標的を誤った争奪戦
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屍と化した〇〇がベンチにぐったりと身を放り出している。その隣で、ゴーランドはいまだに余所者の接待に勤しんでいた。
〇〇が業務時間外となった今、(よくわからないが)彼にとってもてなしたい客の筆頭となるらしい。
客を差別するなと言いたいが、ゴーランドのこれは客に対する態度とはまた違うと思う。
「なあ、いっそうちに定住しちまえばいいじゃねえか。そうすりゃあんたの移動の手間も省けるし、俺もいつでもあんたに会える。いいこと尽くしだろ?」
いつからか始まった、恒例になりつつある熱心な勧誘。いくら口説いても靡かない〇〇に、最近ゴーランドは焦れているようだ。
〇〇が身体と心臓を休ませて回復したとわかると、彼はぽんと手を打ち、指先を突きつけた。
「よし、じゃあ給料を今の倍でどうだっ!」
(――倍…?ほほう、そりゃまた…)
倍。なんて心を揺さ振る響き。それも悪くないなと僅かながら心の中に生まれた迷いを見透かしたように、ゴーランドがにやりとほくそ笑む。
しかしその手応えも束の間、〇〇は首を横に振った。
「給料倍は魅力的で惹かれる。でもあたし、滞在地は心落ち着く場所が好ましいんだ。その点、遊園地 はちょっとに賑やかすぎるよ」
賑やかすぎるし、しかも全体的にカラフルで、一日中ここにいるのは目に優しくない。
〇〇の意見はゴーランドを納得させるには弱すぎたらしい。むっと眉を寄せ、不満げなじとりとした目つきで見られた。
「あんた、遊園地のどこが不服なんだ。それともあれか、そんなに時計屋がいいのか?」
「その言い方、まるであたしがユリウスにこだわってるみたいじゃない。あたしは遊園地が不服ってわけじゃなくて、ただ………うん、体質的に合わない?」
時計塔に拠点を置いているのは、いろいろな都合を合わせた結果だ。もちろんそこの主人である時計屋(ユリウス)を含めて気に入っているのは事実だが。
そこで「ひでえ」と言ったのは遊園地のオーナーだ。どうやら〇〇の言葉を拒絶と受け取ったようで。
本気でショックを受けたように顔を歪ませ、縋る眼差しに変わる。
う、と言葉に詰まった〇〇は弱い者イジメの心境で目を逸らし。
「――……アリスの遊園地訪問がもっと頻繁になったら、考えないこともない」
大半が軽い冗談、少しの本気を混ぜてそう言っていた。
途端、ゴーランドは目を輝かせ、ぱっと〇〇の手を攫った。えらく力を込められ、やや上体を後ろに反らせる。
「じゃあ、今すぐ行こうぜ!」
ベンチから引き上げられ、目を丸くする。行くって何処へ?
「要はアリスに頼んで、遊園地に来る回数を増やしてもらえばいいんだろ?そうと決まれば善は急げ、だ!」
ゴーランドの食いつきのよさに、実は冗談だと打ち明けるタイミングを逸してしまった。
思い立ったが吉日とばかりに、今し方までしょげていたゴーランドは力を得たように彼の目指す場所に向かっていた。
しかし、いったい何処に行こうというのか。先程の会話から察するに、アリスに会うのが目的だろうが、ゴーランドが領地内から出る様子はない。ということは、まさか。
〇〇が業務時間外となった今、(よくわからないが)彼にとってもてなしたい客の筆頭となるらしい。
客を差別するなと言いたいが、ゴーランドのこれは客に対する態度とはまた違うと思う。
「なあ、いっそうちに定住しちまえばいいじゃねえか。そうすりゃあんたの移動の手間も省けるし、俺もいつでもあんたに会える。いいこと尽くしだろ?」
いつからか始まった、恒例になりつつある熱心な勧誘。いくら口説いても靡かない〇〇に、最近ゴーランドは焦れているようだ。
〇〇が身体と心臓を休ませて回復したとわかると、彼はぽんと手を打ち、指先を突きつけた。
「よし、じゃあ給料を今の倍でどうだっ!」
(――倍…?ほほう、そりゃまた…)
倍。なんて心を揺さ振る響き。それも悪くないなと僅かながら心の中に生まれた迷いを見透かしたように、ゴーランドがにやりとほくそ笑む。
しかしその手応えも束の間、〇〇は首を横に振った。
「給料倍は魅力的で惹かれる。でもあたし、滞在地は心落ち着く場所が好ましいんだ。その点、
賑やかすぎるし、しかも全体的にカラフルで、一日中ここにいるのは目に優しくない。
〇〇の意見はゴーランドを納得させるには弱すぎたらしい。むっと眉を寄せ、不満げなじとりとした目つきで見られた。
「あんた、遊園地のどこが不服なんだ。それともあれか、そんなに時計屋がいいのか?」
「その言い方、まるであたしがユリウスにこだわってるみたいじゃない。あたしは遊園地が不服ってわけじゃなくて、ただ………うん、体質的に合わない?」
時計塔に拠点を置いているのは、いろいろな都合を合わせた結果だ。もちろんそこの主人である時計屋(ユリウス)を含めて気に入っているのは事実だが。
そこで「ひでえ」と言ったのは遊園地のオーナーだ。どうやら〇〇の言葉を拒絶と受け取ったようで。
本気でショックを受けたように顔を歪ませ、縋る眼差しに変わる。
う、と言葉に詰まった〇〇は弱い者イジメの心境で目を逸らし。
「――……アリスの遊園地訪問がもっと頻繁になったら、考えないこともない」
大半が軽い冗談、少しの本気を混ぜてそう言っていた。
途端、ゴーランドは目を輝かせ、ぱっと〇〇の手を攫った。えらく力を込められ、やや上体を後ろに反らせる。
「じゃあ、今すぐ行こうぜ!」
ベンチから引き上げられ、目を丸くする。行くって何処へ?
「要はアリスに頼んで、遊園地に来る回数を増やしてもらえばいいんだろ?そうと決まれば善は急げ、だ!」
ゴーランドの食いつきのよさに、実は冗談だと打ち明けるタイミングを逸してしまった。
思い立ったが吉日とばかりに、今し方までしょげていたゴーランドは力を得たように彼の目指す場所に向かっていた。
しかし、いったい何処に行こうというのか。先程の会話から察するに、アリスに会うのが目的だろうが、ゴーランドが領地内から出る様子はない。ということは、まさか。