罅割れた夢現
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どうせならアリスを誘っていこう。〇〇の提案に、エリオットは答えない。今まで機嫌のよさを全開にして喋っていたというのに。
むすっと口を閉じた横顔を隣から見上げ、〇〇もまた唇を結んだ。墓穴を掘った。何故だかそう思った。
時間帯は夕方に変わり、ちらほらと明かりが灯る。
いまだに繋がれたままの手を、そっと外そうと意識するたび、察知されてはぴたりと繋ぎ直された。
しまいには〇〇も諦めて、ぶらぶらと意味もなく揺らしたりした。これを勢いよく振ったら、放してくれるだろうか。
(相手がそうしたいなら、食事にだってなんにだって付き合えば済む話だ)
終わらせたら、すぐに会いに行けばいい。〇〇は安心感を得るために、妄想の一つや二つを繰り広げようとする。
が、触れ合う皮膚を通して伝わった緊張感に、やむなく現実を思い出した。
「〇〇は…俺と出かけるのは、嫌か?」
恐る恐る窺うような、固い声。〇〇はあっさり答えた。
「嫌だったら、はっきりそう言ってる」
フォローではなく、事実だった。〇〇とてそれなりに気遣いはするが、自身の意志を捻じ曲げてまで他人に尽くすつもりはない。
基本的に周りにどう思われようが、気にしないのだ。この世界では。
簡単には殺されない程度に、役持ちに親しみを持ってもらえればそれでいい。
そしてそれはすでに達成され、〇〇は気兼ねなくゲームを楽しめるはずだった。
「あんた、優しいから…。俺が無理言って付き合わせてんじゃねえかって、不安なんだ」
「食事くらいでそう深く考えんなっての」
思った以上に、エリオットは真剣らしい。まあ、大好物のにんじんが関わっているとあれば、そういう顔にもなるか。
〇〇は自分から手を握り返すと、率先して一歩先を歩いた。
「で、店はこっちの道であってる?」
「……やっぱりわかってねえよ、あんた」
「んー?」
「俺から動かねえと、全部なかったことにしちまうつもりなんだろ」
思わず足を止めそうになったが、〇〇は平静を装って前を向いたままでいた。
エリオットは確かに真剣だった。こちらの考える理由とはまったく異なる方向で。
上手く逸れたかに思えたのに、この流れはよろしくない。しかし、ここまで来た以上、回避できるかどうかは己の話術にかかっていた。
(相手がブラッドじゃないだけ…まだましかな)
帽子屋のように口が達者で駆け引きの巧みな人間には、到底太刀打ちできまい。
その点三月ウサギは心配なかったが、直情的な男、これはこれで厄介だった。
「あんたを好きだって言った俺の気持ち、まだ信じてねえんだな」
「信じるもなにも…。嬉しいとは思うよ、友達として」
「っ…だから、好きってのはそういうんじゃねえんだ!」
手を強く引かれ、勢いに任せて身体を反転させられる。
瞬間、燃えるような目だ、と思った。これ以上はぐらかそうとしたら激怒しそうだ、とも。
掴まれた両肩が痛い。この眼差しに、この力に晒され続ければ、壊されてしまう。なにかが。
周囲には目もくれず、エリオットは悲痛な表情で迫り、強い口調で言葉を叩きつけてくる。
「何回言えばわかってくれるんだ?いや、あんたがわかってくれるまで、何回だって言ってやる!」
「ちょっ、と。ここ、街中…!」
〇〇は慌てた。人目のある通りでこんな会話はしたくない。
何処であっても遠慮するが、とにかく今は場所を変えることしか頭になかった。
エリオットの腕を取り、ひとまず路地にでも避難しようとする。が、強引に身体を引き寄せられたかと思えば、〇〇の前には広い背中があった。
なに、と問う言葉は飲み込んだ。遅ればせながら、異様な雰囲気に気づいた。
役なしであっても、やはり顔はあるのだと思う。もしくは発する空気で、人となりが見えてくる。
湧いて出たような四、五人の男達は、明らかに無害な一般人ではなかった。
むすっと口を閉じた横顔を隣から見上げ、〇〇もまた唇を結んだ。墓穴を掘った。何故だかそう思った。
時間帯は夕方に変わり、ちらほらと明かりが灯る。
いまだに繋がれたままの手を、そっと外そうと意識するたび、察知されてはぴたりと繋ぎ直された。
しまいには〇〇も諦めて、ぶらぶらと意味もなく揺らしたりした。これを勢いよく振ったら、放してくれるだろうか。
(相手がそうしたいなら、食事にだってなんにだって付き合えば済む話だ)
終わらせたら、すぐに会いに行けばいい。〇〇は安心感を得るために、妄想の一つや二つを繰り広げようとする。
が、触れ合う皮膚を通して伝わった緊張感に、やむなく現実を思い出した。
「〇〇は…俺と出かけるのは、嫌か?」
恐る恐る窺うような、固い声。〇〇はあっさり答えた。
「嫌だったら、はっきりそう言ってる」
フォローではなく、事実だった。〇〇とてそれなりに気遣いはするが、自身の意志を捻じ曲げてまで他人に尽くすつもりはない。
基本的に周りにどう思われようが、気にしないのだ。この世界では。
簡単には殺されない程度に、役持ちに親しみを持ってもらえればそれでいい。
そしてそれはすでに達成され、〇〇は気兼ねなくゲームを楽しめるはずだった。
「あんた、優しいから…。俺が無理言って付き合わせてんじゃねえかって、不安なんだ」
「食事くらいでそう深く考えんなっての」
思った以上に、エリオットは真剣らしい。まあ、大好物のにんじんが関わっているとあれば、そういう顔にもなるか。
〇〇は自分から手を握り返すと、率先して一歩先を歩いた。
「で、店はこっちの道であってる?」
「……やっぱりわかってねえよ、あんた」
「んー?」
「俺から動かねえと、全部なかったことにしちまうつもりなんだろ」
思わず足を止めそうになったが、〇〇は平静を装って前を向いたままでいた。
エリオットは確かに真剣だった。こちらの考える理由とはまったく異なる方向で。
上手く逸れたかに思えたのに、この流れはよろしくない。しかし、ここまで来た以上、回避できるかどうかは己の話術にかかっていた。
(相手がブラッドじゃないだけ…まだましかな)
帽子屋のように口が達者で駆け引きの巧みな人間には、到底太刀打ちできまい。
その点三月ウサギは心配なかったが、直情的な男、これはこれで厄介だった。
「あんたを好きだって言った俺の気持ち、まだ信じてねえんだな」
「信じるもなにも…。嬉しいとは思うよ、友達として」
「っ…だから、好きってのはそういうんじゃねえんだ!」
手を強く引かれ、勢いに任せて身体を反転させられる。
瞬間、燃えるような目だ、と思った。これ以上はぐらかそうとしたら激怒しそうだ、とも。
掴まれた両肩が痛い。この眼差しに、この力に晒され続ければ、壊されてしまう。なにかが。
周囲には目もくれず、エリオットは悲痛な表情で迫り、強い口調で言葉を叩きつけてくる。
「何回言えばわかってくれるんだ?いや、あんたがわかってくれるまで、何回だって言ってやる!」
「ちょっ、と。ここ、街中…!」
〇〇は慌てた。人目のある通りでこんな会話はしたくない。
何処であっても遠慮するが、とにかく今は場所を変えることしか頭になかった。
エリオットの腕を取り、ひとまず路地にでも避難しようとする。が、強引に身体を引き寄せられたかと思えば、〇〇の前には広い背中があった。
なに、と問う言葉は飲み込んだ。遅ればせながら、異様な雰囲気に気づいた。
役なしであっても、やはり顔はあるのだと思う。もしくは発する空気で、人となりが見えてくる。
湧いて出たような四、五人の男達は、明らかに無害な一般人ではなかった。