罅割れた夢現
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夕焼けに染まっていた空が、明るい青色に移り変わる。
この状況で順当に夜が来ていたなら、ひょっとすると相手に有利に働いたかもしれない。
照らし出す色が変わろうとも、彼らが善良な人間に見えることはなかった。
「……てめえら、どこの手の奴らだ」
エリオットは〇〇を背に庇いながら、警戒心を露にした。
「どこだって構わねえだろ、帽子屋ファミリーのNo.2さんよぉ」
「この間はどーも。あんたらのおかげで、オレらの組織は壊滅状態だ」
その後もなにやらぺちゃくちゃ喋っていたが、要するに。
帽子屋ファミリーに潰されたどこぞの組織が、生き残った人間で徒党を組んで仕返しにやってきたというわけらしい。
人数では勝っているが、格下であることに変わりはない。エリオット=マーチの敵ではないだろう。
(問題があるとすれば――あたし、だな)
目線を下げる。銃は今日も定位置に備えつけてあった。腕前がないばかりか、人に向けて撃つ度胸もないが。
いざとなったら、多少他人を傷つける覚悟を決めるしかない。
そんな“足手まとい”の内心を知ってか知らずか、男達の目は〇〇に集まった。
「そこの連れは…女か。毛色の変わったのを連れてるじゃないか」
「気が向いたら可愛がってやってもいいぜ?ハハッ」
下卑た笑いに気分が悪くなる。間に合ってます、とでも言ってやろうか。
いや、冗談にならない上、自ら情婦だと認めるような発言はやめておこう。
戦力にならないならそれらしく、下手に手を出すべきではない。ポーズとしてでも武器を取れば、さらに標的にされる恐れがある。
「エリオット、悪いけど…」
あたしは下がらせてもらう、と戦力外宣言をしかけたところで、ぎくりとした。
ぴりぴりと刺さる圧迫感。安易に触れたら、きっと暴発する。
「下がってろ、〇〇。……近づくなよ」
三月ウサギは、〇〇への侮辱を自らのものとした。
牙を剥いて笑う獣の顔をして、銃口をひたりと相手の急所に合わせる。
〇〇が咄嗟に近くの街路樹に身を隠した直後、辺りは銃弾の応酬に呑まれた。
(……わかってた展開だけど、こんな街中で銃撃戦か)
不穏を感じた住民らの速やかな避難は見習いたいものだ。
巻き込まれないようにと建物に逃げ込んだり、離れたりしたらしく、一般人は疾うに姿を消していた。
犠牲者を最小限に抑えられるのはいいにしても、こういう事態に対する慣れを感じては苦笑するしかない。
(ま、あたしは馴染めなくて正解ってことで…)
いつ流れ弾に当たるか知れない状況では、不用意に動かないほうがいいに決まっている。
けれど、〇〇はそっと顔を覗かせて騒ぎを窺った。
一目瞭然、役なしが役持ちに敵うはずがない。動きの俊敏さは桁違いだった。
幾程もなく片付くだろうと思われたとき、〇〇の視界の端に影がちらついた。
(あれは――)
まだ他に仲間がいた、と認識した瞬間、〇〇は街路樹の後ろから飛び出していた。
「エリオット……!」
断言しよう。馬鹿な真似をした。余所者の出番など、この舞台にはなかったものを。
新たな銃声が響く。腕に熱が走る。誰かが叫ぶ。ああ、あたしは撃たれたのか。
そんな呑気とも言える思いを最後に、なにかに吸い寄せられるように〇〇の意識は闇に沈んだ。
この状況で順当に夜が来ていたなら、ひょっとすると相手に有利に働いたかもしれない。
照らし出す色が変わろうとも、彼らが善良な人間に見えることはなかった。
「……てめえら、どこの手の奴らだ」
エリオットは〇〇を背に庇いながら、警戒心を露にした。
「どこだって構わねえだろ、帽子屋ファミリーのNo.2さんよぉ」
「この間はどーも。あんたらのおかげで、オレらの組織は壊滅状態だ」
その後もなにやらぺちゃくちゃ喋っていたが、要するに。
帽子屋ファミリーに潰されたどこぞの組織が、生き残った人間で徒党を組んで仕返しにやってきたというわけらしい。
人数では勝っているが、格下であることに変わりはない。エリオット=マーチの敵ではないだろう。
(問題があるとすれば――あたし、だな)
目線を下げる。銃は今日も定位置に備えつけてあった。腕前がないばかりか、人に向けて撃つ度胸もないが。
いざとなったら、多少他人を傷つける覚悟を決めるしかない。
そんな“足手まとい”の内心を知ってか知らずか、男達の目は〇〇に集まった。
「そこの連れは…女か。毛色の変わったのを連れてるじゃないか」
「気が向いたら可愛がってやってもいいぜ?ハハッ」
下卑た笑いに気分が悪くなる。間に合ってます、とでも言ってやろうか。
いや、冗談にならない上、自ら情婦だと認めるような発言はやめておこう。
戦力にならないならそれらしく、下手に手を出すべきではない。ポーズとしてでも武器を取れば、さらに標的にされる恐れがある。
「エリオット、悪いけど…」
あたしは下がらせてもらう、と戦力外宣言をしかけたところで、ぎくりとした。
ぴりぴりと刺さる圧迫感。安易に触れたら、きっと暴発する。
「下がってろ、〇〇。……近づくなよ」
三月ウサギは、〇〇への侮辱を自らのものとした。
牙を剥いて笑う獣の顔をして、銃口をひたりと相手の急所に合わせる。
〇〇が咄嗟に近くの街路樹に身を隠した直後、辺りは銃弾の応酬に呑まれた。
(……わかってた展開だけど、こんな街中で銃撃戦か)
不穏を感じた住民らの速やかな避難は見習いたいものだ。
巻き込まれないようにと建物に逃げ込んだり、離れたりしたらしく、一般人は疾うに姿を消していた。
犠牲者を最小限に抑えられるのはいいにしても、こういう事態に対する慣れを感じては苦笑するしかない。
(ま、あたしは馴染めなくて正解ってことで…)
いつ流れ弾に当たるか知れない状況では、不用意に動かないほうがいいに決まっている。
けれど、〇〇はそっと顔を覗かせて騒ぎを窺った。
一目瞭然、役なしが役持ちに敵うはずがない。動きの俊敏さは桁違いだった。
幾程もなく片付くだろうと思われたとき、〇〇の視界の端に影がちらついた。
(あれは――)
まだ他に仲間がいた、と認識した瞬間、〇〇は街路樹の後ろから飛び出していた。
「エリオット……!」
断言しよう。馬鹿な真似をした。余所者の出番など、この舞台にはなかったものを。
新たな銃声が響く。腕に熱が走る。誰かが叫ぶ。ああ、あたしは撃たれたのか。
そんな呑気とも言える思いを最後に、なにかに吸い寄せられるように〇〇の意識は闇に沈んだ。