解(ほど)けた先にはなにがある?
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「あ。お姉さんだ!」
「本当だ。お姉さんだ!」
「…っアリスぅ!」
双子の意識が逸れた隙に〇〇はだっと逃げ出した。救われた感謝の念と会いたかったという気持ちでいっぱいだった。
このままアリスの胸に飛び込んでみようかなと思ったのだが、
「おい!てめえらまたサボって…」
どうやら自分はアリスしか見ていなかったらしい。
あたしは見た。目が合った瞬間オレンジ色のウサギがぴんと耳を伸ばし、眩しいくらいに目を輝かせて駆け寄ってくる姿を。その様は、まさに犬。
「――〇〇っ!会いたかったぜ…!」
うげ。と思ったが、アリスに抱きつこうとしていた勢いは止められず、〇〇はそのままエリオット=マーチの胸に飛び込んでしまった。
(ああ。犬…犬だよこれ)
背の高いウサ耳男にぎゅうぎゅう抱きしめられても、頭の中には「犬。犬だ犬」としか浮かばない。
すまないエリオット。アナタ自身がウサギじゃねーと否定していながら、あたしは今の今まで「エリオット=自覚のないウサギ男」だと思ってたよ。今のエリオットなら犬でもまかり通りそうだ。
(てか、あたしアリスとエリオットのツーショットを見逃してしまった!)
なんて後悔している間にも加減を知らない腕が自分を絞め殺そうとしている。
ぐえぐえと締め上げられながら「窒息する!」とようやく危機を感じてもがくと、女神…いや天使?の声が降ってきた(本物の天使じゃないけどまさしくそんなふうに感じた)。
「ちょっとエリオット!〇〇の息の根を止めるつもり!?」
ああ、アリス。命の恩人。もう少しでオレンジ色のウサギに絞殺されたなんていう心地良くない目覚めになるところだったよ。
「っと、悪い!つい力が入っちまって…」
つい、ね。どいつもこいつも軽いノリで人を殺そうとするらしい。
まあこの場合は悪気はないのだろう。純粋な気持ちからの熱烈な歓迎に三途の川を垣間見てから、〇〇は開放感にほっと息をついた。
エリオットはまだこちらを見つめている。何かを待っているような目になんだろうと首を捻り、とりあえず挨拶をする。
「どーも、エリオット」
「…。それだけ、なのか…?」
「はい?」
エリオットの瞳に苛立ちが浮かぶ。つい先程までの弾ける喜びが一転、エリオットは眼差しを険しくする。
いったいなんなんだと、〇〇はつと顎を上げてエリオットの目を真っ直ぐに見返した、が。
「だって…。あんた、この前いつここに来たか覚えてるか?――いや、ここっていうか俺にいつ会ったか覚えてるのか!?」
「え、……えと。いつだった、かなー…?」
剣幕に圧されるように一歩下がると、エリオットはキッと詰め寄った。
「四十三時間帯前だ!」
ご丁寧にもしっかり数えていたらしい。律儀というか、細かいというか…。
とうとうエリオットは肩を掴んできた。そうして一気にまくし立てる。
「あんたは俺がどれだけ寂しい思いをしたのか分かってんのか!?あんたが屋敷を訪ねてきたときに限って仕事が立て込んでるし、片付いたと思ったら今度はあんたがなかなか訪ねて来ない!ブラッドに言えば俺のいない間にお茶会をしたって言われて…っこれじゃあ…まるで…、」
あんたが故意に俺を避けてるみたいだ。
ぽつりと呟かれた言葉は〇〇の耳には届かなかった。今や神経はしょぼくれたウサギの長い耳に集中している。なんだこの可愛い生き物。ああ、頭を撫で回してやりたい。
「…わお。それは…素敵な擦れ違いデスネー」
これか。この衝動か。〇〇は棒読みで台詞を零しながら、アリスのほうを見た。怪しい光できらきらした目。
〇〇は新たにアリスの一面を理解し同調した。アリスも〇〇と視線を合わせ、同志を見つけたある種の連帯感を醸し出す。
「…アリス。あたし、今までで一番アリスと通じ合ってる気がするんだ」
「…同感よ。今なら私、〇〇の思っているままに行動できるわ」
ふふふと笑い合う二人になにやら寒気を感じたらしい。エリオットはぶるりと震えると頬を引き攣らせ、とにかく屋敷の中に入ろうぜと促した。何故か〇〇の腕をひしと掴んで。
「ずるいよひよこウサギだけサボるなんてっ。僕らは仕事に勤しんでるっていうのに!」
「そうだよ〇〇もお姉さんも独り占めにするなんてよくないよ!」
双子の門番が抗議の声を上げる。うるせえ!とエリオットは怒鳴り返した。
「俺はやっとのことで仕事を終わらせたんだよ。〇〇を独占しようが俺の勝手だろ。誰にも文句は言わせねえ!」
(あー…。相当キてるな、このウサギちゃんは)
そこは「アリスを独占しようが~」と言う場面だ。きっと仕事の鬱憤でも溜まっているのだろう。腕を掴む相手も間違えている。
エリオットは〇〇をずるずると引きずって門から敷地内に入る。双子の声が遠のく。どうやらアリスが双子を宥めてくれているらしい。ずるずるずるずる…。
「本当だ。お姉さんだ!」
「…っアリスぅ!」
双子の意識が逸れた隙に〇〇はだっと逃げ出した。救われた感謝の念と会いたかったという気持ちでいっぱいだった。
このままアリスの胸に飛び込んでみようかなと思ったのだが、
「おい!てめえらまたサボって…」
どうやら自分はアリスしか見ていなかったらしい。
あたしは見た。目が合った瞬間オレンジ色のウサギがぴんと耳を伸ばし、眩しいくらいに目を輝かせて駆け寄ってくる姿を。その様は、まさに犬。
「――〇〇っ!会いたかったぜ…!」
うげ。と思ったが、アリスに抱きつこうとしていた勢いは止められず、〇〇はそのままエリオット=マーチの胸に飛び込んでしまった。
(ああ。犬…犬だよこれ)
背の高いウサ耳男にぎゅうぎゅう抱きしめられても、頭の中には「犬。犬だ犬」としか浮かばない。
すまないエリオット。アナタ自身がウサギじゃねーと否定していながら、あたしは今の今まで「エリオット=自覚のないウサギ男」だと思ってたよ。今のエリオットなら犬でもまかり通りそうだ。
(てか、あたしアリスとエリオットのツーショットを見逃してしまった!)
なんて後悔している間にも加減を知らない腕が自分を絞め殺そうとしている。
ぐえぐえと締め上げられながら「窒息する!」とようやく危機を感じてもがくと、女神…いや天使?の声が降ってきた(本物の天使じゃないけどまさしくそんなふうに感じた)。
「ちょっとエリオット!〇〇の息の根を止めるつもり!?」
ああ、アリス。命の恩人。もう少しでオレンジ色のウサギに絞殺されたなんていう心地良くない目覚めになるところだったよ。
「っと、悪い!つい力が入っちまって…」
つい、ね。どいつもこいつも軽いノリで人を殺そうとするらしい。
まあこの場合は悪気はないのだろう。純粋な気持ちからの熱烈な歓迎に三途の川を垣間見てから、〇〇は開放感にほっと息をついた。
エリオットはまだこちらを見つめている。何かを待っているような目になんだろうと首を捻り、とりあえず挨拶をする。
「どーも、エリオット」
「…。それだけ、なのか…?」
「はい?」
エリオットの瞳に苛立ちが浮かぶ。つい先程までの弾ける喜びが一転、エリオットは眼差しを険しくする。
いったいなんなんだと、〇〇はつと顎を上げてエリオットの目を真っ直ぐに見返した、が。
「だって…。あんた、この前いつここに来たか覚えてるか?――いや、ここっていうか俺にいつ会ったか覚えてるのか!?」
「え、……えと。いつだった、かなー…?」
剣幕に圧されるように一歩下がると、エリオットはキッと詰め寄った。
「四十三時間帯前だ!」
ご丁寧にもしっかり数えていたらしい。律儀というか、細かいというか…。
とうとうエリオットは肩を掴んできた。そうして一気にまくし立てる。
「あんたは俺がどれだけ寂しい思いをしたのか分かってんのか!?あんたが屋敷を訪ねてきたときに限って仕事が立て込んでるし、片付いたと思ったら今度はあんたがなかなか訪ねて来ない!ブラッドに言えば俺のいない間にお茶会をしたって言われて…っこれじゃあ…まるで…、」
あんたが故意に俺を避けてるみたいだ。
ぽつりと呟かれた言葉は〇〇の耳には届かなかった。今や神経はしょぼくれたウサギの長い耳に集中している。なんだこの可愛い生き物。ああ、頭を撫で回してやりたい。
「…わお。それは…素敵な擦れ違いデスネー」
これか。この衝動か。〇〇は棒読みで台詞を零しながら、アリスのほうを見た。怪しい光できらきらした目。
〇〇は新たにアリスの一面を理解し同調した。アリスも〇〇と視線を合わせ、同志を見つけたある種の連帯感を醸し出す。
「…アリス。あたし、今までで一番アリスと通じ合ってる気がするんだ」
「…同感よ。今なら私、〇〇の思っているままに行動できるわ」
ふふふと笑い合う二人になにやら寒気を感じたらしい。エリオットはぶるりと震えると頬を引き攣らせ、とにかく屋敷の中に入ろうぜと促した。何故か〇〇の腕をひしと掴んで。
「ずるいよひよこウサギだけサボるなんてっ。僕らは仕事に勤しんでるっていうのに!」
「そうだよ〇〇もお姉さんも独り占めにするなんてよくないよ!」
双子の門番が抗議の声を上げる。うるせえ!とエリオットは怒鳴り返した。
「俺はやっとのことで仕事を終わらせたんだよ。〇〇を独占しようが俺の勝手だろ。誰にも文句は言わせねえ!」
(あー…。相当キてるな、このウサギちゃんは)
そこは「アリスを独占しようが~」と言う場面だ。きっと仕事の鬱憤でも溜まっているのだろう。腕を掴む相手も間違えている。
エリオットは〇〇をずるずると引きずって門から敷地内に入る。双子の声が遠のく。どうやらアリスが双子を宥めてくれているらしい。ずるずるずるずる…。