解(ほど)けた先にはなにがある?
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「なあ。アリス置いてきちゃってんだけど」
「…」
「あのー、エリオット?聞いてる?」
「…」
「もしもーし。エリオットー?エリィ?ウサギちゃーん、」
「――俺はウサギじゃねえ」
そこで反応するのか。答える声はローテンション。さっきまでの元気(?)はなりを潜め、不機嫌さがもわもわと漂っている。そりゃ失礼、と〇〇は肩をすくめてみせた。そんな態度に、エリオットはギッと鋭い眼差しをする。う、と息が詰まったのはマフィア№2の影を垣間見たからか。
本気で怒らせたのかと身構えたが、しかし圧迫感はすっと引いた。代わりに見る見るうちに長いウサ耳が垂れて力を失くす。
「あんたは…、俺に会えなくても、平気なんだな」
「へ?」
エリオットは〇〇の腕を放すと、苛立たしげに髪をかき上げた。
「だってそうだろ。あんたはいつもそうだ。気まぐれに屋敷を訪ねて、気まぐれに帰っていって…。俺がどれだけあんたに会いたがっても来ないくせに、気まぐれにやって来ては俺を喜ばせるんだ」
会えないのはお互いの都合上合わなかったに過ぎないのだが。
しかし、いつの間にこんなに懐かれてしまったのだろう。エリオットは心を許した相手にはとことん好意を向ける。この世界を堪能する前に殺されてしまってはもったいないと、主要キャラに接触しそれなりの態度を示して保証を得たつもりでいたが、エリオットにここまで好かれるような出来事は特になかったはずだ。
まあ、嫌われるよりは幾分好しとしても、必要以上の好意はほしくない。余所者の特質は調節が難しい。〇〇はわざとからうように笑って言った。
「なあに?エリオットはまるであたしに毎日会いたいみたいに言うんだな」
こう言えば、次には否定がくるはずだ。とはいえ、相手はエリオット。否定の後には「でも」と言葉が続くだろう。と気楽に構えていた〇〇だったが、
「――ああ、会いてえよ…」
即座の肯定に、「え」と笑顔を浮かべたまま硬直した。エリオットは目を細めて〇〇を直視する。笑みもない生真面目な顔で続けた。
「毎日会いたい。いつでも、何処でも、何をしてるときだってあんたが視界に入ればいいのにと思う。四六時中傍に居ても、きっと飽きない」
……これは、なんだ。
〇〇の望む形に嵌まるはずのピースがわずかに変わってしまったかのような心地悪さは、きっと気のせいだ。
友情。たしかにエリオットがこちらに向けるのはそれであるはずなのだ。いや、それでなければならない。
決して形を変えてはならず、変わることもありえない。
「――…ありがとう。エリオット」
否定すれば、拒絶すれば、きっと彼はむきになって押し通してくる。
それがきっかけにならないなんて、誰が言える。ならば、受け入れよう―――。
「そこまで言えるなんて、エリオットは生粋の友人思いだよ」
―――そして、間違いを正して突き返す。
エリオットが言い知れぬ違和感に気づく前に。困惑の表情を浮かべるその前に。
なかったことにしよう。これからも、なにも変わりはない。あたしは自然と目を逸らす。
さて、そろそろ行く時間だ。それにしてもアリス遅いな。どうしてなかなか来ない?と考えて、〇〇は「あ!」と気がついた。
「しまった!てことは双子とアリスを見逃したのかあたしは…!」
「…〇〇?」
エリオットとアリスのショットを逃したばかりか、今頃双子にかまわれているだろうアリスのことをすっかり忘れていた。なんたる失態!
しかし今から行くのは無理だ。時間がない。頭を抱えていた〇〇は、バッとエリオットを仰ぎ見た。
「エリオット!アナタがアリスと来たってことはもしかして、お茶会かなんかがあるのかっ?」
「は?…まあ、そうだけどよ」
ということは、おいしい場面に出会えるチャンスを完全に逃したわけではないということだ。ブラッドに言って誘ってもらおう。彼に頼み事をするのは気が進まないが。
〇〇は「よしっ」と頬を緩ませると屋敷に向かって歩き出す。
「お、おい!何処に行くんだ?」
慌てた様子で引き止めるエリオットに、〇〇は言ってなかったっけ?と首を傾げた。
「何処って…。今日はあたし、帽子屋屋敷でバイトする日なんだ」
「バイト…?」
「というか手伝い。ありがたいことに収入源のひとつにさせてもらってマス」
この世界がなんであれ、生活するには仕事で稼ぐ必要があるのだ。にっと笑って、するりとエリオットの腕を抜けていく。
〇〇!とエリオットは声を上げたが、〇〇は軽い足取りで駆けていく。
「まーた後で声かけるから、アリスと楽しんでなよ!」
後ろ手にひらひら。すぐさま遠のく後ろ姿。
エリオットは伸ばした手を力なく下ろし、ぎゅっと拳を握った。
【解(ほど)けた先にはなにがある?】
あんたはつかまらない いつだって笑いながら遠ざかるんだ
continue…?→あとがき。
「…」
「あのー、エリオット?聞いてる?」
「…」
「もしもーし。エリオットー?エリィ?ウサギちゃーん、」
「――俺はウサギじゃねえ」
そこで反応するのか。答える声はローテンション。さっきまでの元気(?)はなりを潜め、不機嫌さがもわもわと漂っている。そりゃ失礼、と〇〇は肩をすくめてみせた。そんな態度に、エリオットはギッと鋭い眼差しをする。う、と息が詰まったのはマフィア№2の影を垣間見たからか。
本気で怒らせたのかと身構えたが、しかし圧迫感はすっと引いた。代わりに見る見るうちに長いウサ耳が垂れて力を失くす。
「あんたは…、俺に会えなくても、平気なんだな」
「へ?」
エリオットは〇〇の腕を放すと、苛立たしげに髪をかき上げた。
「だってそうだろ。あんたはいつもそうだ。気まぐれに屋敷を訪ねて、気まぐれに帰っていって…。俺がどれだけあんたに会いたがっても来ないくせに、気まぐれにやって来ては俺を喜ばせるんだ」
会えないのはお互いの都合上合わなかったに過ぎないのだが。
しかし、いつの間にこんなに懐かれてしまったのだろう。エリオットは心を許した相手にはとことん好意を向ける。この世界を堪能する前に殺されてしまってはもったいないと、主要キャラに接触しそれなりの態度を示して保証を得たつもりでいたが、エリオットにここまで好かれるような出来事は特になかったはずだ。
まあ、嫌われるよりは幾分好しとしても、必要以上の好意はほしくない。余所者の特質は調節が難しい。〇〇はわざとからうように笑って言った。
「なあに?エリオットはまるであたしに毎日会いたいみたいに言うんだな」
こう言えば、次には否定がくるはずだ。とはいえ、相手はエリオット。否定の後には「でも」と言葉が続くだろう。と気楽に構えていた〇〇だったが、
「――ああ、会いてえよ…」
即座の肯定に、「え」と笑顔を浮かべたまま硬直した。エリオットは目を細めて〇〇を直視する。笑みもない生真面目な顔で続けた。
「毎日会いたい。いつでも、何処でも、何をしてるときだってあんたが視界に入ればいいのにと思う。四六時中傍に居ても、きっと飽きない」
……これは、なんだ。
〇〇の望む形に嵌まるはずのピースがわずかに変わってしまったかのような心地悪さは、きっと気のせいだ。
友情。たしかにエリオットがこちらに向けるのはそれであるはずなのだ。いや、それでなければならない。
決して形を変えてはならず、変わることもありえない。
「――…ありがとう。エリオット」
否定すれば、拒絶すれば、きっと彼はむきになって押し通してくる。
それがきっかけにならないなんて、誰が言える。ならば、受け入れよう―――。
「そこまで言えるなんて、エリオットは生粋の友人思いだよ」
―――そして、間違いを正して突き返す。
エリオットが言い知れぬ違和感に気づく前に。困惑の表情を浮かべるその前に。
なかったことにしよう。これからも、なにも変わりはない。あたしは自然と目を逸らす。
さて、そろそろ行く時間だ。それにしてもアリス遅いな。どうしてなかなか来ない?と考えて、〇〇は「あ!」と気がついた。
「しまった!てことは双子とアリスを見逃したのかあたしは…!」
「…〇〇?」
エリオットとアリスのショットを逃したばかりか、今頃双子にかまわれているだろうアリスのことをすっかり忘れていた。なんたる失態!
しかし今から行くのは無理だ。時間がない。頭を抱えていた〇〇は、バッとエリオットを仰ぎ見た。
「エリオット!アナタがアリスと来たってことはもしかして、お茶会かなんかがあるのかっ?」
「は?…まあ、そうだけどよ」
ということは、おいしい場面に出会えるチャンスを完全に逃したわけではないということだ。ブラッドに言って誘ってもらおう。彼に頼み事をするのは気が進まないが。
〇〇は「よしっ」と頬を緩ませると屋敷に向かって歩き出す。
「お、おい!何処に行くんだ?」
慌てた様子で引き止めるエリオットに、〇〇は言ってなかったっけ?と首を傾げた。
「何処って…。今日はあたし、帽子屋屋敷でバイトする日なんだ」
「バイト…?」
「というか手伝い。ありがたいことに収入源のひとつにさせてもらってマス」
この世界がなんであれ、生活するには仕事で稼ぐ必要があるのだ。にっと笑って、するりとエリオットの腕を抜けていく。
〇〇!とエリオットは声を上げたが、〇〇は軽い足取りで駆けていく。
「まーた後で声かけるから、アリスと楽しんでなよ!」
後ろ手にひらひら。すぐさま遠のく後ろ姿。
エリオットは伸ばした手を力なく下ろし、ぎゅっと拳を握った。
【解(ほど)けた先にはなにがある?】
あんたはつかまらない いつだって笑いながら遠ざかるんだ
continue…?→あとがき。