愛の如く、囁く殺意
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探す、とは言ったものの。何処をどう探せばよいのやら。
とりあえず無計画に城内を歩き回ったが、白の長い片耳さえ見つからない(実際そんなものを発見しても対処に困るが…譬えだ)。
やはりアリスの傍で襲撃を待ったほうが無難だっただろうか。
行く先々で会うのは役なしばかりで、彼らに宰相の所在を尋ねても収穫はなかった。
アリスでなければそう都合よく事は運ばないのだと実感する〇〇である。
当たり前のように城の敷地は広大で…広すぎて隅から隅まで散策を行っていない身としては、某騎士殿でなくても迷子になって不思議はない。
まだ確認していない場所はたくさんある。が、ここまで徹底して探すのがあの白ウサギなのだと考えると徐々に足が鈍り始めた。
(まーた撃ってくるんだろうなー…)
是が非でも因縁を付けたくなる顔をしているのか、〇〇は彼のブラックリスト上位にランクインしているようだ。
目障りなのは解るが、それなら無関心でいてくれればいいのにと思う。
なにかと面倒なので構われないに越したことはない。けれどあの白ウサギは、しっかりと距離を取りながらも近寄ってくる。
嫌悪はあれど、(今のところ)憎悪までは達しない(らしい)。疎んでも、アリスに言われると(本当に)仕方なしに許容する。
時にペーター=ホワイトは、この余所者を扱いあぐねているような印象を残すのだ。
どんな態度を取られようが構わない〇〇は、ペーターをそう分析していた。
「あ、ちょっとそこの人!」
「――これは〇〇様。どうかなさいましたか」
前方を歩いていた兵士を呼び止めると、彼は振り向いて口元を綻ばせた、ように見えた。
役なしカードの顔は変わらず判別不能だったが、〇〇はふと、どこかしら違和感を覚えた。むしろ既視感とでもいうのだろうか。
彼らは興味の対象外である上、個性を見分けられるほどの付き合いもない。
それでもこの状態を表すなら、“見覚えがある”というべき感覚だった。
〇〇は自信のない記憶の山を手探りで掻き分けて、
「あー、違ってたらごめんだけど。あたしとどこかで会ったことない?……や、そういうんじゃなくて、話した覚えがないかってこと」
図らずもナンパの常套句である。そうではないと示す声音を使って問うと、兵士は喜色を滲ませて肯定した。
聞けば、彼は以前ビバルディの命によって〇〇を呼びに走らされた者だとわかった。
あの不運な兵士か、と見る目がつい憐憫を帯びる。
彼はあのときアリスのおかげで命拾いしたようなもので、彼女がいなければ〇〇は事を成り行きに任せていたことだろう。
しかしこんな薄情な余所者にも感謝の念を抱いていたらしい。機会がなくて言いそびれていたと、改めて礼を言われてしまった。
「いや、あたしはなにもしてないからさ…」
真摯な相手に、申し訳なさからぶんぶんと両手を振った。
“代わりがある”という概念には、余所者ならば些かの疑念を持たずにはいられない。そもそも命の在り様が根本から違うのだ。
ただ、〇〇の場合はそれらに関する認識が特殊である。
「ゲーム」が前提にあるのだから、自分の常識を嵌めようとはしない。“そういう”世界なのだと割り切ることは実に容易だ。
所詮脇役である彼らもこの世界を構成する欠片のひとつ。
アリスに関わらない限り、この先も彼らを特に気にかけることはないだろう。
でも、少しだけ。何故か、対する見方が変わるように思えた。
とりあえず無計画に城内を歩き回ったが、白の長い片耳さえ見つからない(実際そんなものを発見しても対処に困るが…譬えだ)。
やはりアリスの傍で襲撃を待ったほうが無難だっただろうか。
行く先々で会うのは役なしばかりで、彼らに宰相の所在を尋ねても収穫はなかった。
アリスでなければそう都合よく事は運ばないのだと実感する〇〇である。
当たり前のように城の敷地は広大で…広すぎて隅から隅まで散策を行っていない身としては、某騎士殿でなくても迷子になって不思議はない。
まだ確認していない場所はたくさんある。が、ここまで徹底して探すのがあの白ウサギなのだと考えると徐々に足が鈍り始めた。
(まーた撃ってくるんだろうなー…)
是が非でも因縁を付けたくなる顔をしているのか、〇〇は彼のブラックリスト上位にランクインしているようだ。
目障りなのは解るが、それなら無関心でいてくれればいいのにと思う。
なにかと面倒なので構われないに越したことはない。けれどあの白ウサギは、しっかりと距離を取りながらも近寄ってくる。
嫌悪はあれど、(今のところ)憎悪までは達しない(らしい)。疎んでも、アリスに言われると(本当に)仕方なしに許容する。
時にペーター=ホワイトは、この余所者を扱いあぐねているような印象を残すのだ。
どんな態度を取られようが構わない〇〇は、ペーターをそう分析していた。
「あ、ちょっとそこの人!」
「――これは〇〇様。どうかなさいましたか」
前方を歩いていた兵士を呼び止めると、彼は振り向いて口元を綻ばせた、ように見えた。
役なしカードの顔は変わらず判別不能だったが、〇〇はふと、どこかしら違和感を覚えた。むしろ既視感とでもいうのだろうか。
彼らは興味の対象外である上、個性を見分けられるほどの付き合いもない。
それでもこの状態を表すなら、“見覚えがある”というべき感覚だった。
〇〇は自信のない記憶の山を手探りで掻き分けて、
「あー、違ってたらごめんだけど。あたしとどこかで会ったことない?……や、そういうんじゃなくて、話した覚えがないかってこと」
図らずもナンパの常套句である。そうではないと示す声音を使って問うと、兵士は喜色を滲ませて肯定した。
聞けば、彼は以前ビバルディの命によって〇〇を呼びに走らされた者だとわかった。
あの不運な兵士か、と見る目がつい憐憫を帯びる。
彼はあのときアリスのおかげで命拾いしたようなもので、彼女がいなければ〇〇は事を成り行きに任せていたことだろう。
しかしこんな薄情な余所者にも感謝の念を抱いていたらしい。機会がなくて言いそびれていたと、改めて礼を言われてしまった。
「いや、あたしはなにもしてないからさ…」
真摯な相手に、申し訳なさからぶんぶんと両手を振った。
“代わりがある”という概念には、余所者ならば些かの疑念を持たずにはいられない。そもそも命の在り様が根本から違うのだ。
ただ、〇〇の場合はそれらに関する認識が特殊である。
「ゲーム」が前提にあるのだから、自分の常識を嵌めようとはしない。“そういう”世界なのだと割り切ることは実に容易だ。
所詮脇役である彼らもこの世界を構成する欠片のひとつ。
アリスに関わらない限り、この先も彼らを特に気にかけることはないだろう。
でも、少しだけ。何故か、対する見方が変わるように思えた。