軌道修正不可のゲーム
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エリオット=マーチの反応はとても判りやすかった。
直情的な性格は厄介なときもあるが、今の〇〇には安心できる材料であった。
出会い頭のエリオットはその心情をありありと表出させた。
使用人の服装をした〇〇に最初、驚愕し(ちょっと失礼なほど大仰な驚きようだった)、衝撃が和らぐにつれて耳はだらしなく垂れ、顔にはあっという間に赤が広がっていった。
「ど、どうしたんだ、それ…?」
「ああこれ?んー…ボスにもらった、ってとこ?」
「そ…そっか。ブラッドの奴が…」
エリオットはそわそわと落ち着きなく身体を揺らすが、目はアリス同様〇〇に釘付けである。
首元に巻いた紫色のスカーフを弄りながら、
「へへ…あんたらしくないっつーか、それこそ違和感ありすぎっけど……でも、すっげえ可愛い、な」
最後の賛辞がおそらく一番伝えたかったことだろうが、あいにく長い前置きに効果を打ち消された。
なので台詞としては残念ながら、微妙な褒め言葉と言えよう。
こんな自分でも特殊な趣向をお持ちの方には好評なのかと、〇〇はこのように理解することにした。
(それにしても、なんでアナタが照れる?)
本来ならこちらがそうあるべき立場では。
確かに相応に恥じらう自分など気味が悪くて見ていられないだろうから、まあこれはこれでいいか。
ブラッド達と別れた少し後で頼まれたちょっとした買い出しに、エリオットは同行を申し出た。
たいした荷物もないだろうからと断ったのだが、それでもついていくと言い張るので〇〇が折れた。
それならさっさと用事を済ませてこよう。アリスが帰らないうちに。
今なにをしているのかとても気になる二人にエリオットを投入するのも一興だ。
〇〇は後の予定をそう決めると、
「じゃあ、門の前で待っててくれる?これ、しまったらすぐ行くから」
バケツを持ち上げると濁った水がたぷんと揺れた。
…あれ?すぐにでも返ってくるはずの「わかった」が聞こえない。
オレンジ色のウサギは〇〇と掃除用具を交互に見ていたが、なにも言わずにそれをひったくった。
「あ、ちょっ…」
「俺が持つ。どこに片づけりゃいいんだ?」
訊きながら歩き出すエリオットに、〇〇は慌ててその背を追う。
「いやいや、それはあたしがやるからいいって…」
「だって、汚れるだろ?せっかくの服が台無しになっちまうし、」
それに今のあんたには、なんか持たせたくねえんだよ、と言う。
なんとも急なジェントルマンぶりだ。〇〇はバケツを奪われた手を持て余した。
そもそも、これは多少装飾が加えられていても使用人の服である。
汚れてもなんとも思わないし、この世界ではそれも元に戻せるのだ。
エリオットの無用な親切はどこから来たのか。
いくらなんでもスカートを穿いただけでバケツさえ持てないようなか弱さになったとは彼も思っていないだろうが。
深く考える必要のない、単なる気遣いなのかもしれない。
性別を意識されたようで煩わしく感じてしまうのはエリオットの非ではなかった。
無意識に喉に触れると、自分の冷えた手の温度に驚いた。
直情的な性格は厄介なときもあるが、今の〇〇には安心できる材料であった。
出会い頭のエリオットはその心情をありありと表出させた。
使用人の服装をした〇〇に最初、驚愕し(ちょっと失礼なほど大仰な驚きようだった)、衝撃が和らぐにつれて耳はだらしなく垂れ、顔にはあっという間に赤が広がっていった。
「ど、どうしたんだ、それ…?」
「ああこれ?んー…ボスにもらった、ってとこ?」
「そ…そっか。ブラッドの奴が…」
エリオットはそわそわと落ち着きなく身体を揺らすが、目はアリス同様〇〇に釘付けである。
首元に巻いた紫色のスカーフを弄りながら、
「へへ…あんたらしくないっつーか、それこそ違和感ありすぎっけど……でも、すっげえ可愛い、な」
最後の賛辞がおそらく一番伝えたかったことだろうが、あいにく長い前置きに効果を打ち消された。
なので台詞としては残念ながら、微妙な褒め言葉と言えよう。
こんな自分でも特殊な趣向をお持ちの方には好評なのかと、〇〇はこのように理解することにした。
(それにしても、なんでアナタが照れる?)
本来ならこちらがそうあるべき立場では。
確かに相応に恥じらう自分など気味が悪くて見ていられないだろうから、まあこれはこれでいいか。
ブラッド達と別れた少し後で頼まれたちょっとした買い出しに、エリオットは同行を申し出た。
たいした荷物もないだろうからと断ったのだが、それでもついていくと言い張るので〇〇が折れた。
それならさっさと用事を済ませてこよう。アリスが帰らないうちに。
今なにをしているのかとても気になる二人にエリオットを投入するのも一興だ。
〇〇は後の予定をそう決めると、
「じゃあ、門の前で待っててくれる?これ、しまったらすぐ行くから」
バケツを持ち上げると濁った水がたぷんと揺れた。
…あれ?すぐにでも返ってくるはずの「わかった」が聞こえない。
オレンジ色のウサギは〇〇と掃除用具を交互に見ていたが、なにも言わずにそれをひったくった。
「あ、ちょっ…」
「俺が持つ。どこに片づけりゃいいんだ?」
訊きながら歩き出すエリオットに、〇〇は慌ててその背を追う。
「いやいや、それはあたしがやるからいいって…」
「だって、汚れるだろ?せっかくの服が台無しになっちまうし、」
それに今のあんたには、なんか持たせたくねえんだよ、と言う。
なんとも急なジェントルマンぶりだ。〇〇はバケツを奪われた手を持て余した。
そもそも、これは多少装飾が加えられていても使用人の服である。
汚れてもなんとも思わないし、この世界ではそれも元に戻せるのだ。
エリオットの無用な親切はどこから来たのか。
いくらなんでもスカートを穿いただけでバケツさえ持てないようなか弱さになったとは彼も思っていないだろうが。
深く考える必要のない、単なる気遣いなのかもしれない。
性別を意識されたようで煩わしく感じてしまうのはエリオットの非ではなかった。
無意識に喉に触れると、自分の冷えた手の温度に驚いた。