なにか間違ってる。
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運の尽き、とはこういうことをいう。
「いい加減、あたしは帰りたいんだけど…」
「はははっ、これからが楽しいんじゃないか!まだまだ家には帰さないぜ?」
誘拐犯、もしくは恋人が言うような台詞を口にしたのは、真っ赤なコートを身に纏うハートの騎士。
彼にエスコート、もとい拘束具のようにがっちり手を繋がれているのは、哀れな余所者だった。
旅は道連れというエースは、偶然ばったり道で出会った〇〇を、半ば強制的に旅に同行させた。
日常から離れるアウトドアは確かに楽しい面もあるに違いないが、この騎士と共にするとろくな目に遭わない。
エースの不幸体質が悪いのか、はたまたエース自身が悪いのか定かではないが。
「目的もなくぶらぶらするほど、あたしは暇じゃないんだって」
実は結構時間に余裕があったりする。しかし、エースの前でそれを口にしてなるものか。
「仕事かアリス、どうせ〇〇にはその二択しかないんだろ?そこに冒険という選択肢を加えるのも悪くないさ!いい刺激になると思うよ」
「……じゃあ体質的に刺激物に弱いってことで。リタイヤさせてもらいたい」
「うん、却下ね」
爽やかにスパッと切り捨てられ、〇〇は肩を落とした。まあ、最初から期待してなかったけどさ。
他のキャラにも言えることだが、殊にエースは自分のペースに相手を巻き込むのが上手いと思う。
好青年な見た目のおかげか、腹のうちはともかく、やることが悪気なさそうに見えてしまうのだ。
(なんでこうなったんだろう…。これって本来アリスのポジションじゃない?)
連れ回されて、〇〇はくたくただった。体力のなさと、精神的負荷のせいだ。
道なき道は足元もおぼつかず、つまずいては支えてもらい、手を借りて歩き、どうにか進んでいる状態だった。
完全に足手まといな余所者を助けるたび、騎士は嬉しそうに笑った。性悪である。
(これってまるで、あたしが一人じゃなにもできない女みたいだ……)
情けないやら格好悪いやら、本当に勘弁してくれと〇〇は溜め息をついた。
別にエースの前で格好をつける理由もなかったが、あまりにも惨めっぽい。と、意識をよそへやっていたせいで、本日何度目かの転倒未遂。
「ぉわ…っ」
「っと」
エースが繋いだ手にぐっと力を込めて、傾いだ〇〇の身体を引き止めた。
〇〇も少しは学習しており、反射的に手を握り返し、そのまま腕にしがみついた。……これはこれで、恋人に甘える女の子のようで嫌なのだが。地面と接吻して土と戯れるよりは、よほどましだった。
「本当に〇〇は危なっかしいなあ」
それなりに体重をかけたのに、騎士として鍛えられている身体は揺るがない。支えきれずに一緒に倒れでもしようものなら鼻で笑ってやったのに。
「…運動神経ゼロで悪うございましたね」
運動が得意でない者ならば必ずつまずくような道(とも呼べないような……なんだここは。ジャングルか?)を選ぶのはどこのどいつだ。
つい嫌みたらしく言い返すと、エースはにかりと笑い返した。
「君の運動神経がマイナスじゃなくてなによりだよ」
「……」
短気だったら殴打沙汰である。こういうキャラなのだと割り切っているから、深い溜め息だけで済んだのだ。
〇〇は縋りついた体勢を立て直そうとしたが、その前に歩みを再開したエースに引きずられてしまう。
「ぅわっ、ちょっと待って…!」
「ほらほら、どんどん先に進もうぜ!」
十歩も行かないうちに、また爪先が木の根っこに引っかかり、〇〇は抱きかかえるようにしてエースの腕を支えにせざるを得ない。
それを見てエースは笑みを深めると、目の前の草をガサガサと掻き分けて突き進んだ。
「いい加減、あたしは帰りたいんだけど…」
「はははっ、これからが楽しいんじゃないか!まだまだ家には帰さないぜ?」
誘拐犯、もしくは恋人が言うような台詞を口にしたのは、真っ赤なコートを身に纏うハートの騎士。
彼にエスコート、もとい拘束具のようにがっちり手を繋がれているのは、哀れな余所者だった。
旅は道連れというエースは、偶然ばったり道で出会った〇〇を、半ば強制的に旅に同行させた。
日常から離れるアウトドアは確かに楽しい面もあるに違いないが、この騎士と共にするとろくな目に遭わない。
エースの不幸体質が悪いのか、はたまたエース自身が悪いのか定かではないが。
「目的もなくぶらぶらするほど、あたしは暇じゃないんだって」
実は結構時間に余裕があったりする。しかし、エースの前でそれを口にしてなるものか。
「仕事かアリス、どうせ〇〇にはその二択しかないんだろ?そこに冒険という選択肢を加えるのも悪くないさ!いい刺激になると思うよ」
「……じゃあ体質的に刺激物に弱いってことで。リタイヤさせてもらいたい」
「うん、却下ね」
爽やかにスパッと切り捨てられ、〇〇は肩を落とした。まあ、最初から期待してなかったけどさ。
他のキャラにも言えることだが、殊にエースは自分のペースに相手を巻き込むのが上手いと思う。
好青年な見た目のおかげか、腹のうちはともかく、やることが悪気なさそうに見えてしまうのだ。
(なんでこうなったんだろう…。これって本来アリスのポジションじゃない?)
連れ回されて、〇〇はくたくただった。体力のなさと、精神的負荷のせいだ。
道なき道は足元もおぼつかず、つまずいては支えてもらい、手を借りて歩き、どうにか進んでいる状態だった。
完全に足手まといな余所者を助けるたび、騎士は嬉しそうに笑った。性悪である。
(これってまるで、あたしが一人じゃなにもできない女みたいだ……)
情けないやら格好悪いやら、本当に勘弁してくれと〇〇は溜め息をついた。
別にエースの前で格好をつける理由もなかったが、あまりにも惨めっぽい。と、意識をよそへやっていたせいで、本日何度目かの転倒未遂。
「ぉわ…っ」
「っと」
エースが繋いだ手にぐっと力を込めて、傾いだ〇〇の身体を引き止めた。
〇〇も少しは学習しており、反射的に手を握り返し、そのまま腕にしがみついた。……これはこれで、恋人に甘える女の子のようで嫌なのだが。地面と接吻して土と戯れるよりは、よほどましだった。
「本当に〇〇は危なっかしいなあ」
それなりに体重をかけたのに、騎士として鍛えられている身体は揺るがない。支えきれずに一緒に倒れでもしようものなら鼻で笑ってやったのに。
「…運動神経ゼロで悪うございましたね」
運動が得意でない者ならば必ずつまずくような道(とも呼べないような……なんだここは。ジャングルか?)を選ぶのはどこのどいつだ。
つい嫌みたらしく言い返すと、エースはにかりと笑い返した。
「君の運動神経がマイナスじゃなくてなによりだよ」
「……」
短気だったら殴打沙汰である。こういうキャラなのだと割り切っているから、深い溜め息だけで済んだのだ。
〇〇は縋りついた体勢を立て直そうとしたが、その前に歩みを再開したエースに引きずられてしまう。
「ぅわっ、ちょっと待って…!」
「ほらほら、どんどん先に進もうぜ!」
十歩も行かないうちに、また爪先が木の根っこに引っかかり、〇〇は抱きかかえるようにしてエースの腕を支えにせざるを得ない。
それを見てエースは笑みを深めると、目の前の草をガサガサと掻き分けて突き進んだ。