標的を誤った争奪戦
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「あっ、そうだアリス!あんたに折り入って頼みてえことがあるんだ」
思い思いの思考で会話が一時途切れたとき、ゴーランドがハッと当初の目的を思い出してアリスに駆け寄った。
釣られるように〇〇が「あ」とアリスの細腕を引く。そのせいでスカッと狙いを外し、なにもそこまでむきにならなくても…と思うくらいゴーランドがいきり立った。
「〇〇!まさかあの話、なかったことにする気じゃねえだろうなっ」
「…や、そうじゃないって」
と言って後ずさりつつ、さっとアリスに耳打ちする。
「悪いアリス。オーナーの頼み、巧くかわして」
「なにがあったの?」
「……ゴーランドがあたしの冗談を真に受けちゃったんだ」
あは、と誤魔化し気味に笑う。ちらりとゴーランドを盗み見たアリスが、しかたがないと言いたげに溜め息をついた。
「わかったわ」という返事を聞く前に、アリスの姿が〇〇の視界から忽然と消えた。
しまった、と振り返ると、ゴーランドがアリスを連れて見る見るうちに遠ざかっていくではないか。
「あっ、こら、ゴーランド!」
「待ってろよ〇〇っ。ちゃんと約束は守ってもらうからな~!」
ああ、アリスとゴーランドの逃避行。あたしも連れていけ、とダッシュをかけようとした〇〇を引き止める、手。
それが誰かは言わずもがな。
「……ボリス」
「なんだか知らないけど、〇〇までおっさんについていかなくてもいいだろ?」
アリスはついていったというか半ば拉致されたようなものだが。
追いかけようにも、もはや不可能。〇〇は未練がましく遠くのほうを見ていたが、ボリスに手を引かれてだらだらと歩き出した。
しょうがない。アリス観賞はしばらくお預けだ。アリスはしっかり者だし、例の件は任せておいて大丈夫だろう。
はあ、と気分と共に落ちた目線に、膨らんだポケットが映る。
ボリスの手を無造作に解くと、サービス精神旺盛なオーナーからもらった棒付キャンディーの中からオレンジ色をひとつ取り出した。
手を離されたボリスが不満げに言う。
「それ、どうしたの」
「ん。ゴーランドにもらったんだ、いっぱい」
笑う〇〇は嬉しそうだ。それを見て、チ、と舌を鳴らす猫。
「……餌付けかよ」
「なんか言ったー?あ、ボリスもおひとつどーぞ」
「俺はいい。いらない」
「…そ?」
むすりと断るボリスに、甘いものは嫌いなんだろうかと首を傾げる。
それはさておき、ゴーランドに付き合わされて後回しになってしまったが、仕事は終わったのだからシャワーを浴びて着替えたい。
身支度や休憩などのために借りている一室があるのだ。そこに行く必要がある。
ボリスが何処を目指して歩いているのか知らないが、目的が違うのなら分かれたほうがいいだろう。
「ボリス。あたし、一度部屋に戻って着替えたいんだけど、」
「じゃあ俺も行く」
間髪入れずにくるりと方向転換をするボリス。
え。行くってなに。予想外の返しに間の抜けた顔をする〇〇に向けられる、シニカルな笑み。
「俺は猫だから、好きなときに好きなところに行くんだ。で、俺は今あんたの部屋に行きたい。…いいだろ?」
「…はあ、まあ、お好きなように」
結局、ボリスのペースに乗せられる形で〇〇は頷いていた。
持っていたキャンディーを眺め、再びポケットに突っ込む。
(着替えてから食べよう)
思い思いの思考で会話が一時途切れたとき、ゴーランドがハッと当初の目的を思い出してアリスに駆け寄った。
釣られるように〇〇が「あ」とアリスの細腕を引く。そのせいでスカッと狙いを外し、なにもそこまでむきにならなくても…と思うくらいゴーランドがいきり立った。
「〇〇!まさかあの話、なかったことにする気じゃねえだろうなっ」
「…や、そうじゃないって」
と言って後ずさりつつ、さっとアリスに耳打ちする。
「悪いアリス。オーナーの頼み、巧くかわして」
「なにがあったの?」
「……ゴーランドがあたしの冗談を真に受けちゃったんだ」
あは、と誤魔化し気味に笑う。ちらりとゴーランドを盗み見たアリスが、しかたがないと言いたげに溜め息をついた。
「わかったわ」という返事を聞く前に、アリスの姿が〇〇の視界から忽然と消えた。
しまった、と振り返ると、ゴーランドがアリスを連れて見る見るうちに遠ざかっていくではないか。
「あっ、こら、ゴーランド!」
「待ってろよ〇〇っ。ちゃんと約束は守ってもらうからな~!」
ああ、アリスとゴーランドの逃避行。あたしも連れていけ、とダッシュをかけようとした〇〇を引き止める、手。
それが誰かは言わずもがな。
「……ボリス」
「なんだか知らないけど、〇〇までおっさんについていかなくてもいいだろ?」
アリスはついていったというか半ば拉致されたようなものだが。
追いかけようにも、もはや不可能。〇〇は未練がましく遠くのほうを見ていたが、ボリスに手を引かれてだらだらと歩き出した。
しょうがない。アリス観賞はしばらくお預けだ。アリスはしっかり者だし、例の件は任せておいて大丈夫だろう。
はあ、と気分と共に落ちた目線に、膨らんだポケットが映る。
ボリスの手を無造作に解くと、サービス精神旺盛なオーナーからもらった棒付キャンディーの中からオレンジ色をひとつ取り出した。
手を離されたボリスが不満げに言う。
「それ、どうしたの」
「ん。ゴーランドにもらったんだ、いっぱい」
笑う〇〇は嬉しそうだ。それを見て、チ、と舌を鳴らす猫。
「……餌付けかよ」
「なんか言ったー?あ、ボリスもおひとつどーぞ」
「俺はいい。いらない」
「…そ?」
むすりと断るボリスに、甘いものは嫌いなんだろうかと首を傾げる。
それはさておき、ゴーランドに付き合わされて後回しになってしまったが、仕事は終わったのだからシャワーを浴びて着替えたい。
身支度や休憩などのために借りている一室があるのだ。そこに行く必要がある。
ボリスが何処を目指して歩いているのか知らないが、目的が違うのなら分かれたほうがいいだろう。
「ボリス。あたし、一度部屋に戻って着替えたいんだけど、」
「じゃあ俺も行く」
間髪入れずにくるりと方向転換をするボリス。
え。行くってなに。予想外の返しに間の抜けた顔をする〇〇に向けられる、シニカルな笑み。
「俺は猫だから、好きなときに好きなところに行くんだ。で、俺は今あんたの部屋に行きたい。…いいだろ?」
「…はあ、まあ、お好きなように」
結局、ボリスのペースに乗せられる形で〇〇は頷いていた。
持っていたキャンディーを眺め、再びポケットに突っ込む。
(着替えてから食べよう)