底なし無限ループ。
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狂気に満ちた鬼ごっこは、余所者が求める少女を手にしたことで幕を下ろした。
安らかな寝顔を見せるアリスを腕に抱き、〇〇は涙を零す。
「よかった…アリス……本当に、よかった…」
そんな二人の姿を見下ろす隻眼の男は、湧き上がる狂喜を秘めて音もなく微笑んだ。
何事もなかったかのように、日常はこの手に戻ってきた。いっそ不気味なほど、なにも変わらない。
あれほど〇〇への執着を剥き出しにした役持ちは、本来の日常をそれぞれ繰り返している。
〇〇はただ喜べばよかった。あるべき有様を見せつけるこの世界を受け入れるだけでよかったのだ。
「あなたが黙り込むなんて…どうしたの?」
世界の歪みを知ることなく、再び日常を生きるアリス。
彼女は、ぼんやりとティーカップを見つめる〇〇を気遣うように声をかけた。
二人はハートの城の一室でティータイムを楽しんでいた。アリスの誘いに喜んで応じた〇〇だったが、いつもの弾む会話はそこにはなかった。
「ん……ああ、別になんでもないよ」
はっとして〇〇は現在に焦点を合わせ、取り繕う。軽く笑ってみせると、アリスはそれならいいのと微笑み返した。
彼女の笑顔を見るだけで、悪夢によって死に瀕した心は癒される。幸福感を噛みしめて、〇〇は思う。
(いつまでも引きずるのはよくないな…)
――ある日、突如として狂気の渦に引き込まれた〇〇。拒否権はなく、選択肢もなかった。
死に物狂いで逃げ、それこそ逃げ惑い、命懸けでアリスを探した。
ハートの国の中から一人の人間を見つけ出すことは不可能だと思われた。それでも、やってのけたのだ。
だからこそ今こうして、のんびりとした平穏な時間を過ごすことができている。
しかし、役持ち達の狂気をなかったことにはできない。突然の悪夢が、また襲いかかってくるかもしれない。
一度あったことは二度目が来る可能性を告げる。けれど〇〇には、なぜかもう大丈夫だという確信があった。
そんな自分がそら恐ろしい。根拠はなんだ、その確証は?自問しても、とにかく大丈夫なのだという答えしか返らない。
自身への不信感が拭えない。こんなこと、今までなかったのに。
「ねえ、アリス。あたし、どこか変じゃない?」
「変って言われても…。ちょっといつもより元気がないように見えるけど、〇〇はいつもどおりよ?」
アリスが言うのなら、そうなのだろう。〇〇は胸のうちに巣食う違和感に目を瞑った。
きっと少し前まで直面していたおぞましい非日常に、疲労が抜けていないに違いない。
なるべく早く、なにもかもを元通りにしたい。そう願いつつ口に含んだ紅茶は、どういうわけか後味が悪かった。
安らかな寝顔を見せるアリスを腕に抱き、〇〇は涙を零す。
「よかった…アリス……本当に、よかった…」
そんな二人の姿を見下ろす隻眼の男は、湧き上がる狂喜を秘めて音もなく微笑んだ。
何事もなかったかのように、日常はこの手に戻ってきた。いっそ不気味なほど、なにも変わらない。
あれほど〇〇への執着を剥き出しにした役持ちは、本来の日常をそれぞれ繰り返している。
〇〇はただ喜べばよかった。あるべき有様を見せつけるこの世界を受け入れるだけでよかったのだ。
「あなたが黙り込むなんて…どうしたの?」
世界の歪みを知ることなく、再び日常を生きるアリス。
彼女は、ぼんやりとティーカップを見つめる〇〇を気遣うように声をかけた。
二人はハートの城の一室でティータイムを楽しんでいた。アリスの誘いに喜んで応じた〇〇だったが、いつもの弾む会話はそこにはなかった。
「ん……ああ、別になんでもないよ」
はっとして〇〇は現在に焦点を合わせ、取り繕う。軽く笑ってみせると、アリスはそれならいいのと微笑み返した。
彼女の笑顔を見るだけで、悪夢によって死に瀕した心は癒される。幸福感を噛みしめて、〇〇は思う。
(いつまでも引きずるのはよくないな…)
――ある日、突如として狂気の渦に引き込まれた〇〇。拒否権はなく、選択肢もなかった。
死に物狂いで逃げ、それこそ逃げ惑い、命懸けでアリスを探した。
ハートの国の中から一人の人間を見つけ出すことは不可能だと思われた。それでも、やってのけたのだ。
だからこそ今こうして、のんびりとした平穏な時間を過ごすことができている。
しかし、役持ち達の狂気をなかったことにはできない。突然の悪夢が、また襲いかかってくるかもしれない。
一度あったことは二度目が来る可能性を告げる。けれど〇〇には、なぜかもう大丈夫だという確信があった。
そんな自分がそら恐ろしい。根拠はなんだ、その確証は?自問しても、とにかく大丈夫なのだという答えしか返らない。
自身への不信感が拭えない。こんなこと、今までなかったのに。
「ねえ、アリス。あたし、どこか変じゃない?」
「変って言われても…。ちょっといつもより元気がないように見えるけど、〇〇はいつもどおりよ?」
アリスが言うのなら、そうなのだろう。〇〇は胸のうちに巣食う違和感に目を瞑った。
きっと少し前まで直面していたおぞましい非日常に、疲労が抜けていないに違いない。
なるべく早く、なにもかもを元通りにしたい。そう願いつつ口に含んだ紅茶は、どういうわけか後味が悪かった。