目覚めはきっと悪夢の継続
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「ああ。そろそろ目覚めの時間だよ」
名残惜しそうにナイトメアは〇〇の手を取った。そっと触れる唇を見るのにも慣れて、口づけられた手をさっさと自分に取り戻す。
この夢魔はアリスにこんなことをしていただろうかとふと思う。たとえしていたとしてもこれは頻繁すぎるだろうと、〇〇は大いに不満だった。
どうせならあたしじゃなくてアリスにしている場面を見せてくれればいいものを。(この望みは変態になるのか?)
「毎度毎度、飽きないのな」
「君に触れるのは――ああ、もちろん触れられるのもだが――とても気持ちがいいんだ」
その発言は初耳だった。頬を撫でた時の様子もそれなら納得がいく。いくが、別の点で納得できなかった。
「…あたし、テクニシャンになった覚えはねーんだけど」
ちなみに、ナイトメアともそういった経験をした覚えはない。
「この世界の者なら、誰だって君に触れ、触れられるのを心地良いと感じるだろうね」
「――それは、あたしが余所者だから」
疑問ではなく半ば肯定で呟く。
余所者はこの世界の者に好かれるという。都合のいい設定がある意味本物の“余所者”である自分にも適用されて本当によかった。
そうでなければ今頃とっくにゲームオーバー。本来あるべき世界に引き戻されていたことだろう。その点は素直にありがたいと思う。
――だけど、あたしはアリスじゃない。
「なあ、ナイトメア。あたしはいつ帰れるんだ?」
「帰りたいのかい?」
まさか。できるだけ長くいられるに越したことはない。ナイトメアも分かっているのだろう。薄く笑った。
「それがいつなのかは私にも分からない。だが…、君は必ず帰れるよ。帰らなければならない。それが君のルールだ」
留まることは許されない。それが、あたしのゲーム。
「…で、それ以前に帰りたくなったら、自分じゃない誰かに殺されればいい、と」
「殺されればその時点でゲームオーバーだ。強制的に君は元いた世界に戻される」
すす、とナイトメアの手が〇〇の胸元に当てられる。
痴漢か。と叫んでやろうかとも思ったが(面白そうだから)、セクシュアルな感じはないし、そんな雰囲気でもなかったのでやめておく。
チク…タク…チク…タク…
ドク…ドク…ドク…ドク…
心臓の前には鼓動を守るように時計が埋められている。
普段はなんともないが、意識すると違和感を覚える。そのうち異物感まではっきりしてきそうで、そこでいつも思考を捨てるのだ。
「心臓の代わりに時計が止まり、君はこの世界に存在することを許されなくなってしまう。君に不良品を与えた覚えはないが、長く存在したければ気をつけたほうがいい」
「ご忠告どーも。…でも、飽きたらあたしは帰るよ」
昔から飽きっぽい性格だった。長続きしない。新しいものに目移りしてしまう。所有欲は強いくせに、一度手に入れば冷めてしまう。
だから、手に入らないものに人一倍焦がれた。
いざとなったら、一騒動起こせばそれで済む。あたしは余所者でも、アリスじゃない。この世界に望まれるアリスじゃないから、ある程度の行動に出れば誰でも必ずあたしを殺してくれるだろう。
変な方向の自負だなあと思わないでもない。
ナイトメアは〇〇の心を読むことができない。にもかかわらず、まるで見通すように笑うのだ。あたしの嫌いな種類の笑み。
「〇〇。君は、勘違いをしているよ」
「?なにが」
「この世界はそんなに単純にはできていないってことさ…君は、――」
夢から覚める。ナイトメアの声は最後まで聞き取れなかったが、そんなことはたいしたことじゃない。
それに、夢から覚めたとしても、そこはまた夢だ。夢じゃなくても、夢のような世界。
誰も本当のあたしを知らないという点では同じだとしても、この世界はなんて解放的なんだろう。
物事がすべて思い通りにならないとしても、自分の思ったとおりに行動できる。思考に制限はかからない。
好きなように行動し、したいようにできる。何にも縛られない。
ああ、なんて幸せなんだろう!
【目覚めはきっと悪夢の継続】
まだまだ 本当の覚醒が来なければいい
continue…?→あとがき。
名残惜しそうにナイトメアは〇〇の手を取った。そっと触れる唇を見るのにも慣れて、口づけられた手をさっさと自分に取り戻す。
この夢魔はアリスにこんなことをしていただろうかとふと思う。たとえしていたとしてもこれは頻繁すぎるだろうと、〇〇は大いに不満だった。
どうせならあたしじゃなくてアリスにしている場面を見せてくれればいいものを。(この望みは変態になるのか?)
「毎度毎度、飽きないのな」
「君に触れるのは――ああ、もちろん触れられるのもだが――とても気持ちがいいんだ」
その発言は初耳だった。頬を撫でた時の様子もそれなら納得がいく。いくが、別の点で納得できなかった。
「…あたし、テクニシャンになった覚えはねーんだけど」
ちなみに、ナイトメアともそういった経験をした覚えはない。
「この世界の者なら、誰だって君に触れ、触れられるのを心地良いと感じるだろうね」
「――それは、あたしが余所者だから」
疑問ではなく半ば肯定で呟く。
余所者はこの世界の者に好かれるという。都合のいい設定がある意味本物の“余所者”である自分にも適用されて本当によかった。
そうでなければ今頃とっくにゲームオーバー。本来あるべき世界に引き戻されていたことだろう。その点は素直にありがたいと思う。
――だけど、あたしはアリスじゃない。
「なあ、ナイトメア。あたしはいつ帰れるんだ?」
「帰りたいのかい?」
まさか。できるだけ長くいられるに越したことはない。ナイトメアも分かっているのだろう。薄く笑った。
「それがいつなのかは私にも分からない。だが…、君は必ず帰れるよ。帰らなければならない。それが君のルールだ」
留まることは許されない。それが、あたしのゲーム。
「…で、それ以前に帰りたくなったら、自分じゃない誰かに殺されればいい、と」
「殺されればその時点でゲームオーバーだ。強制的に君は元いた世界に戻される」
すす、とナイトメアの手が〇〇の胸元に当てられる。
痴漢か。と叫んでやろうかとも思ったが(面白そうだから)、セクシュアルな感じはないし、そんな雰囲気でもなかったのでやめておく。
チク…タク…チク…タク…
ドク…ドク…ドク…ドク…
心臓の前には鼓動を守るように時計が埋められている。
普段はなんともないが、意識すると違和感を覚える。そのうち異物感まではっきりしてきそうで、そこでいつも思考を捨てるのだ。
「心臓の代わりに時計が止まり、君はこの世界に存在することを許されなくなってしまう。君に不良品を与えた覚えはないが、長く存在したければ気をつけたほうがいい」
「ご忠告どーも。…でも、飽きたらあたしは帰るよ」
昔から飽きっぽい性格だった。長続きしない。新しいものに目移りしてしまう。所有欲は強いくせに、一度手に入れば冷めてしまう。
だから、手に入らないものに人一倍焦がれた。
いざとなったら、一騒動起こせばそれで済む。あたしは余所者でも、アリスじゃない。この世界に望まれるアリスじゃないから、ある程度の行動に出れば誰でも必ずあたしを殺してくれるだろう。
変な方向の自負だなあと思わないでもない。
ナイトメアは〇〇の心を読むことができない。にもかかわらず、まるで見通すように笑うのだ。あたしの嫌いな種類の笑み。
「〇〇。君は、勘違いをしているよ」
「?なにが」
「この世界はそんなに単純にはできていないってことさ…君は、――」
夢から覚める。ナイトメアの声は最後まで聞き取れなかったが、そんなことはたいしたことじゃない。
それに、夢から覚めたとしても、そこはまた夢だ。夢じゃなくても、夢のような世界。
誰も本当のあたしを知らないという点では同じだとしても、この世界はなんて解放的なんだろう。
物事がすべて思い通りにならないとしても、自分の思ったとおりに行動できる。思考に制限はかからない。
好きなように行動し、したいようにできる。何にも縛られない。
ああ、なんて幸せなんだろう!
【目覚めはきっと悪夢の継続】
まだまだ 本当の覚醒が来なければいい
continue…?→あとがき。