穏便に事が済むのを祈るばかり。
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自分の身の可愛さに、誘いをかわしていたのが間違いだったのだろうか。
こんなことになるくらいなら、旅でもなんでも適当に付き合っておけばよかった。
広大なハートの城の庭、その迷路の一角で〇〇は後悔していた。目の前には、恋人達はかくあるべきという密着度でハートの騎士がいる。
そればかりか、深く唇を交わし、乱された衣服の隙間から男の指が忍び込んでいた。
同意もなければ甘さもない、曰く、付き合いの悪い〇〇に対する“仕返し”らしい。
こんなくだらないことのために彼が用意した観客は、恐れ多くも城の重鎮だ。
生け垣の向こう側に、足音。ペーター=ホワイトが不審な声を聞きつけて近づいてきた。
「っ……ぅ、んっ」
口の中で好き勝手に暴れる舌。翻弄されながらも、〇〇は声を殺した。相手の思惑に流されれば、公開プレイ。冗談ではない。
(ああもう、早く向こうに行って…!)
祈るようにきつく目蓋を閉じ、意識を背中に集中させる。
一度揺らしてしまった垣根を再び壁と同化させるためには、これ以上の身じろぎは許されない。
「そこに誰かいるんですか」
いない、いない。誰もいない、幻聴だからそれ以上近づくな。と、致し方なく相手の肩を掴んでいた手を力ませ、息をつめて身を固くしたときだ。
「ッい、ぁ……!」
唇を解放された瞬間、下着の下で蠢いていた指がぎゅっと胸の先端を摘んだ。
快感よりも痛みの割合がいくらか勝った刺激に、〇〇は声を抑え切れなかった。
「いい声、出しちゃったね?」
次いで忍びもしない声量でエースが嬉しそうに言った。
男女二人分の声で、なにが行われているのか確実にバレた。その証拠に、垣根を挟んだ向こう側の雰囲気ががらりと変わった。
「……エース君。姿を見ないと思ったら、こんな場所で女とお楽しみ中ですか」
ペーターの声には苛立ちなども感じ取れたが、呆れが大半を占めていた。
エースは片手で〇〇の口を塞ぐと、姿の見えないペーターに答えた。
「あは、やっぱりバレてたんだ、俺が手紙を出したってこと」
「当たり前でしょう。ああ、くだらない。時間の浪費ですよ。刺激がほしいのなら、役なしカードでも使ってください」
「それじゃあ面白くないじゃないか、なあ?」
エースは〇〇に相槌を求めると、髪を掻き上げて露になった耳を、わざと音を立てて舐った。声は出ないが、荒くなる息遣いは誤魔化しようがない。
騎士の悪趣味はもちろんのこと、平然と聞き続けるペーターもペーターだ。
「面白み、ですか…。それにしたって、あの余所者の名を騙る必要性がまったく感じられませんけど」
違和感のわけをその言葉によって知った。ペーターは、エースの相手が〇〇だとは気づいていないのだ。
不幸中の幸いとはこのことなのか。しかし、安心してもいられない。
「ふ……っ」
刺激を受けて敏感になったところを、エースは執拗に弄った。塞がれた呼吸音がくぐもって漏れる。正直、はっきり聞こえるよりも生々しい。
正体がいつ明らかにされるか気が気ではない〇〇に対し、エースの楽しげなこと。
どくどくと心臓から首筋に這い上った鼓動を、唇で受け止めて柔らかく歯を立てる。
「ペーターさんが気づいてくれたおかげで、この子も大満足みたいだ。ほら、可愛い声が聞こえるだろう?」
「お役に立てたようでなによりです。ということで、僕は帰らせていただきますよ、陛下」
ペーターは嫌みっぽく言い捨てて、いつの間にか近くに来ていたらしい女王に決定事項を告げた。
艶やかな女性の声は、つっけんどんな宰相を気にもせず答えた。
「わらわもそろそろ引き上げるとしよう。なかなか楽しめたぞ、エース」
笑みを含んだ物言いに、〇〇の背中を冷や汗が伝った。――彼女は、喘がされている女が〇〇であると気づいている。
「陛下に喜んでいただけて、俺も嬉しいですよ」
などと、にこやかに返すような状況では決してないはずだ。
(おかしいだろ、これ。アナタ達は揃いも揃って…っ)
意外なことに、〇〇に同意してくれたのは白ウサギだった。彼は冷ややかに意見を述べる。
「他人の淫行に協力するなんて、馬鹿らしいにも程があります。楽しいなどと感じる陛下の感覚を疑いますね」
上司に遠慮なく侮蔑をぶつけると、今度はエースに対して、
「後々面倒なことになりますから、ちゃんと和姦にしてくださいよ」
あけすけな忠告をして去ろうとする気配に、〇〇は僅かに力を抜いた。そうだ。こうなった以上、バレてしまったものはしかたがない。
このまま終わってしまえ。早くあたしを解放してくれ。
引き上げる複数の気配、その中のひとつが思い出したように立ち止まると、
「エース、わらわの可愛い子を貸し与えるのはこれきりじゃぞ。〇〇、おまえも次からはそう易々と罠に嵌められるでないよ」
――爆弾を落として、優雅に去っていった。
こんなことになるくらいなら、旅でもなんでも適当に付き合っておけばよかった。
広大なハートの城の庭、その迷路の一角で〇〇は後悔していた。目の前には、恋人達はかくあるべきという密着度でハートの騎士がいる。
そればかりか、深く唇を交わし、乱された衣服の隙間から男の指が忍び込んでいた。
同意もなければ甘さもない、曰く、付き合いの悪い〇〇に対する“仕返し”らしい。
こんなくだらないことのために彼が用意した観客は、恐れ多くも城の重鎮だ。
生け垣の向こう側に、足音。ペーター=ホワイトが不審な声を聞きつけて近づいてきた。
「っ……ぅ、んっ」
口の中で好き勝手に暴れる舌。翻弄されながらも、〇〇は声を殺した。相手の思惑に流されれば、公開プレイ。冗談ではない。
(ああもう、早く向こうに行って…!)
祈るようにきつく目蓋を閉じ、意識を背中に集中させる。
一度揺らしてしまった垣根を再び壁と同化させるためには、これ以上の身じろぎは許されない。
「そこに誰かいるんですか」
いない、いない。誰もいない、幻聴だからそれ以上近づくな。と、致し方なく相手の肩を掴んでいた手を力ませ、息をつめて身を固くしたときだ。
「ッい、ぁ……!」
唇を解放された瞬間、下着の下で蠢いていた指がぎゅっと胸の先端を摘んだ。
快感よりも痛みの割合がいくらか勝った刺激に、〇〇は声を抑え切れなかった。
「いい声、出しちゃったね?」
次いで忍びもしない声量でエースが嬉しそうに言った。
男女二人分の声で、なにが行われているのか確実にバレた。その証拠に、垣根を挟んだ向こう側の雰囲気ががらりと変わった。
「……エース君。姿を見ないと思ったら、こんな場所で女とお楽しみ中ですか」
ペーターの声には苛立ちなども感じ取れたが、呆れが大半を占めていた。
エースは片手で〇〇の口を塞ぐと、姿の見えないペーターに答えた。
「あは、やっぱりバレてたんだ、俺が手紙を出したってこと」
「当たり前でしょう。ああ、くだらない。時間の浪費ですよ。刺激がほしいのなら、役なしカードでも使ってください」
「それじゃあ面白くないじゃないか、なあ?」
エースは〇〇に相槌を求めると、髪を掻き上げて露になった耳を、わざと音を立てて舐った。声は出ないが、荒くなる息遣いは誤魔化しようがない。
騎士の悪趣味はもちろんのこと、平然と聞き続けるペーターもペーターだ。
「面白み、ですか…。それにしたって、あの余所者の名を騙る必要性がまったく感じられませんけど」
違和感のわけをその言葉によって知った。ペーターは、エースの相手が〇〇だとは気づいていないのだ。
不幸中の幸いとはこのことなのか。しかし、安心してもいられない。
「ふ……っ」
刺激を受けて敏感になったところを、エースは執拗に弄った。塞がれた呼吸音がくぐもって漏れる。正直、はっきり聞こえるよりも生々しい。
正体がいつ明らかにされるか気が気ではない〇〇に対し、エースの楽しげなこと。
どくどくと心臓から首筋に這い上った鼓動を、唇で受け止めて柔らかく歯を立てる。
「ペーターさんが気づいてくれたおかげで、この子も大満足みたいだ。ほら、可愛い声が聞こえるだろう?」
「お役に立てたようでなによりです。ということで、僕は帰らせていただきますよ、陛下」
ペーターは嫌みっぽく言い捨てて、いつの間にか近くに来ていたらしい女王に決定事項を告げた。
艶やかな女性の声は、つっけんどんな宰相を気にもせず答えた。
「わらわもそろそろ引き上げるとしよう。なかなか楽しめたぞ、エース」
笑みを含んだ物言いに、〇〇の背中を冷や汗が伝った。――彼女は、喘がされている女が〇〇であると気づいている。
「陛下に喜んでいただけて、俺も嬉しいですよ」
などと、にこやかに返すような状況では決してないはずだ。
(おかしいだろ、これ。アナタ達は揃いも揃って…っ)
意外なことに、〇〇に同意してくれたのは白ウサギだった。彼は冷ややかに意見を述べる。
「他人の淫行に協力するなんて、馬鹿らしいにも程があります。楽しいなどと感じる陛下の感覚を疑いますね」
上司に遠慮なく侮蔑をぶつけると、今度はエースに対して、
「後々面倒なことになりますから、ちゃんと和姦にしてくださいよ」
あけすけな忠告をして去ろうとする気配に、〇〇は僅かに力を抜いた。そうだ。こうなった以上、バレてしまったものはしかたがない。
このまま終わってしまえ。早くあたしを解放してくれ。
引き上げる複数の気配、その中のひとつが思い出したように立ち止まると、
「エース、わらわの可愛い子を貸し与えるのはこれきりじゃぞ。〇〇、おまえも次からはそう易々と罠に嵌められるでないよ」
――爆弾を落として、優雅に去っていった。