もしも主人公がアリスに成り代わったら…?
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白ウサギに口移しで変な薬を飲まされてから、どれくらいの時間が過ぎただろう。
時間の狂ったこの世界は、メルヘンなようでメルヘンになりきれない。
銃弾は飛び交う、人の命は軽すぎる、非常識が常識で、どこか歪んだおかしな人間ばかり。
だけど夢の中だからなのか(そうじゃなければ自身を疑わなければならない)、あたしが環境に順応するのにそう時間はかからなかった。
不規則に朝昼夜が来る中でも、自分なりに規則正しい生活を試みている。
ハートの城に滞在するあたしは、夜になったのを知ると、お喋りに興じていた女王、ビバルディに暇を告げて自室に戻った。
嫌いじゃないけど自分好みとも言えない、青と白のエプロンドレスを脱ぐ。ふと姉のことを思ったが、すぐに思考は流れた。
(そういえば、今日は来ないな。…どうりでスムーズに就寝準備を終えられたわけだ)
真っ白な長い耳を思い浮かべて、苦笑する。
別に来てほしいと願ってるわけじゃないのに、いつも来るものが来ないと変に心地が悪い。
ネグリジェ姿でベッドに潜り込んだあたしは、身体の向きを横にすると、隣に白い幻を思い描いた。
“おやすみなさい、僕の〇〇”
「……おやすみ、ペーター」
恒例となった舌に馴染む言葉を呟いて、あたしは目を閉じた。
朝、と言うべきなのかはわからない。目覚めの時間になったのは確かだった。
浮上する意識に従って、欠伸をしながら寝返りを打とうとする。が、……動かない。というか動けない。
(……ん……?)
金縛りにしては、やけにはっきりとした質量を身体の上に感じた。覚醒と共に徐々に感覚がその存在を拾い出す。
寝心地のいい枕の正体は、男の腕。その先にある手はあたしの肩を抱きしめている。
もう一方の腕はしっかりと腹部に回され、ご丁寧にも足まで絡められていた。
ぴたりと背後から寄り添う白ウサギ、ペーター=ホワイトの安らかな寝息がかすかにあたしの髪を撫でる。
いつの間に潜り込んでいたんだろう。全然気づかなかった。
肩を抱く腕にそろそろと手を近づけて、剥がそうと指をかける。…なんだこれ、びくともしない。
(まったく力が入ってないように見えるのに…。この形で石化してるみたい)
今度は腹部を抱き込む腕から逃れようとしてみるものの、当然のように歯が立たない。
そうこうすること、しばらく。もぞもぞと動いていたせいか、規則的だった寝息が変化した。
安眠を妨げられたペーターは僅かに唸ると、よりいっそう密着してきた。あたしはアナタの抱き枕か。
「ちょっ…こら、ペーター」
「ぅ、んん…」
いまだ夢の中のペーターは、すりすりと首筋に擦り寄ってくる。
絡んだ足は深さを増して割り込まれ、はっきり言おう、なんだか際どい格好になっている。裾、捲れてるんじゃないだろうか。シーツで見えないけど。
しかもさっきの身じろぎで動いたペーターの腕が、胸に当たるようになってしまった。布越しながら他人の体温がしっかり伝わってくる。
……薄着のあたしが悪いのか。いや、寝るにはこの格好がベストなんだ。リラックスできるし。
たとえこちらに非があるとしても、寛ぎタイムにまで他人の意見を介入させたくはない。
(ていうか、そもそも勝手に侵入してくるペーターが悪い)
そして、それを許容してしまっている自分も、悪かった。
あたたかい他者のぬくもりに、心地よくまどろんでしまいそうだ。起きるんじゃなかったのか、あたし。
(ペーターが、悪いんだよ……ペーターが……気持ち、いい、から)
言い訳をして、目蓋が落ちるのに任せる。
すべて、この白ウサギさんが悪いんだ。あたしをこんな変な世界に落とすから。
恋なんて当分する気にはならないと、そう思っていたのに。中身の感じられないペーターの愛の言葉が、心地いいと感じるなんて、そんな。
時間の狂ったこの世界は、メルヘンなようでメルヘンになりきれない。
銃弾は飛び交う、人の命は軽すぎる、非常識が常識で、どこか歪んだおかしな人間ばかり。
だけど夢の中だからなのか(そうじゃなければ自身を疑わなければならない)、あたしが環境に順応するのにそう時間はかからなかった。
不規則に朝昼夜が来る中でも、自分なりに規則正しい生活を試みている。
ハートの城に滞在するあたしは、夜になったのを知ると、お喋りに興じていた女王、ビバルディに暇を告げて自室に戻った。
嫌いじゃないけど自分好みとも言えない、青と白のエプロンドレスを脱ぐ。ふと姉のことを思ったが、すぐに思考は流れた。
(そういえば、今日は来ないな。…どうりでスムーズに就寝準備を終えられたわけだ)
真っ白な長い耳を思い浮かべて、苦笑する。
別に来てほしいと願ってるわけじゃないのに、いつも来るものが来ないと変に心地が悪い。
ネグリジェ姿でベッドに潜り込んだあたしは、身体の向きを横にすると、隣に白い幻を思い描いた。
“おやすみなさい、僕の〇〇”
「……おやすみ、ペーター」
恒例となった舌に馴染む言葉を呟いて、あたしは目を閉じた。
朝、と言うべきなのかはわからない。目覚めの時間になったのは確かだった。
浮上する意識に従って、欠伸をしながら寝返りを打とうとする。が、……動かない。というか動けない。
(……ん……?)
金縛りにしては、やけにはっきりとした質量を身体の上に感じた。覚醒と共に徐々に感覚がその存在を拾い出す。
寝心地のいい枕の正体は、男の腕。その先にある手はあたしの肩を抱きしめている。
もう一方の腕はしっかりと腹部に回され、ご丁寧にも足まで絡められていた。
ぴたりと背後から寄り添う白ウサギ、ペーター=ホワイトの安らかな寝息がかすかにあたしの髪を撫でる。
いつの間に潜り込んでいたんだろう。全然気づかなかった。
肩を抱く腕にそろそろと手を近づけて、剥がそうと指をかける。…なんだこれ、びくともしない。
(まったく力が入ってないように見えるのに…。この形で石化してるみたい)
今度は腹部を抱き込む腕から逃れようとしてみるものの、当然のように歯が立たない。
そうこうすること、しばらく。もぞもぞと動いていたせいか、規則的だった寝息が変化した。
安眠を妨げられたペーターは僅かに唸ると、よりいっそう密着してきた。あたしはアナタの抱き枕か。
「ちょっ…こら、ペーター」
「ぅ、んん…」
いまだ夢の中のペーターは、すりすりと首筋に擦り寄ってくる。
絡んだ足は深さを増して割り込まれ、はっきり言おう、なんだか際どい格好になっている。裾、捲れてるんじゃないだろうか。シーツで見えないけど。
しかもさっきの身じろぎで動いたペーターの腕が、胸に当たるようになってしまった。布越しながら他人の体温がしっかり伝わってくる。
……薄着のあたしが悪いのか。いや、寝るにはこの格好がベストなんだ。リラックスできるし。
たとえこちらに非があるとしても、寛ぎタイムにまで他人の意見を介入させたくはない。
(ていうか、そもそも勝手に侵入してくるペーターが悪い)
そして、それを許容してしまっている自分も、悪かった。
あたたかい他者のぬくもりに、心地よくまどろんでしまいそうだ。起きるんじゃなかったのか、あたし。
(ペーターが、悪いんだよ……ペーターが……気持ち、いい、から)
言い訳をして、目蓋が落ちるのに任せる。
すべて、この白ウサギさんが悪いんだ。あたしをこんな変な世界に落とすから。
恋なんて当分する気にはならないと、そう思っていたのに。中身の感じられないペーターの愛の言葉が、心地いいと感じるなんて、そんな。