夢見る恋人よ、愛を孕め。
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――あのとき、ハートの騎士と遭遇さえしなければ。良くも悪くも〇〇の運命は変わっていたことだろう。
勝算は限りなくゼロに近いゲームだったが、どんな手段を用いても抗わなければならないと知っていた。
しかしそんな〇〇の強い決意は、エースの動作ひとつによってものの見事に吹き飛ばされた。
間合いを詰められたのは一瞬のうちだった。突きつけられた真っ直ぐな剣先は、〇〇の心臓の真正面にひたりと添えられていた。
なにが起こったのかを悟ったときには、すでにどうしようもなかった。
衣類越しに確かに感じた、凶器の冷たさ。肌を圧す、ぞっとするような鋭利な狂気。
つかまった、ではなく、ころされた、と思った。男はたった一度の本物の殺意で、〇〇の脳内に一生傷にも似た恐怖を刻み込んだ。
(たぶんあのとき、本当に殺されたんだ。“これまでのあたし”は死んだも同然なんだから…)
ハートの国に来てからというもの、アリスだけを目的にし、アリスを中心に動いてきた。その傍観者の〇〇は、亡き者にされた。
今ここにいるのは、ハートの騎士の恋人という位置に縛られた余所者だ。
もはや無関係でいることを許されない、他者の所有物のような存在。恐ろしくつまらないものに変わってしまった。
鬼ごっこを機に変化したのは〇〇だけではない。
アリスが残ると決めたこの世界も、表面上は以前となにも変わらないように見えるが、根底には殺伐とした空気が流れている。
軽い食事が済むと、再び〇〇の身体はエースの手によって横たえられた。
次になにが行われるのか、これまでの経験から嫌というほどわかっていた。
本当の苦痛は男と交わること自体ではなく、その行為によって自覚を強要されることだった。
「〇〇、そんなに嫌そうな顔しないでくれよ。まるで俺が強姦するみたいじゃないか」
「っ……」
「恋人同士なら、ごく自然な行為だろ?」
啄むようなキスをしながら、笑うエースは手馴れた様子で〇〇の服を脱がしていく。
〇〇は一刻も早くこれが終わることを願い、そして、少し離れた場所に放置されている鋭い刃物に焦がれた。
ほしい。あれがほしい。命を絶ってくれる救世主のような存在が、手を伸ばせば届くところにあるのだ。
死を願う〇〇は病んでいるように見えるかもしれない。だが、正気だからこその切実な思いだった。
「ぁ、あ……っ」
「ん…いいぜ、その声。もっと出してみようか」
「ぃ、や、だ…って、言って、ゃ、あ!」
「ほら、もっと。心配しなくても、ここには誰も来ない。遠慮なく大声で喘いでいいんだぜ?」
体内で男の指が蠢く。エースは〇〇に声を出させようと、弱いところばかりを集中的に弄った。
極力声を殺そうとする〇〇に、彼はいつも誰も来ないと言って強引に事を進める。
今回のように森の中ならば、確かに人と出会う確率は低いだろう。
しかしこの騎士は所構わずキャンプをするため、時にはいつ誰が通りかかるかもしれないハートの城の廊下などで行為に及ぶこともあった。
覚えさせられた快楽を認識して肉体が反応を示すと、振り払って逃げ出したくなる。
これは違う。こんなのはあたしじゃない。違う。違う。違う。
必死でそう否定するのに、今となってはこの世界に存在する〇〇はそんな〇〇でしかいられなかった。
「はあっ、はっ、ぐ…」
「――……〇〇、」
暴れる鼓動が頭に響く。幸い胸のむかつきはなかった。まだ、眠りに落ちることはできない。
あの手この手を使って執拗に追いつめた後、エースは荒い呼吸を繰り返す〇〇にゆっくり体重を預けた。
そのとき、何度絶頂を迎えても薄く色づくだけだった〇〇の顔色が、一瞬にして蒼白に変わった。
「こ、れ……え?」
秘部に触れた男の欲望は、明らかに今までとは異なる鮮明な熱を帯びていた。
そのわけをすぐに察した〇〇は、自分を見下ろすエースを愕然として見上げた。
「なん、で。ちょっ、エース、これは…っ」
「うん。そろそろ、さ。俺も限界なんだよね。だから、君との子供を作っちゃおうかと思って」
エースはなんの重みもない口調で言い、直に触れ合う状態のものを知らしめるように上下に擦りつけた。
狼狽した〇〇はエースの胸板を押し返そうとしたが、体力の落ちた身体でなくとも敵うはずがなかった。
抗えないことを再認識して、ぞっと肝を冷やす。青褪める〇〇を優しげに見つめて、エースは微笑んだ。
そして微笑みながら彼が口にするのは、〇〇に容赦なく現実を突きつける非情な言葉の数々だった。
「なあ、〇〇。君はいつまで俺から目を背けるつもりなんだ?」
「ぅ、ぁ…」
「ゲームの勝者は俺だよ。覚えてるだろう?忘れるわけないよな。あのときの本気で怯えた君の顔は、それだけで自慰できるくらい可愛かった」
恐怖ゆえに小刻みに震える〇〇に、エースは頬擦りする。愛おしくてたまらないというふうに。
「役持ちのみんなからプレゼントされる刺客を殺すたびに、俺はいつも実感する。ああ、〇〇は本当に俺のものになったんだなあって、嬉しくなるんだ」
他人に殺したいほど憎まれ妬まれるくらい、余所者を手に入れた自分は最高に幸せ者なんだと。
嬉しくて、嬉しすぎて頭がおかしくなりそうなくらいなのに。
「――君は、逃げてばかりいる」
楽しげに語るエースの声は、徐々に変わっていった。ずっと同じ調子で話しているようで、なにかが違う。
ぬるり、ぬるりと割れ目を擦る肉棒がいつ突き立てられるかと慄く〇〇を、ぐっと腕の中に捕らえたまま、彼は言う。
「二人でいれば、君は俺だけを見るようになると思ってた。ははっ、これでも最初は気長に待つつもりだったんだぜ?」
だけど、悪夢から必死に目覚めようとする小さな女の子みたいに、君は物欲しげに俺の剣を見るから。
思わずそれで心臓を貫いてあげたくなるくらい、絶望に魅入られた君は可愛いから。
俺が我慢できなくなる前に、君がもうどこにも行けないことを教えてあげることにしたんだ。
「ちょっと薄情なところもあるけど、根本的に優しい〇〇は、俺との間に生まれる子供を見捨てられないだろ?」
本当はもうしばらく二人きりでいる予定だったんだけど。まっ、人生は予定通りにならないほうが楽しいよなあ!
「これでもう、元の世界への未練なんて必要ないよな?帰れないし戻れない、そんな世界に縋っても無意味だ」
これからはずっと俺を見て、俺との時間を生きてもらうぜ?
〇〇はとうとう悲鳴を上げた。ついに熱く硬いものを深々と最奥まで突き込まれ、激しすぎる律動が始まった。
もう戻れないと思いながらも、完全には望みを捨て切れていなかったのだと、たった今気づいた。
〇〇は本当の意味での覚悟ができていなかったのだ。浅はかにも、一縷の希望を胸の隅に隠していた。
それを騎士は暴き出し、摘み取った。さあ、ここからはもうすべてが現実(リアル)でしかない。
悪い夢と譬えていた世界で再び目覚めた〇〇の体内は、絶望の白濁に染まり、余所者は二度と夢を見ることはなかった。
end。→あとがき
勝算は限りなくゼロに近いゲームだったが、どんな手段を用いても抗わなければならないと知っていた。
しかしそんな〇〇の強い決意は、エースの動作ひとつによってものの見事に吹き飛ばされた。
間合いを詰められたのは一瞬のうちだった。突きつけられた真っ直ぐな剣先は、〇〇の心臓の真正面にひたりと添えられていた。
なにが起こったのかを悟ったときには、すでにどうしようもなかった。
衣類越しに確かに感じた、凶器の冷たさ。肌を圧す、ぞっとするような鋭利な狂気。
つかまった、ではなく、ころされた、と思った。男はたった一度の本物の殺意で、〇〇の脳内に一生傷にも似た恐怖を刻み込んだ。
(たぶんあのとき、本当に殺されたんだ。“これまでのあたし”は死んだも同然なんだから…)
ハートの国に来てからというもの、アリスだけを目的にし、アリスを中心に動いてきた。その傍観者の〇〇は、亡き者にされた。
今ここにいるのは、ハートの騎士の恋人という位置に縛られた余所者だ。
もはや無関係でいることを許されない、他者の所有物のような存在。恐ろしくつまらないものに変わってしまった。
鬼ごっこを機に変化したのは〇〇だけではない。
アリスが残ると決めたこの世界も、表面上は以前となにも変わらないように見えるが、根底には殺伐とした空気が流れている。
軽い食事が済むと、再び〇〇の身体はエースの手によって横たえられた。
次になにが行われるのか、これまでの経験から嫌というほどわかっていた。
本当の苦痛は男と交わること自体ではなく、その行為によって自覚を強要されることだった。
「〇〇、そんなに嫌そうな顔しないでくれよ。まるで俺が強姦するみたいじゃないか」
「っ……」
「恋人同士なら、ごく自然な行為だろ?」
啄むようなキスをしながら、笑うエースは手馴れた様子で〇〇の服を脱がしていく。
〇〇は一刻も早くこれが終わることを願い、そして、少し離れた場所に放置されている鋭い刃物に焦がれた。
ほしい。あれがほしい。命を絶ってくれる救世主のような存在が、手を伸ばせば届くところにあるのだ。
死を願う〇〇は病んでいるように見えるかもしれない。だが、正気だからこその切実な思いだった。
「ぁ、あ……っ」
「ん…いいぜ、その声。もっと出してみようか」
「ぃ、や、だ…って、言って、ゃ、あ!」
「ほら、もっと。心配しなくても、ここには誰も来ない。遠慮なく大声で喘いでいいんだぜ?」
体内で男の指が蠢く。エースは〇〇に声を出させようと、弱いところばかりを集中的に弄った。
極力声を殺そうとする〇〇に、彼はいつも誰も来ないと言って強引に事を進める。
今回のように森の中ならば、確かに人と出会う確率は低いだろう。
しかしこの騎士は所構わずキャンプをするため、時にはいつ誰が通りかかるかもしれないハートの城の廊下などで行為に及ぶこともあった。
覚えさせられた快楽を認識して肉体が反応を示すと、振り払って逃げ出したくなる。
これは違う。こんなのはあたしじゃない。違う。違う。違う。
必死でそう否定するのに、今となってはこの世界に存在する〇〇はそんな〇〇でしかいられなかった。
「はあっ、はっ、ぐ…」
「――……〇〇、」
暴れる鼓動が頭に響く。幸い胸のむかつきはなかった。まだ、眠りに落ちることはできない。
あの手この手を使って執拗に追いつめた後、エースは荒い呼吸を繰り返す〇〇にゆっくり体重を預けた。
そのとき、何度絶頂を迎えても薄く色づくだけだった〇〇の顔色が、一瞬にして蒼白に変わった。
「こ、れ……え?」
秘部に触れた男の欲望は、明らかに今までとは異なる鮮明な熱を帯びていた。
そのわけをすぐに察した〇〇は、自分を見下ろすエースを愕然として見上げた。
「なん、で。ちょっ、エース、これは…っ」
「うん。そろそろ、さ。俺も限界なんだよね。だから、君との子供を作っちゃおうかと思って」
エースはなんの重みもない口調で言い、直に触れ合う状態のものを知らしめるように上下に擦りつけた。
狼狽した〇〇はエースの胸板を押し返そうとしたが、体力の落ちた身体でなくとも敵うはずがなかった。
抗えないことを再認識して、ぞっと肝を冷やす。青褪める〇〇を優しげに見つめて、エースは微笑んだ。
そして微笑みながら彼が口にするのは、〇〇に容赦なく現実を突きつける非情な言葉の数々だった。
「なあ、〇〇。君はいつまで俺から目を背けるつもりなんだ?」
「ぅ、ぁ…」
「ゲームの勝者は俺だよ。覚えてるだろう?忘れるわけないよな。あのときの本気で怯えた君の顔は、それだけで自慰できるくらい可愛かった」
恐怖ゆえに小刻みに震える〇〇に、エースは頬擦りする。愛おしくてたまらないというふうに。
「役持ちのみんなからプレゼントされる刺客を殺すたびに、俺はいつも実感する。ああ、〇〇は本当に俺のものになったんだなあって、嬉しくなるんだ」
他人に殺したいほど憎まれ妬まれるくらい、余所者を手に入れた自分は最高に幸せ者なんだと。
嬉しくて、嬉しすぎて頭がおかしくなりそうなくらいなのに。
「――君は、逃げてばかりいる」
楽しげに語るエースの声は、徐々に変わっていった。ずっと同じ調子で話しているようで、なにかが違う。
ぬるり、ぬるりと割れ目を擦る肉棒がいつ突き立てられるかと慄く〇〇を、ぐっと腕の中に捕らえたまま、彼は言う。
「二人でいれば、君は俺だけを見るようになると思ってた。ははっ、これでも最初は気長に待つつもりだったんだぜ?」
だけど、悪夢から必死に目覚めようとする小さな女の子みたいに、君は物欲しげに俺の剣を見るから。
思わずそれで心臓を貫いてあげたくなるくらい、絶望に魅入られた君は可愛いから。
俺が我慢できなくなる前に、君がもうどこにも行けないことを教えてあげることにしたんだ。
「ちょっと薄情なところもあるけど、根本的に優しい〇〇は、俺との間に生まれる子供を見捨てられないだろ?」
本当はもうしばらく二人きりでいる予定だったんだけど。まっ、人生は予定通りにならないほうが楽しいよなあ!
「これでもう、元の世界への未練なんて必要ないよな?帰れないし戻れない、そんな世界に縋っても無意味だ」
これからはずっと俺を見て、俺との時間を生きてもらうぜ?
〇〇はとうとう悲鳴を上げた。ついに熱く硬いものを深々と最奥まで突き込まれ、激しすぎる律動が始まった。
もう戻れないと思いながらも、完全には望みを捨て切れていなかったのだと、たった今気づいた。
〇〇は本当の意味での覚悟ができていなかったのだ。浅はかにも、一縷の希望を胸の隅に隠していた。
それを騎士は暴き出し、摘み取った。さあ、ここからはもうすべてが現実(リアル)でしかない。
悪い夢と譬えていた世界で再び目覚めた〇〇の体内は、絶望の白濁に染まり、余所者は二度と夢を見ることはなかった。
end。→あとがき