水に想いを告げる瞳の警鐘
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晴れない気分を転換するにはなにが有効的だろう。
帽子屋屋敷の中を当て所もなく歩いていた〇〇は、ある角を曲がったところでなにかにぶつかった。
衝撃で尻餅をついたのは見慣れたエプロンスカートの少女で、〇〇のほうはふらつきながらもなんとか持ちこたえた。
「ぇ、アリス…?うわ、ごめん!怪我は?」
「ぃたた…あっ、私のほうこそごめんなさい!前をよく見てなかったわ」
女の子を撥ね飛ばしてしまった自分の頑丈さに苦笑しつつ、手を差し出す。
その手を借りて立ち上がったアリスは少し服を払い、あらためて〇〇に向かい合った。
「あら。仕事着じゃないってことは、もう終わったの?これから別の領土に?」
「いや…今日は仕事ってわけじゃないんだけどさ」
いつになく冴えない表情の〇〇を見て、アリスの目が気遣わしいものに変わった。
「なんだか元気ないわね。なにかあったの?」
「たいしたことじゃない。…どうも夢見がね」
「夢?」
不思議そうに反芻され、ふとこの世界に対する彼女の認識がどうなっているのか気になった。
だが踏み込むまでの関心ではない。正直、自分に囚われてしまってそこまで気がいかなかった。
〇〇は意識してからかうような顔を作ることにした。
「あたしだって、人並みに夢を見ることもあるんだけど?楽しい夢でも、悪い夢でも」
「ち、違うのよ。あなたのことをそんな変なふうに思ってるとかじゃなくてっ…」
「慌てなくてもわかってる。あたしは仮にも余所者だし、この世界の住人達よりかはアリスに近い感性を持ってる自負がある」
語尾にウィンクをおまけしてアリスの焦りを綺麗に払拭した。
ほっとした様子を見せる彼女を視界に捉えて、自身の気分が上向きになりつつあることに気づく。
そうだ。俯きがちな心を浮上させるには、好きなことをするに限る。こうしてここでアリスに会えたのもポジティブに切り替える後押しだと思えた。
〇〇はたった今思いついたばかりの気分転換法を実行に移すことに決めた。
「アリス。これから急ぎの用はある?」
「? 特にないけど…」
「よしっ。じゃあ一緒に行こっか」
唐突に尋ねて望みの返答を得るやいなや、少女らしい細い手を取って勝手に歩き出す。
振り解かれはしなかった。戸惑うアリスの声が背に問うてくる。
「ねえっ、どこに行くの?」
〇〇は肩越しに振り向き、にっと楽しそうに笑った。先刻沈んだ表情をしていたとは思えない、明るい声がアリスをさらに驚かせた。
「アリスもきっと気に入る場所に、ね」
帽子屋屋敷の中を当て所もなく歩いていた〇〇は、ある角を曲がったところでなにかにぶつかった。
衝撃で尻餅をついたのは見慣れたエプロンスカートの少女で、〇〇のほうはふらつきながらもなんとか持ちこたえた。
「ぇ、アリス…?うわ、ごめん!怪我は?」
「ぃたた…あっ、私のほうこそごめんなさい!前をよく見てなかったわ」
女の子を撥ね飛ばしてしまった自分の頑丈さに苦笑しつつ、手を差し出す。
その手を借りて立ち上がったアリスは少し服を払い、あらためて〇〇に向かい合った。
「あら。仕事着じゃないってことは、もう終わったの?これから別の領土に?」
「いや…今日は仕事ってわけじゃないんだけどさ」
いつになく冴えない表情の〇〇を見て、アリスの目が気遣わしいものに変わった。
「なんだか元気ないわね。なにかあったの?」
「たいしたことじゃない。…どうも夢見がね」
「夢?」
不思議そうに反芻され、ふとこの世界に対する彼女の認識がどうなっているのか気になった。
だが踏み込むまでの関心ではない。正直、自分に囚われてしまってそこまで気がいかなかった。
〇〇は意識してからかうような顔を作ることにした。
「あたしだって、人並みに夢を見ることもあるんだけど?楽しい夢でも、悪い夢でも」
「ち、違うのよ。あなたのことをそんな変なふうに思ってるとかじゃなくてっ…」
「慌てなくてもわかってる。あたしは仮にも余所者だし、この世界の住人達よりかはアリスに近い感性を持ってる自負がある」
語尾にウィンクをおまけしてアリスの焦りを綺麗に払拭した。
ほっとした様子を見せる彼女を視界に捉えて、自身の気分が上向きになりつつあることに気づく。
そうだ。俯きがちな心を浮上させるには、好きなことをするに限る。こうしてここでアリスに会えたのもポジティブに切り替える後押しだと思えた。
〇〇はたった今思いついたばかりの気分転換法を実行に移すことに決めた。
「アリス。これから急ぎの用はある?」
「? 特にないけど…」
「よしっ。じゃあ一緒に行こっか」
唐突に尋ねて望みの返答を得るやいなや、少女らしい細い手を取って勝手に歩き出す。
振り解かれはしなかった。戸惑うアリスの声が背に問うてくる。
「ねえっ、どこに行くの?」
〇〇は肩越しに振り向き、にっと楽しそうに笑った。先刻沈んだ表情をしていたとは思えない、明るい声がアリスをさらに驚かせた。
「アリスもきっと気に入る場所に、ね」