狂う世界の歯車、その渦中で足掻け
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赤みの差した頬、責め苦に潤む瞳。
汗によって額に張りついた髪を梳いてやれば、黒い瞳は一瞬こちらを見たものの、静かに伏せられた。
荒い呼吸を繰り返す白い裸体を見下ろして、ブラッドはようやく冷静さが戻ってくるのを感じた。
この女には狂わされる、と思う。日頃の平静さを保てなくなるなど、マフィアのボスにあるまじきことだ。
こんなはずではなかった。主導権は常に握っていると確信していた。なのに。
(まさか翻弄されているのか?……この私が、女一人に)
最高の暇潰しとして、貴重な余所者を手に入れたいと思っていた。
もう一人の少女にも心惹かれたが、ブラッドが狙いを定めたのは目の前にいるこの女だった。
理不尽な賭け事を持ちかけて受け入れさせては楽しみ、今ではこうして望みどおりに身体の関係をも持った。
なにもかもが己の思うままに進んでいる。そう思う一方で、本当にそうなのかと疑心がつのる。
ブラッドが言葉巧みに押し伏せたというよりも、彼女の思考がこちらに都合よく流れただけなのではないか。
現に、何度交わっても完全には満ち足りない。女がこちらに靡く気配もなく、距離が縮まった実感もない。
どれほど快楽に突き落としても、〇〇の冷めた一部が熱を帯びることはない。
果たして、これがブラッドの望みのとおりだと言えるだろうか。身体を手に入れてもなお、どうして渇望する?
「はっ、あっ……ぁ、っ」
「遠慮しているのか。私しかいないのだから、気兼ねなく喘いでくれて構わないぞ?もっと声を出せ」
「だ…せって、言われて、っ、出るもんじゃ…な…」
「ならば、出させるまでだ」
「っ、や、め……うっ、や、あぁっ!」
身体はすでに知り尽くした。どこをどう突いて擦ればいいのか、疾うに把握している。
角度を変えて肉棒で深く抉ってやれば、普段女らしさに欠ける〇〇を淫らに啼かせることも容易い。
〇〇の口の中から舌を吸い出し、甘噛みで刺激を与えてやりながら、ブラッドは思考を巡らす。
いったい、このうえなにが足りないというのだろう。
中に入れば、女の内側が最近は自分のもの以外を咥え込んでいないことがわかる。
他の役持ちが手出しできないものを、自分が独占しているのだ。
情交を結んでもなお満足できない、欠如の理由は――。
「ぁ、くっ…ブラ…ッド……っ!」
やや掠れた、普段より幾分高い声。甘く感じるのは受け取る己の耳のせいだ。
肉体的な熱に屈しない黒の瞳に、自分の顔が映った。それを見て、ブラッドは密かに息を呑む。ああ、なんということだろう。
余所者の目の中にいたのは、物欲しげな熱い眼差しで縋る、情けない顔をした男だったのだ。
それを見た瞬間、ブラッドは欠乏感の正体を悟った。
「〇〇……っ」
――心だ。私はまだ、君の心を手に入れていない。
元の世界にいるという〇〇の恋人。〇〇に接触する役持ち達。
彼らに対する嫉妬心よりも、さらに深く激しい憎悪。その対象は、〇〇の心に巣食う“誰か”の存在だ。
恋や愛の話題を耳にするたびに、それらを拒絶するはずの〇〇が刹那、心を傾ける相手。
(そうか……そういうことか)
おそらく今まで感じていた“壁”の片鱗が、明確な形となってブラッドの前に姿を現した瞬間だった。
目の前に存在する敵よりも、よほど厄介なそれ。見えなければ殺すこともできやしない。
しかし、心を喰らうそれさえ排除できれば、この余所者を完全に我が物にできるも同然だった。
ブラッドは手首の縛めを解いて〇〇をベッドに運び、そこでさらに彼女を愛した。
さすがに限界だったのか、〇〇は幾度目かの絶頂を与えられると、気を失うように眠りに落ちた。
始末をつけた後、ベッドに腰かけたブラッドは〇〇の寝顔を眺める。
いつものように黒髪を撫でる手は、今までとは少し異なっていた。自覚した愛しさが自ずと溢れ、柔らかさに変わったようだった。
(私はかなり遠回りをしたらしい。だが…悪くはない経験だった)
これほどまでに貪欲に、なりふり構わず求められるものが、単なる気まぐれであるはずがない。
ブラッド=デュプレは、暇潰しでも遊びでもなく、心からこの女を欲している。
愛や恋などではないと言ったのはブラッドのほうだったが、反故にすると知ったら、余所者はどんな反応をするだろう。
「気まぐれな私に免じて許せ。……とでも言ってみようか、お嬢さん」
声を抑えて笑う。それはそれは、至極楽しげに。
掬い上げて口づけるには長さの足りない黒髪に、ブラッドは上体を屈めて唇を落とした。
まだ情事の気配が濃く漂う部屋の中で、それはまるで神聖な誓いのようであった。
【狂う世界の歯車、その渦中で足掻け】
逃げたければ逃げるがいいさ 行き着くその先で待ち構えてやろう
continue…?→あとがき。
汗によって額に張りついた髪を梳いてやれば、黒い瞳は一瞬こちらを見たものの、静かに伏せられた。
荒い呼吸を繰り返す白い裸体を見下ろして、ブラッドはようやく冷静さが戻ってくるのを感じた。
この女には狂わされる、と思う。日頃の平静さを保てなくなるなど、マフィアのボスにあるまじきことだ。
こんなはずではなかった。主導権は常に握っていると確信していた。なのに。
(まさか翻弄されているのか?……この私が、女一人に)
最高の暇潰しとして、貴重な余所者を手に入れたいと思っていた。
もう一人の少女にも心惹かれたが、ブラッドが狙いを定めたのは目の前にいるこの女だった。
理不尽な賭け事を持ちかけて受け入れさせては楽しみ、今ではこうして望みどおりに身体の関係をも持った。
なにもかもが己の思うままに進んでいる。そう思う一方で、本当にそうなのかと疑心がつのる。
ブラッドが言葉巧みに押し伏せたというよりも、彼女の思考がこちらに都合よく流れただけなのではないか。
現に、何度交わっても完全には満ち足りない。女がこちらに靡く気配もなく、距離が縮まった実感もない。
どれほど快楽に突き落としても、〇〇の冷めた一部が熱を帯びることはない。
果たして、これがブラッドの望みのとおりだと言えるだろうか。身体を手に入れてもなお、どうして渇望する?
「はっ、あっ……ぁ、っ」
「遠慮しているのか。私しかいないのだから、気兼ねなく喘いでくれて構わないぞ?もっと声を出せ」
「だ…せって、言われて、っ、出るもんじゃ…な…」
「ならば、出させるまでだ」
「っ、や、め……うっ、や、あぁっ!」
身体はすでに知り尽くした。どこをどう突いて擦ればいいのか、疾うに把握している。
角度を変えて肉棒で深く抉ってやれば、普段女らしさに欠ける〇〇を淫らに啼かせることも容易い。
〇〇の口の中から舌を吸い出し、甘噛みで刺激を与えてやりながら、ブラッドは思考を巡らす。
いったい、このうえなにが足りないというのだろう。
中に入れば、女の内側が最近は自分のもの以外を咥え込んでいないことがわかる。
他の役持ちが手出しできないものを、自分が独占しているのだ。
情交を結んでもなお満足できない、欠如の理由は――。
「ぁ、くっ…ブラ…ッド……っ!」
やや掠れた、普段より幾分高い声。甘く感じるのは受け取る己の耳のせいだ。
肉体的な熱に屈しない黒の瞳に、自分の顔が映った。それを見て、ブラッドは密かに息を呑む。ああ、なんということだろう。
余所者の目の中にいたのは、物欲しげな熱い眼差しで縋る、情けない顔をした男だったのだ。
それを見た瞬間、ブラッドは欠乏感の正体を悟った。
「〇〇……っ」
――心だ。私はまだ、君の心を手に入れていない。
元の世界にいるという〇〇の恋人。〇〇に接触する役持ち達。
彼らに対する嫉妬心よりも、さらに深く激しい憎悪。その対象は、〇〇の心に巣食う“誰か”の存在だ。
恋や愛の話題を耳にするたびに、それらを拒絶するはずの〇〇が刹那、心を傾ける相手。
(そうか……そういうことか)
おそらく今まで感じていた“壁”の片鱗が、明確な形となってブラッドの前に姿を現した瞬間だった。
目の前に存在する敵よりも、よほど厄介なそれ。見えなければ殺すこともできやしない。
しかし、心を喰らうそれさえ排除できれば、この余所者を完全に我が物にできるも同然だった。
ブラッドは手首の縛めを解いて〇〇をベッドに運び、そこでさらに彼女を愛した。
さすがに限界だったのか、〇〇は幾度目かの絶頂を与えられると、気を失うように眠りに落ちた。
始末をつけた後、ベッドに腰かけたブラッドは〇〇の寝顔を眺める。
いつものように黒髪を撫でる手は、今までとは少し異なっていた。自覚した愛しさが自ずと溢れ、柔らかさに変わったようだった。
(私はかなり遠回りをしたらしい。だが…悪くはない経験だった)
これほどまでに貪欲に、なりふり構わず求められるものが、単なる気まぐれであるはずがない。
ブラッド=デュプレは、暇潰しでも遊びでもなく、心からこの女を欲している。
愛や恋などではないと言ったのはブラッドのほうだったが、反故にすると知ったら、余所者はどんな反応をするだろう。
「気まぐれな私に免じて許せ。……とでも言ってみようか、お嬢さん」
声を抑えて笑う。それはそれは、至極楽しげに。
掬い上げて口づけるには長さの足りない黒髪に、ブラッドは上体を屈めて唇を落とした。
まだ情事の気配が濃く漂う部屋の中で、それはまるで神聖な誓いのようであった。
【狂う世界の歯車、その渦中で足掻け】
逃げたければ逃げるがいいさ 行き着くその先で待ち構えてやろう
continue…?→あとがき。