ご主人様のお戯れ。
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より快適な素晴らしい観賞環境を整えるには、役持ちへのご機嫌伺いも必要だ。
ブラアリを味わうためならば、多少面倒くさいことにも付き合う覚悟はあった。
が、〇〇は使用人のトイレから出て、来た道を戻りながら首を捻った。
(だからって、これはどうかと思うけどなー…)
現在、〇〇はメイドに扮していた。言わずもがな、ブラッドの指示である。
アリスとのあれこれがあったのは少し前の話になるのだが、今日までの猶予はこれが理由だったのかもしれない。
既製品ではない、どこもかしこもサイズのぴったり合ったメイド服。オーダーメイドだろう。
胸元の露出はなく、襟元のきっちり閉じた、長袖タイプのものだった。
(これでロング丈だったら、それほど抵抗もなく着られたのに)
見よ、この絶対領域を。や、別に見なくていいけど。むしろ見ないでくれ。
いまだかつて、これほどそそらないチラリズムがあったろうか。誰にともなく土下座したい。
アリスと健全に一夜を共にした、その代償がこの格好だとしても、もっと別の償い方があるだろうに。
そもそもブラッドの嫉妬がおかしな方向に曲がっていたのだ。
理解しがたい〇〇には彼が提示したとおりに、彼の満足する方法を選択するしかなかった。
不満を払拭したブラッドが、さらにアリスとのイベントを増やしてくれることを切に願う。
〇〇がブラッドの部屋に戻る頃、時間帯は昼から夜へと変わった。
ごっこ遊びが際限なく続いてはかなわないため、あらかじめ一日という約束をしていた。
しかし、この狂った世界でいうところの一日とは、どこで区切ればいいのか。
ふと嫌な不安が過ぎったが、こちらから言い出す前にブラッドのほうから終わりを示してくれた。
「さて、君は確か夜の時間帯に睡眠をとりたいと言っていたね」
「うん、まあ。でも、できればそうしたいっていうだけ」
〇〇が帽子屋屋敷を訪ねてから、ブラッドは意外にも怠けることなく仕事を続けていた。
ほぼ強制的にメイド服を着用させられたものの、〇〇はただ傍にいただけに等しい。
使用人らしい働きといえるのは、紅茶を淹れたことくらいだ。
退屈に殺されるというほどではなかったが、こんなことでいいのかと拍子抜けしていたところに、
「では、寝ようじゃないか。一緒に、私のベッドで」
(……なんていうか、ブラッドって期待を裏切らないな)
やはりというべきか。平穏に一日を終わらせるような男ではなかった。
スマートにメイドを横抱きにした主人は、自らの寝台へと誘う。鮮やかなお手並みに拍手。
近づいてくる端整な顔に手のひらを突き出せば、鋭い視線で咎められた。
戯れだとしても主従関係は覆せない。〇〇はどうしたものかと、とりあえず微笑んだ。
「――いけません、ご主人様」
そういえば、仕える人間であるにもかかわらず、敬うことを忘れていた。
日本の現代人なので、メイドと言われると、空想上のいかがわしいイメージが浮かんでくるのだが。
ひとまず敬語を使ってみる。すると、ブラッドの眼光が幾分か和らいだ。
「おや、なにがいけないのかな。主人を楽しませることもメイドの務めだろう?」
おっと、乗ってきたぞ。侵攻を妨げることができて一安心だが、ここからが問題だ。
〇〇は服の下で鳥肌を立てながら、突き出した手の人差し指でつんとブラッドの唇を触った。
「ご主人様は前にこう仰いましたよね。未経験のことをしたい、と」
「ふむ…。言ったような気もするな」
確かアリスと〇〇が経験したことのないようなことをしたい、という主旨だったはずだ。
解釈を少し変えることになるが、この場を切り抜けるには致し方ない。
「それなら、この先に進んでも得るものはありませんよ」
「……この状況で他の男の存在を出すとは、怖いもの知らずのお嬢さんだ」
ブラッドはわかりやすく不快感を露にした。マナー違反の不粋者ですみませんね。
だが、ここで怯んではいけない。切れ者相手に敵うわけもないが、是が非でもこちらの提案に乗ってもらわなければ。
〇〇は普段あまり働かない頭をフル回転させ、それをおくびにも出さずに、
「ねえ、ご主人様?…まだ誰ともしてないこと、しませんか」
精一杯の甘えた声を演出し、〇〇はブラッドの首筋に両腕をかけた。
そのまま男の身体を抱き寄せ、自ら下敷きになる。
ブラッドの顔はちょうど〇〇の胸のあたりを枕にする形で落ち着いた。
「聞こえますか、心臓の音。ノイズ混じりですけど」
余所者だけが持つ、鼓動。〇〇の場合は時計の音もおまけでついてくるが、心音を意識する。
ブラッドはされるがまま、しばらく黙っていた。怒気は感じられない。
それを許しと受け取り、〇〇の片手は彼の黒髪を優しく撫でた。実に馴れ馴れしいメイドである。
「今日はこうやって寝ましょう。ちょっと硬いかもしれませんが…」
クッション性は求めないでほしい。なにしろ胸が控えめなので。言われる前に言っておく。
「確かに少々柔らかさに欠けるが…愛らしい抱き枕だ。片時も離さず抱いていたくなるよ」
「そりゃどーも」
ようやくブラッドに笑みが戻ってきたようだ。胸元に擦り寄る息があたたかい。
どうやら自分は賭けに勝ったらしいと、〇〇はほっと肩の力を抜いた。
足の布と布の間に覗く肌に悪戯を仕掛けようとする手くらい、可愛いものではないか。
でもお触りは駄目、とばかりに〇〇の手が広い手のひらに滑り込む。
指を絡めてきゅっと握ると、ブラッドはやれやれと言いたげにいやらしい探索を諦めた。
「ふっ…降参だ。今回は君のお遊びに付き合おうじゃないか、〇〇?」
ブラッドはなだらかな双丘に顎を置き、やや上目遣いで〇〇を見ながら意味深に笑った。
それからあらためて居心地のいい位置を探して顔を動かし、大きく息を吐く。
「たまにはこうして、抱きしめられて心安らかに眠ってみるのも、いい…」
仕事の疲れがあったのか、やがてブラッドは素直に睡魔の誘惑に応じた。
こうしていれば、それなりに可愛げのある男に見えなくもないのだが。
〇〇は静かに口元を綻ばせ、彼専用のメイドとして最後の言葉を囁いた。
「おやすみなさいませ、ご主人様」
ボス。アナタが目を覚ますまで、傍にいるよ。
end。→あとがき
ブラアリを味わうためならば、多少面倒くさいことにも付き合う覚悟はあった。
が、〇〇は使用人のトイレから出て、来た道を戻りながら首を捻った。
(だからって、これはどうかと思うけどなー…)
現在、〇〇はメイドに扮していた。言わずもがな、ブラッドの指示である。
アリスとのあれこれがあったのは少し前の話になるのだが、今日までの猶予はこれが理由だったのかもしれない。
既製品ではない、どこもかしこもサイズのぴったり合ったメイド服。オーダーメイドだろう。
胸元の露出はなく、襟元のきっちり閉じた、長袖タイプのものだった。
(これでロング丈だったら、それほど抵抗もなく着られたのに)
見よ、この絶対領域を。や、別に見なくていいけど。むしろ見ないでくれ。
いまだかつて、これほどそそらないチラリズムがあったろうか。誰にともなく土下座したい。
アリスと健全に一夜を共にした、その代償がこの格好だとしても、もっと別の償い方があるだろうに。
そもそもブラッドの嫉妬がおかしな方向に曲がっていたのだ。
理解しがたい〇〇には彼が提示したとおりに、彼の満足する方法を選択するしかなかった。
不満を払拭したブラッドが、さらにアリスとのイベントを増やしてくれることを切に願う。
〇〇がブラッドの部屋に戻る頃、時間帯は昼から夜へと変わった。
ごっこ遊びが際限なく続いてはかなわないため、あらかじめ一日という約束をしていた。
しかし、この狂った世界でいうところの一日とは、どこで区切ればいいのか。
ふと嫌な不安が過ぎったが、こちらから言い出す前にブラッドのほうから終わりを示してくれた。
「さて、君は確か夜の時間帯に睡眠をとりたいと言っていたね」
「うん、まあ。でも、できればそうしたいっていうだけ」
〇〇が帽子屋屋敷を訪ねてから、ブラッドは意外にも怠けることなく仕事を続けていた。
ほぼ強制的にメイド服を着用させられたものの、〇〇はただ傍にいただけに等しい。
使用人らしい働きといえるのは、紅茶を淹れたことくらいだ。
退屈に殺されるというほどではなかったが、こんなことでいいのかと拍子抜けしていたところに、
「では、寝ようじゃないか。一緒に、私のベッドで」
(……なんていうか、ブラッドって期待を裏切らないな)
やはりというべきか。平穏に一日を終わらせるような男ではなかった。
スマートにメイドを横抱きにした主人は、自らの寝台へと誘う。鮮やかなお手並みに拍手。
近づいてくる端整な顔に手のひらを突き出せば、鋭い視線で咎められた。
戯れだとしても主従関係は覆せない。〇〇はどうしたものかと、とりあえず微笑んだ。
「――いけません、ご主人様」
そういえば、仕える人間であるにもかかわらず、敬うことを忘れていた。
日本の現代人なので、メイドと言われると、空想上のいかがわしいイメージが浮かんでくるのだが。
ひとまず敬語を使ってみる。すると、ブラッドの眼光が幾分か和らいだ。
「おや、なにがいけないのかな。主人を楽しませることもメイドの務めだろう?」
おっと、乗ってきたぞ。侵攻を妨げることができて一安心だが、ここからが問題だ。
〇〇は服の下で鳥肌を立てながら、突き出した手の人差し指でつんとブラッドの唇を触った。
「ご主人様は前にこう仰いましたよね。未経験のことをしたい、と」
「ふむ…。言ったような気もするな」
確かアリスと〇〇が経験したことのないようなことをしたい、という主旨だったはずだ。
解釈を少し変えることになるが、この場を切り抜けるには致し方ない。
「それなら、この先に進んでも得るものはありませんよ」
「……この状況で他の男の存在を出すとは、怖いもの知らずのお嬢さんだ」
ブラッドはわかりやすく不快感を露にした。マナー違反の不粋者ですみませんね。
だが、ここで怯んではいけない。切れ者相手に敵うわけもないが、是が非でもこちらの提案に乗ってもらわなければ。
〇〇は普段あまり働かない頭をフル回転させ、それをおくびにも出さずに、
「ねえ、ご主人様?…まだ誰ともしてないこと、しませんか」
精一杯の甘えた声を演出し、〇〇はブラッドの首筋に両腕をかけた。
そのまま男の身体を抱き寄せ、自ら下敷きになる。
ブラッドの顔はちょうど〇〇の胸のあたりを枕にする形で落ち着いた。
「聞こえますか、心臓の音。ノイズ混じりですけど」
余所者だけが持つ、鼓動。〇〇の場合は時計の音もおまけでついてくるが、心音を意識する。
ブラッドはされるがまま、しばらく黙っていた。怒気は感じられない。
それを許しと受け取り、〇〇の片手は彼の黒髪を優しく撫でた。実に馴れ馴れしいメイドである。
「今日はこうやって寝ましょう。ちょっと硬いかもしれませんが…」
クッション性は求めないでほしい。なにしろ胸が控えめなので。言われる前に言っておく。
「確かに少々柔らかさに欠けるが…愛らしい抱き枕だ。片時も離さず抱いていたくなるよ」
「そりゃどーも」
ようやくブラッドに笑みが戻ってきたようだ。胸元に擦り寄る息があたたかい。
どうやら自分は賭けに勝ったらしいと、〇〇はほっと肩の力を抜いた。
足の布と布の間に覗く肌に悪戯を仕掛けようとする手くらい、可愛いものではないか。
でもお触りは駄目、とばかりに〇〇の手が広い手のひらに滑り込む。
指を絡めてきゅっと握ると、ブラッドはやれやれと言いたげにいやらしい探索を諦めた。
「ふっ…降参だ。今回は君のお遊びに付き合おうじゃないか、〇〇?」
ブラッドはなだらかな双丘に顎を置き、やや上目遣いで〇〇を見ながら意味深に笑った。
それからあらためて居心地のいい位置を探して顔を動かし、大きく息を吐く。
「たまにはこうして、抱きしめられて心安らかに眠ってみるのも、いい…」
仕事の疲れがあったのか、やがてブラッドは素直に睡魔の誘惑に応じた。
こうしていれば、それなりに可愛げのある男に見えなくもないのだが。
〇〇は静かに口元を綻ばせ、彼専用のメイドとして最後の言葉を囁いた。
「おやすみなさいませ、ご主人様」
ボス。アナタが目を覚ますまで、傍にいるよ。
end。→あとがき