緩やかに侵蝕する
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「ユリウスー。そろそろ休憩にしたらー?」
タイミングを計って「はい」とコーヒーを淹れたカップを渡すと、まるで流れ作業のようにユリウスは自然に手を伸ばして受け取った。
なんだかんだでこの世界での家と呼べる場所になった時計塔。ユリウスとのやりとりもなかなか板についてきた。
不和よりは友好的な関係でいたい。だからコーヒーを一口飲んで「……悪くない」と不器用ながらもおそらく好評価をもらい、その上貴重な(いつも仏頂面でいるせいでそう感じるのか?)ユリウスの微笑みまで見られるとあっては嬉しくならないはずがない。はずがない、のだが。
(うーん。……微妙?)
別に微笑むユリウスにケチをつけるつもりはない。ただ、ユリウスとこうしているのがアリスではなく自分だということに首を傾げたくなるだけだ。
自分用にたっぷりとミルクを加えたコーヒーをちびちび飲みながら、また作業を開始するユリウスの手元をじっと見つめる。
こうして実際に目の当たりにすると、本当によくできた手品みたいだった。
当たり前だが、手品にタネがあるように、時計の修理は魔法でもなんでもない。だが、修理の技術やら知識がない者としては充分に不思議なものなのだ。
「…本当に飽きないんだな」
観察していると、ユリウスがお決まりの台詞を口にした。だからこちらもお決まりの返答をする。
「だって面白いから」
ユリウスは口を開きかけたが、また一文字に結ぶと視線を机に戻した。
〇〇もまた作業を見学する。どうやらユリウスはコーヒー一杯を飲む時間で休憩を終えたらしい。
今回の夜は長い。狂った時間を刻むこの世界でも、やはり睡眠は夜の時間帯にとることにしているのだが、熟睡するタイプの〇〇が眠りから覚めてもなお夜は継続中だった。
ユリウスのついでに飲んだコーヒーのせいもあって、もう睡眠欲は起こらない。
薄暗い室内で黙々と作業をこなすユリウスを、〇〇は椅子の上で膝を抱えながらただぼんやりと眺めていた。
タイミングを計って「はい」とコーヒーを淹れたカップを渡すと、まるで流れ作業のようにユリウスは自然に手を伸ばして受け取った。
なんだかんだでこの世界での家と呼べる場所になった時計塔。ユリウスとのやりとりもなかなか板についてきた。
不和よりは友好的な関係でいたい。だからコーヒーを一口飲んで「……悪くない」と不器用ながらもおそらく好評価をもらい、その上貴重な(いつも仏頂面でいるせいでそう感じるのか?)ユリウスの微笑みまで見られるとあっては嬉しくならないはずがない。はずがない、のだが。
(うーん。……微妙?)
別に微笑むユリウスにケチをつけるつもりはない。ただ、ユリウスとこうしているのがアリスではなく自分だということに首を傾げたくなるだけだ。
自分用にたっぷりとミルクを加えたコーヒーをちびちび飲みながら、また作業を開始するユリウスの手元をじっと見つめる。
こうして実際に目の当たりにすると、本当によくできた手品みたいだった。
当たり前だが、手品にタネがあるように、時計の修理は魔法でもなんでもない。だが、修理の技術やら知識がない者としては充分に不思議なものなのだ。
「…本当に飽きないんだな」
観察していると、ユリウスがお決まりの台詞を口にした。だからこちらもお決まりの返答をする。
「だって面白いから」
ユリウスは口を開きかけたが、また一文字に結ぶと視線を机に戻した。
〇〇もまた作業を見学する。どうやらユリウスはコーヒー一杯を飲む時間で休憩を終えたらしい。
今回の夜は長い。狂った時間を刻むこの世界でも、やはり睡眠は夜の時間帯にとることにしているのだが、熟睡するタイプの〇〇が眠りから覚めてもなお夜は継続中だった。
ユリウスのついでに飲んだコーヒーのせいもあって、もう睡眠欲は起こらない。
薄暗い室内で黙々と作業をこなすユリウスを、〇〇は椅子の上で膝を抱えながらただぼんやりと眺めていた。