめえに決まってんだろうが!!」
イライライライラ。エリオットの憤った雰囲気を背中にびしびしと感じる。
エースに対するそれであるに違いないが、気のせいでなければ〇〇に対する感情も含まれていた。
それをまるっきりとばっちりだと断言することはできなかった。
「エース…むやみにエリオットを挑発しないでよ」
いくら撃っても当たらず、エースからの積極的な攻撃もないことで、エリオットはようやく弾の無駄遣いだということを悟ったようだ。
発砲がやんだところで、〇〇は腕でエースと距離を取って彼を制した。
その一瞬の隙をついて、ぐいっと力強く身体を別方向に持っていかれ、〇〇の目は瞬いた。
「へ…?」
「大人しく男の腕に抱かれてんなよ、〇〇…」
エースが見えるということは、この腕は(声からしても)エリオットに違いなく。
首を回すと、長いウサギの耳が見えた。いつも無邪気にぴこぴこ動くそれは、今は強張ったように静かだった。
「えっと。…じゃあ、今、抵抗しても?」
「俺の腕だけならいい」
「えー……」
(なんだこれ。あたしってどういう状況に立たされてんの?)
〇〇の心の疑問に答えるように、エースが爽やかな笑い声を上げた。
「あっはははは!これって王道の奪い合いだよな~!どう、〇〇?仮にも女の子として、こういう状況ってときめいちゃったりする?」
「…その“仮にも女の子”として逆に訊く。こういう状況って、男は燃えるもんなの?」
「そりゃあ奪う対象にもよるけど、」
エースはじっと〇〇の目を見つめて、唇に好戦的な笑みを刻んだ。
「俺は〇〇をめぐる争いなら、負ける気はしないな。もちろん、略奪愛でもいけるぜ?」
「……」
「てめえは勝手なことほざいてんじゃねえよ!〇〇っ、俺だってあんた相手ならなんでもいける!」
張り合うエリオットの台詞がなんだか妙な方向に聞こえるのは、そう、気のせいだ。
「いける、いけない、は置いとして。…あたし、そろそろ帰ってもいい?」
〇〇はついとその腕から逃れると、ハートの騎士と三月ウサギに向かって言った。
散々連れ回された挙句、こんなヒロイン不在のイベントに巻き込まれて、静かな時計塔が恋しく思えた。
「えー。せっかく面白くなってきたのに?」
「だったら、エースとエリオットの二人でやってろ。あたしは帰る」
「おいっ、俺に男のこいつといったいなにをやれって言うんだよ!?」
「エリオット……なんでわざわざ曲解するかな、アナタは」
呆れの息をついて、〇〇は「じゃ」と手を上げると、さっさと歩き出した。
すぐに「〇〇が行くなら俺も行くよ。またな、エリオット!」と声がして、〇〇の肩に腕が回された。
もう溜め息もつき飽きたので、好きにさせておくことにする。
「〇〇!!」
さっきの流れからして、どういうわけかエースと張り合っているエリオットが放っておくはずがない。
せっかく事態を収拾したというのに、これでまた再開させるわけにはいかなかった。
こうなったらしかたがない。背中にぶつかった大声に応えて〇〇は肩越しに声を返した。
「ったく、しょーがないな……。またあとで戻ってくるよ、エリオット」
「本当だなっ?嘘だったら泣くからな!」
泣くなよ、と心の中で突っ込んで、片手をひらひらと動かした。
「了解。…ま、アリスが見つかったらね」
「ずーっと待ってるぜ、〇〇!早く戻って来いよ!」
ぽそっと付け足した言葉を聞き取ったのかどうかわからなかったが、エリオットは元気よく叫んだ。