その贈り物、珍重すべし。
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アリスが来ているらしいという情報をもとに、〇〇は帽子屋屋敷にやってきた。
が、運悪く“ちゃんと”門番をしているディーとダムにあっさり捕まってしまった。もちろん不審者としてではない。
双子はにこにこと子供らしく満面で笑っていた。
「いいところに来たね、〇〇!」
「僕達ちょうど暇を持て余してたんだ。一緒に遊ぼう?」
「……二人して職務怠慢か」
〇〇は率直な感想を述べた。しかし、門ががら空きになったところでまず大事には至らないかなとも思う。
来た人間を片っ端から斧の餌食にし、今ではあまり訪れる者もいないというから。
それとこれとは別で、〇〇の目的は屋敷内にある。彼らの誘いに乗るには条件が悪かった。
「悪いけど、あたしはアリスに会いに来たんだ。遊ぶのはまた今度な?」
屋敷に入るまでに足止めされてはかなわない。お気に入りのブラアリを味わえる可能性が極めて高いのだ。
〇〇はじゃ、と片手で挨拶をし二人を通り過ぎようとしたのだが。
「待ってよ。門番の許可なくここを抜けられると思ってるの?それは無理なんじゃないかな」
「無理だよね。〇〇はもうファミリーの一員みたいなものだから顔パスだけど、今日は僕らの都合に合わせてもらわなくっちゃ」
なんだそれは。気分次第で横暴をされても困る。反論も凶器を目の前にしては喉に押し込めるしかない。〇〇はぐうと口を噤んで身を引いた。
苦手を知られてからというもの、彼らは〇〇に要求を呑ませるために斧を活用するようになった。
それが見事に威力を発揮するものだから、まったく対処の講じようがない。
たらりと冷や汗を流す〇〇を尻目に、双子は喜々として相談を始めた。
「よし、今日はなにして遊ぼうか、兄弟」
「せっかく〇〇が快く遊びに参加してくれるんだから、〇〇の好きなことをしようよ、兄弟?」
「〇〇の好きなことかー。やっぱり的当てかな?」
「ナイフは駄目だよ。あの切れ味満点具合がお気に召さないらしいからさ。…代わりにフォークとかどう?」
「ああ、それならいいかも!危なくないし、投げ方にコツがいるけど僕らが教えればいい」
「コツさえ掴めば、ナイフじゃなくてもちゃんと的に突き刺さるしね」
高速で飛ぶフォークが果たして安全なものか。というか、明らかに使用目的を間違えている。
フォークの的当てゲームを試したことがある口ぶりの子供達に、是非マナーの再教育をお勧めしたい。
話を勝手にまとめた二人がくるりと顔を向けた。じり、と〇〇の足が後ずさる。
斧を構えた双子は笑みを崩さずこちらの後退の倍以上歩数を進めた。
「それじゃあ行こうか。ここじゃ狭すぎるから、もっと広い場所にさ」
「逃げちゃ駄目だよ。逃がさないけどね。鬼ごっこがしたいっていうなら、〇〇が追いかけられる側だから覚悟してよ」
斧にぶった切られるくらいならまだフォークのほうがマシか。しかし殺人的なフォーク飛行にもできればお目にかかりたくない。
当初の目的をもう一度思い返した〇〇は、後者の選択肢に身を委ねることを即決した。
命あっての物種だ。今は双子の遊びに付き合って生命を永らえさせるほうが賢明である。
アリスよ、これが終わるまでどうか屋敷に留まっていてくれ。
ひとときの間、己を贄に差し出すつもりで〇〇は双子のほうへ一歩踏み出した。二人はやったねというように斧を下げた。
ところが、次の瞬間に彼らの笑顔は消え去る。刹那で殺気立った空気に、〇〇はなにもわからないまま立ち尽くす。
ディーの手かダムの手か、〇〇は引き倒され慌てて地面に手をついた。とほぼ同時に銃声が一発、空に轟いた。
あれは頭上を飛んでいったのだろうか。血の滲む手のひらを気遣う余裕もなく振り向くと、領土に似つかわしくない男の姿がひとつ。
すぐさまふたつの少年の背に隠されたが、見間違えようがない、あれは。
「ペ、ペーター…?」
赤いチェックの服に白い耳がよく映える。ハートの国の宰相だ。しかし何故、宰相が一人敵地に赴いているのだろう。
呆気に取られる中、舌打ちを耳にしたのは〇〇だけではなかったようだ。
「おい、おまえ!今〇〇を狙っただろ!」
「僕らが気づいたからよかったものの、万が一〇〇に掠りでもしたらどうするつもりだよ!」
いきり立つ双子に、舌打ちをかました白ウサギは鼻で笑って返した。
「どうするもなにもありません。ハッ、掠る?今のはわざと外したんです。この僕が撃ってその余所者に当たらないはずがないでしょう」
自信満々に言い、再び銃口を持ち上げた。双子も斧を構えて敵意を剥き出しにする。
「ちょっ…どっちも落ち着きなってば」
〇〇はその真ん中に割って入った。とりあえず仲裁を試みようとするも、こんな両者に挟まれてはいい的にしかならない。
「危ないから下がっててよ、〇〇!」
「そうだよ、僕らの後ろにいて!」
「ガキが一人前にナイト気取りですか。ああでも、守られる女がそれならお似合いですよ」
「――だっから、ひとまずその殺気と挑発を抑えろって言ってんの!」
いつまで経っても話が進みやしない。〇〇の一喝に双子は渋々口を閉じ、白ウサギはふてぶてしく睨み返してきた。
やれやれと額に手を当てる。とにかく事情聴取といこう。
が、運悪く“ちゃんと”門番をしているディーとダムにあっさり捕まってしまった。もちろん不審者としてではない。
双子はにこにこと子供らしく満面で笑っていた。
「いいところに来たね、〇〇!」
「僕達ちょうど暇を持て余してたんだ。一緒に遊ぼう?」
「……二人して職務怠慢か」
〇〇は率直な感想を述べた。しかし、門ががら空きになったところでまず大事には至らないかなとも思う。
来た人間を片っ端から斧の餌食にし、今ではあまり訪れる者もいないというから。
それとこれとは別で、〇〇の目的は屋敷内にある。彼らの誘いに乗るには条件が悪かった。
「悪いけど、あたしはアリスに会いに来たんだ。遊ぶのはまた今度な?」
屋敷に入るまでに足止めされてはかなわない。お気に入りのブラアリを味わえる可能性が極めて高いのだ。
〇〇はじゃ、と片手で挨拶をし二人を通り過ぎようとしたのだが。
「待ってよ。門番の許可なくここを抜けられると思ってるの?それは無理なんじゃないかな」
「無理だよね。〇〇はもうファミリーの一員みたいなものだから顔パスだけど、今日は僕らの都合に合わせてもらわなくっちゃ」
なんだそれは。気分次第で横暴をされても困る。反論も凶器を目の前にしては喉に押し込めるしかない。〇〇はぐうと口を噤んで身を引いた。
苦手を知られてからというもの、彼らは〇〇に要求を呑ませるために斧を活用するようになった。
それが見事に威力を発揮するものだから、まったく対処の講じようがない。
たらりと冷や汗を流す〇〇を尻目に、双子は喜々として相談を始めた。
「よし、今日はなにして遊ぼうか、兄弟」
「せっかく〇〇が快く遊びに参加してくれるんだから、〇〇の好きなことをしようよ、兄弟?」
「〇〇の好きなことかー。やっぱり的当てかな?」
「ナイフは駄目だよ。あの切れ味満点具合がお気に召さないらしいからさ。…代わりにフォークとかどう?」
「ああ、それならいいかも!危なくないし、投げ方にコツがいるけど僕らが教えればいい」
「コツさえ掴めば、ナイフじゃなくてもちゃんと的に突き刺さるしね」
高速で飛ぶフォークが果たして安全なものか。というか、明らかに使用目的を間違えている。
フォークの的当てゲームを試したことがある口ぶりの子供達に、是非マナーの再教育をお勧めしたい。
話を勝手にまとめた二人がくるりと顔を向けた。じり、と〇〇の足が後ずさる。
斧を構えた双子は笑みを崩さずこちらの後退の倍以上歩数を進めた。
「それじゃあ行こうか。ここじゃ狭すぎるから、もっと広い場所にさ」
「逃げちゃ駄目だよ。逃がさないけどね。鬼ごっこがしたいっていうなら、〇〇が追いかけられる側だから覚悟してよ」
斧にぶった切られるくらいならまだフォークのほうがマシか。しかし殺人的なフォーク飛行にもできればお目にかかりたくない。
当初の目的をもう一度思い返した〇〇は、後者の選択肢に身を委ねることを即決した。
命あっての物種だ。今は双子の遊びに付き合って生命を永らえさせるほうが賢明である。
アリスよ、これが終わるまでどうか屋敷に留まっていてくれ。
ひとときの間、己を贄に差し出すつもりで〇〇は双子のほうへ一歩踏み出した。二人はやったねというように斧を下げた。
ところが、次の瞬間に彼らの笑顔は消え去る。刹那で殺気立った空気に、〇〇はなにもわからないまま立ち尽くす。
ディーの手かダムの手か、〇〇は引き倒され慌てて地面に手をついた。とほぼ同時に銃声が一発、空に轟いた。
あれは頭上を飛んでいったのだろうか。血の滲む手のひらを気遣う余裕もなく振り向くと、領土に似つかわしくない男の姿がひとつ。
すぐさまふたつの少年の背に隠されたが、見間違えようがない、あれは。
「ペ、ペーター…?」
赤いチェックの服に白い耳がよく映える。ハートの国の宰相だ。しかし何故、宰相が一人敵地に赴いているのだろう。
呆気に取られる中、舌打ちを耳にしたのは〇〇だけではなかったようだ。
「おい、おまえ!今〇〇を狙っただろ!」
「僕らが気づいたからよかったものの、万が一〇〇に掠りでもしたらどうするつもりだよ!」
いきり立つ双子に、舌打ちをかました白ウサギは鼻で笑って返した。
「どうするもなにもありません。ハッ、掠る?今のはわざと外したんです。この僕が撃ってその余所者に当たらないはずがないでしょう」
自信満々に言い、再び銃口を持ち上げた。双子も斧を構えて敵意を剥き出しにする。
「ちょっ…どっちも落ち着きなってば」
〇〇はその真ん中に割って入った。とりあえず仲裁を試みようとするも、こんな両者に挟まれてはいい的にしかならない。
「危ないから下がっててよ、〇〇!」
「そうだよ、僕らの後ろにいて!」
「ガキが一人前にナイト気取りですか。ああでも、守られる女がそれならお似合いですよ」
「――だっから、ひとまずその殺気と挑発を抑えろって言ってんの!」
いつまで経っても話が進みやしない。〇〇の一喝に双子は渋々口を閉じ、白ウサギはふてぶてしく睨み返してきた。
やれやれと額に手を当てる。とにかく事情聴取といこう。