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△△の敵愾心が居心地悪く、出かけようとすればユリウスの無言の懇願に押し止められる。
板挟みになった〇〇は、考えた末に△△を伴って時計塔を出ることにした。
一つの部屋に三人が固まっているから、妙な空気になる。それなら、全員にいいように分散するしかない。
ユリウスには適当な用事を考えてもらい、その言伝を△△に頼むという段取りになった。
「この人じゃなくて、わたしがいいの?」
行き先は遊園地。〇〇は仕事のために同行する。
わざわざ△△に頼む理由を聞きたいらしく、彼女は瞳を輝かせてユリウスに念を押した。
「ああ、そうだ。……私は、おまえに任せたいんだ」
「うんっ、任せて!」
こら、そこ含みを持たせるんじゃない、大根役者。
不自然に目を泳がせるユリウスには気づかないようで、△△はふふんと自慢げな一瞥をこちらに寄越す。
後ろめたさが過ぎり、〇〇は曖昧な笑みを作るだけだった。
遊園地までの道のりは長かった。ひたすら遠かった。いつもなら苦にならない距離が、果てのない行程に思えた。
会話もなく、肩も並べずに、各々が黙々と目的地を目指す。
〇〇は気を遣って話しかけようかと思ったが、やめた。それぞれの立場(狙い)の違いを確認したあのときから、仲は決裂してしまっている。
友好的な態度を示せないこともない〇〇とは異なり、彼女のほうは頑なだった。
仲良くできる“いつか”を期待するのは、まだまだ先のことになりそうだ。
(アリスはアリス、自分は自分。そのことに気づかないと、心からは楽しめないんじゃないか?)
と思うのだが、偉そうに説けはしない。結局、彼女は彼女の好きなようにしてもらうしかなかった。
間もなく山吹色を発見した△△は、三つ編み目掛けて走って行った。
こちらも仕事を始める前に一声かけたいが、今割り込めばまた不興を買うだろう。
少し距離を置いた場所からタイミングを計っていると、不意に後ろから抱きつかれた。
「なにっ……て、なんだボリスか」
「うわ、淡泊なリアクション。もっと嬉しそうな顔で迎えてくれない?」
「そういうのを期待するなら、ほら、あっちが最適だ」
肩から退けようとすれば、ますます絡みついてくる。ボリスは〇〇の肩越しに向こうを見遣って、「あーなるほど」と納得した。
「確かにあっちなら、可愛い顔で抱きしめ返してくれるんだろうな。〇〇も少しは見習えば?」
「女らしさを、か?無理無理、元の作りの違いはどうにもなんないよ」
むしろ△△の仕種を真似すれば、嘔吐級の代物になる自信がある。誰が見たいんだ、そんなモザイクもの。
笑って取り合わない〇〇に、チェシャ猫は軽く息をついた。溜め息の続きは口にせず、話題を変える。
「ところで、あんた仕事をしに来たんだろ?なんでこんなところで突っ立ってるわけ?」
「いや、あたしだってさっさと始めたいんだけどさ…」
わかるだろうと視線で指す。オーナーと、その腕を抱く少女の姿。
素振りを繕っていても、疎くなければ、余所者同士の一方的な不仲には気づくはずだ。鋭い猫は短く笑って、〇〇の前に回り込んだ。
「思うに、〇〇のほうが苦労してる感じ?」
「まあ、そう…かな」
「じゃあ、あんたのために俺が一肌脱いでやるよ」
するりと尻尾が腕を撫でてきた。ふっと近づいたボリスは、唇を〇〇の頬につけた。
羽根のように軽いキスを「前払い」と称し、悠々と件の二人に歩み寄っていく。
猫が二言三言、なにかしら言葉を紡げば容易く事は運んだ。
ゴーランドにべったりだった少女は歓喜の声を上げ、素直にボリスに手を引かれて行った。
「ゴーランド」
その隙に、〇〇は立ち尽くす彼に声をかける。ゴーランドは去る二人を呆気にとられた顔をして見送っていた。
「〇〇……」
「どうもー。じゃ、これから仕事を…っ?」
ほんの挨拶だけで済ませようとした〇〇だったが、いきなり顔面を両手で挟まれ思わず口がタコになった。不覚である。
その顔を見て勢いをつけすぎたと悟ったのか、ゴーランドはすぐに手から力を抜いた。
なにをするかと思えば、そのまま手のひらでごしごしと頬を拭われる。これが地味に痛い。
「ったた…ちょっ…」
「あんたな、なに簡単にキスされてんだ」
「キス?ああ、あれか」
初めてこちらの存在に気づいたかと思ったが、どうやら来訪を最初から知っていたらしい。
「見てたんだ?」
「見てたっつーか…見えたんだよ。あんただって俺のほうを見てただろ」
△△に阻まれて近づけなかったと困り顔で話すものだから、〇〇は共感の微笑を返した。
頬を解放される頃にはひりりと痛んだが、気が済んだようにすっきりした表情を見て、まあいいかと思う。
「そっちから来てくれるかと思って待っても、全然動く気配がねえし…。遠慮なく割って入ってくれりゃいいのによ。むしろ来てくれ」
「まあ、あたしにも都合があってね」
お互いがお互いの理由によって動けなかったのだ。ある意味共通の原因ではあるが。
〇〇は明確な理由を口に出さない。ゴーランドは追及しようとしなかった。
しかし、なにかを欲するような目で覗き込んでくる。望みのものを見出せなかったようで、残念そうに少し肩を落とした。
「あわよくば、あんたに妬いてもらえたらと思ったんだがな」
「は?」
「逆に俺が妬く羽目になった。ボリスにあんなこと許しちまうなんて…甘かったぜ」
いったい誰がなにに嫉妬する必要がある。首を傾げると、気にするなと頭を撫でられた。
そして彼は軽く腰を屈め、わけがわからずにいる〇〇の頬を唇で攫った。
優しい口づけは決して不快ではなかった。が、ちょうど視界にあるものを捉えた〇〇の表情は妙な具合になってしまった。
(げ……)
やばい。可愛らしい少女が、鬼の目つきであたしを殺そうとしている。どんなタイミングで戻ってくるんだ。
猫の剣呑な眼差しとそれを受けるオーナーのやりとりには関知せず、ばっちり嫉妬を頂戴した〇〇は自らの不運を嘆いた。
ああ、平穏なアリスラブライフは何処へ。切にアリスを恋いながら、どんな視線をも振り切り仕事に向かう。
早急に思う存分心の潤いを得なければ……やっていけそうにない。
板挟みになった〇〇は、考えた末に△△を伴って時計塔を出ることにした。
一つの部屋に三人が固まっているから、妙な空気になる。それなら、全員にいいように分散するしかない。
ユリウスには適当な用事を考えてもらい、その言伝を△△に頼むという段取りになった。
「この人じゃなくて、わたしがいいの?」
行き先は遊園地。〇〇は仕事のために同行する。
わざわざ△△に頼む理由を聞きたいらしく、彼女は瞳を輝かせてユリウスに念を押した。
「ああ、そうだ。……私は、おまえに任せたいんだ」
「うんっ、任せて!」
こら、そこ含みを持たせるんじゃない、大根役者。
不自然に目を泳がせるユリウスには気づかないようで、△△はふふんと自慢げな一瞥をこちらに寄越す。
後ろめたさが過ぎり、〇〇は曖昧な笑みを作るだけだった。
遊園地までの道のりは長かった。ひたすら遠かった。いつもなら苦にならない距離が、果てのない行程に思えた。
会話もなく、肩も並べずに、各々が黙々と目的地を目指す。
〇〇は気を遣って話しかけようかと思ったが、やめた。それぞれの立場(狙い)の違いを確認したあのときから、仲は決裂してしまっている。
友好的な態度を示せないこともない〇〇とは異なり、彼女のほうは頑なだった。
仲良くできる“いつか”を期待するのは、まだまだ先のことになりそうだ。
(アリスはアリス、自分は自分。そのことに気づかないと、心からは楽しめないんじゃないか?)
と思うのだが、偉そうに説けはしない。結局、彼女は彼女の好きなようにしてもらうしかなかった。
間もなく山吹色を発見した△△は、三つ編み目掛けて走って行った。
こちらも仕事を始める前に一声かけたいが、今割り込めばまた不興を買うだろう。
少し距離を置いた場所からタイミングを計っていると、不意に後ろから抱きつかれた。
「なにっ……て、なんだボリスか」
「うわ、淡泊なリアクション。もっと嬉しそうな顔で迎えてくれない?」
「そういうのを期待するなら、ほら、あっちが最適だ」
肩から退けようとすれば、ますます絡みついてくる。ボリスは〇〇の肩越しに向こうを見遣って、「あーなるほど」と納得した。
「確かにあっちなら、可愛い顔で抱きしめ返してくれるんだろうな。〇〇も少しは見習えば?」
「女らしさを、か?無理無理、元の作りの違いはどうにもなんないよ」
むしろ△△の仕種を真似すれば、嘔吐級の代物になる自信がある。誰が見たいんだ、そんなモザイクもの。
笑って取り合わない〇〇に、チェシャ猫は軽く息をついた。溜め息の続きは口にせず、話題を変える。
「ところで、あんた仕事をしに来たんだろ?なんでこんなところで突っ立ってるわけ?」
「いや、あたしだってさっさと始めたいんだけどさ…」
わかるだろうと視線で指す。オーナーと、その腕を抱く少女の姿。
素振りを繕っていても、疎くなければ、余所者同士の一方的な不仲には気づくはずだ。鋭い猫は短く笑って、〇〇の前に回り込んだ。
「思うに、〇〇のほうが苦労してる感じ?」
「まあ、そう…かな」
「じゃあ、あんたのために俺が一肌脱いでやるよ」
するりと尻尾が腕を撫でてきた。ふっと近づいたボリスは、唇を〇〇の頬につけた。
羽根のように軽いキスを「前払い」と称し、悠々と件の二人に歩み寄っていく。
猫が二言三言、なにかしら言葉を紡げば容易く事は運んだ。
ゴーランドにべったりだった少女は歓喜の声を上げ、素直にボリスに手を引かれて行った。
「ゴーランド」
その隙に、〇〇は立ち尽くす彼に声をかける。ゴーランドは去る二人を呆気にとられた顔をして見送っていた。
「〇〇……」
「どうもー。じゃ、これから仕事を…っ?」
ほんの挨拶だけで済ませようとした〇〇だったが、いきなり顔面を両手で挟まれ思わず口がタコになった。不覚である。
その顔を見て勢いをつけすぎたと悟ったのか、ゴーランドはすぐに手から力を抜いた。
なにをするかと思えば、そのまま手のひらでごしごしと頬を拭われる。これが地味に痛い。
「ったた…ちょっ…」
「あんたな、なに簡単にキスされてんだ」
「キス?ああ、あれか」
初めてこちらの存在に気づいたかと思ったが、どうやら来訪を最初から知っていたらしい。
「見てたんだ?」
「見てたっつーか…見えたんだよ。あんただって俺のほうを見てただろ」
△△に阻まれて近づけなかったと困り顔で話すものだから、〇〇は共感の微笑を返した。
頬を解放される頃にはひりりと痛んだが、気が済んだようにすっきりした表情を見て、まあいいかと思う。
「そっちから来てくれるかと思って待っても、全然動く気配がねえし…。遠慮なく割って入ってくれりゃいいのによ。むしろ来てくれ」
「まあ、あたしにも都合があってね」
お互いがお互いの理由によって動けなかったのだ。ある意味共通の原因ではあるが。
〇〇は明確な理由を口に出さない。ゴーランドは追及しようとしなかった。
しかし、なにかを欲するような目で覗き込んでくる。望みのものを見出せなかったようで、残念そうに少し肩を落とした。
「あわよくば、あんたに妬いてもらえたらと思ったんだがな」
「は?」
「逆に俺が妬く羽目になった。ボリスにあんなこと許しちまうなんて…甘かったぜ」
いったい誰がなにに嫉妬する必要がある。首を傾げると、気にするなと頭を撫でられた。
そして彼は軽く腰を屈め、わけがわからずにいる〇〇の頬を唇で攫った。
優しい口づけは決して不快ではなかった。が、ちょうど視界にあるものを捉えた〇〇の表情は妙な具合になってしまった。
(げ……)
やばい。可愛らしい少女が、鬼の目つきであたしを殺そうとしている。どんなタイミングで戻ってくるんだ。
猫の剣呑な眼差しとそれを受けるオーナーのやりとりには関知せず、ばっちり嫉妬を頂戴した〇〇は自らの不運を嘆いた。
ああ、平穏なアリスラブライフは何処へ。切にアリスを恋いながら、どんな視線をも振り切り仕事に向かう。
早急に思う存分心の潤いを得なければ……やっていけそうにない。