解(ほど)けた先にはなにがある?
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PC上ならクリックひとつで望む場所に移動できるのだが、実際に己の足で行くとなるとそれなりの距離がある。徒歩で行けない距離ではないが、どうせなら瞬間移動能力でも付けてくれればよかったのにとたまに思う。
とはいえ、目的地までの道のりはそれほど複雑ではなかったから、何度も通ればもう迷うこともなかった。どこぞの騎士が破滅的方向音痴であることをあらためて実感する〇〇である。
さて、やってきたのは三勢力の内のひとつ、帽子屋屋敷だ。マフィアと言われるとちっちゃな家庭教師を思い浮かべてしまうのだが、あれとこれとはまったくの別物だ。ぐるりと高い塀に囲まれた姿はまるで城の要塞である。さて、どうしたものか。
自分はこの中に用事がある。だから外には用はないし、むしろ避けて通りたい。
“アレ”に出会わないためには、この塀をよじ登って泥棒さながらに侵入しなければならない。
だが一般的な人間である〇〇が乗り越えるのは到底不可能だ(たとえ登りきれたとしても、その先に何があるやら…)。
どうする。“アレ”と出会うことなく敷地内に入るには。
「…。やっぱ、塀を破壊して穴でもあけるべき?(それすら一般人には不可能だけど、)」
「ふうん。でも〇〇にその修繕費、払えるの?」
「払えるなんて考えてるなら、現実を直視していない証拠だよね」
その声は聞き覚えのありすぎるツインズ。
いや、これは幻聴だ。振り返るな。見るな。認めてしまえばそれはリアルとなる――。
が、ささやかな現実逃避は儚くも終わりを告げる。
チャキリと首筋に冷気。それがなにかと考えたくもないのに判ってしまう無情さよ。ギギギと錆びついた人形のように首を回せば今すぐにでも現実を目の当たりにできることだろう。
しかしその前に身を以っての実感が来ること間違いないし、なにより少しの身じろぎも許されない状況を嫌というほど感じては為す術もない。
微動だにせずに直立(硬直)していると、両側からそっくりな二つの顔がひょいと覗き込んだ。
青と赤。まるで鏡に映したように同じ背格好で、彼らは一見邪気のない笑顔を浮かべている。この悪魔達を可愛いと思っていた自分は今や遠い過去だった。
「こんにちは、〇〇。そろそろ来る頃だと思ってたよ」
「いらっしゃい、〇〇。いつもながら門を避けて入ろうとしてるね。結局無理なのに」
「きっと非常識な訪問の仕方が〇〇の常識なんだよ、兄弟」
「そうだね。もしくは僕らが故意に避けられているか…だね、兄弟」
「そんなわけないじゃないか。だって僕ら、〇〇には親切にしてあげてるし」
「たしか殺しそうになったのは初対面の一度きりだし」
一度もあれば充分だ。一度だって遠慮したい。
「…とにかく、その切れ味満点の凶器をどけてくれないかな」
やっと口にできた言葉はガチガチに固い。刃物が肌に触れるほどの至近距離にあるかと思うと、ザッと体温が急降下した。
気を抜けばへなへなと座り込んでしまうだろう足腰を叱咤する。
双子は視線を交わすと、しかたないなとでもいうように斧を引いた。途端に三メートルほど飛び退いた〇〇は、はあはあと荒い息をしながら彼らを睨みつけた。
「っとに、毎回毎回人に凶器を向けてくるな!」
血の気をなくしていた肌に一気に血がめぐる。本当に毎回なのだ。帽子屋を訪れると否応なしに顔を合わせることになるトゥイードル=ディー&ダムだが(たまに幸運にもいないときがある。サボりだろう)、顔を覚えられてからも斧を突きつけられるのは何故だ。そんなにあたしのことが嫌いなのか。
「歓迎してるんだよ。嫌ってるならとっくに斧の餌食さ」
「じゃあなんで刃物で迫ってくる」
「〇〇がいけないんだよ。あんまりイイ反応してくれるからさ、クセになっちゃったんだ」
「でも安心して。僕達は〇〇を可愛がることはあっても、殺すなんてもったいないことはしないからね」
「そうだよ。だから安心して僕達にその身を任せて?」
その言葉の何処に安心を見出せばいい。再び迫ってくる二人の意識をなんとか逸らせようと、〇〇は頭の中を引っ掻き回す。
何か、何か、なにか……っと、これだ!
とはいえ、目的地までの道のりはそれほど複雑ではなかったから、何度も通ればもう迷うこともなかった。どこぞの騎士が破滅的方向音痴であることをあらためて実感する〇〇である。
さて、やってきたのは三勢力の内のひとつ、帽子屋屋敷だ。マフィアと言われるとちっちゃな家庭教師を思い浮かべてしまうのだが、あれとこれとはまったくの別物だ。ぐるりと高い塀に囲まれた姿はまるで城の要塞である。さて、どうしたものか。
自分はこの中に用事がある。だから外には用はないし、むしろ避けて通りたい。
“アレ”に出会わないためには、この塀をよじ登って泥棒さながらに侵入しなければならない。
だが一般的な人間である〇〇が乗り越えるのは到底不可能だ(たとえ登りきれたとしても、その先に何があるやら…)。
どうする。“アレ”と出会うことなく敷地内に入るには。
「…。やっぱ、塀を破壊して穴でもあけるべき?(それすら一般人には不可能だけど、)」
「ふうん。でも〇〇にその修繕費、払えるの?」
「払えるなんて考えてるなら、現実を直視していない証拠だよね」
その声は聞き覚えのありすぎるツインズ。
いや、これは幻聴だ。振り返るな。見るな。認めてしまえばそれはリアルとなる――。
が、ささやかな現実逃避は儚くも終わりを告げる。
チャキリと首筋に冷気。それがなにかと考えたくもないのに判ってしまう無情さよ。ギギギと錆びついた人形のように首を回せば今すぐにでも現実を目の当たりにできることだろう。
しかしその前に身を以っての実感が来ること間違いないし、なにより少しの身じろぎも許されない状況を嫌というほど感じては為す術もない。
微動だにせずに直立(硬直)していると、両側からそっくりな二つの顔がひょいと覗き込んだ。
青と赤。まるで鏡に映したように同じ背格好で、彼らは一見邪気のない笑顔を浮かべている。この悪魔達を可愛いと思っていた自分は今や遠い過去だった。
「こんにちは、〇〇。そろそろ来る頃だと思ってたよ」
「いらっしゃい、〇〇。いつもながら門を避けて入ろうとしてるね。結局無理なのに」
「きっと非常識な訪問の仕方が〇〇の常識なんだよ、兄弟」
「そうだね。もしくは僕らが故意に避けられているか…だね、兄弟」
「そんなわけないじゃないか。だって僕ら、〇〇には親切にしてあげてるし」
「たしか殺しそうになったのは初対面の一度きりだし」
一度もあれば充分だ。一度だって遠慮したい。
「…とにかく、その切れ味満点の凶器をどけてくれないかな」
やっと口にできた言葉はガチガチに固い。刃物が肌に触れるほどの至近距離にあるかと思うと、ザッと体温が急降下した。
気を抜けばへなへなと座り込んでしまうだろう足腰を叱咤する。
双子は視線を交わすと、しかたないなとでもいうように斧を引いた。途端に三メートルほど飛び退いた〇〇は、はあはあと荒い息をしながら彼らを睨みつけた。
「っとに、毎回毎回人に凶器を向けてくるな!」
血の気をなくしていた肌に一気に血がめぐる。本当に毎回なのだ。帽子屋を訪れると否応なしに顔を合わせることになるトゥイードル=ディー&ダムだが(たまに幸運にもいないときがある。サボりだろう)、顔を覚えられてからも斧を突きつけられるのは何故だ。そんなにあたしのことが嫌いなのか。
「歓迎してるんだよ。嫌ってるならとっくに斧の餌食さ」
「じゃあなんで刃物で迫ってくる」
「〇〇がいけないんだよ。あんまりイイ反応してくれるからさ、クセになっちゃったんだ」
「でも安心して。僕達は〇〇を可愛がることはあっても、殺すなんてもったいないことはしないからね」
「そうだよ。だから安心して僕達にその身を任せて?」
その言葉の何処に安心を見出せばいい。再び迫ってくる二人の意識をなんとか逸らせようと、〇〇は頭の中を引っ掻き回す。
何か、何か、なにか……っと、これだ!