真白を染めゆく感情の名は
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心持ちすっきりした〇〇は、遊園地での仕事を終えると、その足でハートの城に向かった。
男の膝枕は思ったよりも快適で、多少なりとも気疲れが和らいだ。
しかし、これに勝るものがあろうはずがない、と〇〇は抱きしめる腕に力を込めた。
「あの…〇〇?なにかあったの?」
「なんでもないよー」
おそらく困惑を浮かべた瞳が、視線を定めかねているに違いない。
〇〇は真っ直ぐな長い髪に頬を寄せて、さらさらの感触を堪能した。
柔らかくていい匂いがして、綺麗で可愛いアリス。この世界のヒロイン。彼女こそ、まさに至上の癒しだ!
(あ、やば。…あたし、ちょっと変態っぽいな)
出合い頭に挨拶もなく抱きついたのだ。殴り飛ばされても文句は言えまい。
同性同士の親愛の抱擁だとしても、一方的に長く抱きしめすぎである。
だが、アリスからは戸惑いは伝わってきても、嫌悪は感じられない。それをいいことに、〇〇はたっぷりと彼女から癒しを受け取った。
「アリス、好きだよ」
「え、えーっと……私もその、あなたのことが好きよ…?」
「よかった」
完全なる戯れ言ともいえない〇〇の告白を、アリスは真意を測りかねながらも受け入れてくれた。
ようやく腕を緩めて解放すれば、少女の頬は赤く色づいていた。〇〇は笑って、その熱の色に手の甲を当てた。
「ここ、赤いな。照れちゃった?」
「だって、〇〇が……突拍子もないことを言ったりするからじゃない」
「ごめーん。癒されたくてついね」
〇〇が屈託なく言えば、アリスもしょうがないわねと微笑んだ。ああ、いいなあこの感じ。
さすがは我らがアリス。ゴーランドも悪くはなかったが、アリスには敵わない。
「時間があるなら、これから一緒にお茶しない?メイドさんに頼んだら用意してくれるかな」
「だったら、私が紅茶を淹れるわ。頼んで茶葉を少し分けてもらいましょう」
「おお。アリスに手ずから淹れてもらえるなんて、最高の贅沢だ」
〇〇は気分よく調子のいいことを言って笑った。
アリスも楽しげに笑みを零したが、なにかに気づいたようにその目がふっと脇に逸れた。
つられるようにして追い、その先にいる男を認めた〇〇の肩がぎくりと強張った。
(げ。……ペーターだ)
いつからそこにいたのだろう。ひょっとすると、一部始終を見ていたのかもしれない。
割って入ることなく、銃口を向けることもせず、白ウサギは少し離れた場所から二人の余所者を眺めていた。――いや、彼の赤い瞳の行方は、〇〇の黒い目と合致していた。
「ペーター?」
澄んだ声が呼びかける。愛しのアリスに呼ばれても、ペーターは固い表情をほんの少し崩して応えただけだった。
踵を返して姿を消した白ウサギに、〇〇はやや呆然となった。なんだあの態度は。明らかにいつものペーター=ホワイトではない。
「…ねえ、〇〇。ペーターとなにかあった?」
「え、なんで?」
反射的に聞き返した〇〇の脳裏に、ある出来事が再現される。
乱れたシーツに、白いバスローブ。感情をなくしたかのような、目撃者の赤い目。
まさかペーターがあれを暴露したのだろうか。しかし、問い返されたアリスの困惑を見れば、危惧が杞憂であることがわかった。
「この間ビバルディと話してるときに、あなたのことを口にしたことがあったの。ペーターも傍にいて…ほら、いつもなら突っかかってくるじゃない、あなたのことになると」
「あー…確かにね」
〇〇を目の敵のように扱う男である。アリスの唇が〇〇の名を紡ぐことすら許し難い、そう言いそうだ。
「だけど、なんの反応もなくて…。あのときのペーター、なにを考えているのかわからなくて、不気味だったわ」
回想するアリスは不安そうに瞳を揺らした。その様子を見ながら、〇〇は顎に指を添えて頭を働かせた。
ペーターの態度がいつもと違うのは、本当に自分が原因なのだろうか。
繕うこともせずにアリスを心配させる、白ウサギの異変。
それほどの影響を与え得る存在であるはずがない〇〇は、いまひとつぴんと来ない。
(これはちょっと…確かめたほうがいいかもしれない)
成り行きを見守るという手もあるが、すっきりさせたいという気持ちもあった。
アリスと役持ちの仲をこじれさせるものがあるのなら、排除しておくのもよかろう。
(恋に障害は付き物だけど、万が一あたしがそうなら居心地が悪いし…)
アリスの幸せを一番に応援しているのは〇〇なのだから。
〇〇は笑顔で「ペーターならすぐに元に戻るって」と少女を慰めながら、白ウサギが立ち去った方向に意識を向けていた。
男の膝枕は思ったよりも快適で、多少なりとも気疲れが和らいだ。
しかし、これに勝るものがあろうはずがない、と〇〇は抱きしめる腕に力を込めた。
「あの…〇〇?なにかあったの?」
「なんでもないよー」
おそらく困惑を浮かべた瞳が、視線を定めかねているに違いない。
〇〇は真っ直ぐな長い髪に頬を寄せて、さらさらの感触を堪能した。
柔らかくていい匂いがして、綺麗で可愛いアリス。この世界のヒロイン。彼女こそ、まさに至上の癒しだ!
(あ、やば。…あたし、ちょっと変態っぽいな)
出合い頭に挨拶もなく抱きついたのだ。殴り飛ばされても文句は言えまい。
同性同士の親愛の抱擁だとしても、一方的に長く抱きしめすぎである。
だが、アリスからは戸惑いは伝わってきても、嫌悪は感じられない。それをいいことに、〇〇はたっぷりと彼女から癒しを受け取った。
「アリス、好きだよ」
「え、えーっと……私もその、あなたのことが好きよ…?」
「よかった」
完全なる戯れ言ともいえない〇〇の告白を、アリスは真意を測りかねながらも受け入れてくれた。
ようやく腕を緩めて解放すれば、少女の頬は赤く色づいていた。〇〇は笑って、その熱の色に手の甲を当てた。
「ここ、赤いな。照れちゃった?」
「だって、〇〇が……突拍子もないことを言ったりするからじゃない」
「ごめーん。癒されたくてついね」
〇〇が屈託なく言えば、アリスもしょうがないわねと微笑んだ。ああ、いいなあこの感じ。
さすがは我らがアリス。ゴーランドも悪くはなかったが、アリスには敵わない。
「時間があるなら、これから一緒にお茶しない?メイドさんに頼んだら用意してくれるかな」
「だったら、私が紅茶を淹れるわ。頼んで茶葉を少し分けてもらいましょう」
「おお。アリスに手ずから淹れてもらえるなんて、最高の贅沢だ」
〇〇は気分よく調子のいいことを言って笑った。
アリスも楽しげに笑みを零したが、なにかに気づいたようにその目がふっと脇に逸れた。
つられるようにして追い、その先にいる男を認めた〇〇の肩がぎくりと強張った。
(げ。……ペーターだ)
いつからそこにいたのだろう。ひょっとすると、一部始終を見ていたのかもしれない。
割って入ることなく、銃口を向けることもせず、白ウサギは少し離れた場所から二人の余所者を眺めていた。――いや、彼の赤い瞳の行方は、〇〇の黒い目と合致していた。
「ペーター?」
澄んだ声が呼びかける。愛しのアリスに呼ばれても、ペーターは固い表情をほんの少し崩して応えただけだった。
踵を返して姿を消した白ウサギに、〇〇はやや呆然となった。なんだあの態度は。明らかにいつものペーター=ホワイトではない。
「…ねえ、〇〇。ペーターとなにかあった?」
「え、なんで?」
反射的に聞き返した〇〇の脳裏に、ある出来事が再現される。
乱れたシーツに、白いバスローブ。感情をなくしたかのような、目撃者の赤い目。
まさかペーターがあれを暴露したのだろうか。しかし、問い返されたアリスの困惑を見れば、危惧が杞憂であることがわかった。
「この間ビバルディと話してるときに、あなたのことを口にしたことがあったの。ペーターも傍にいて…ほら、いつもなら突っかかってくるじゃない、あなたのことになると」
「あー…確かにね」
〇〇を目の敵のように扱う男である。アリスの唇が〇〇の名を紡ぐことすら許し難い、そう言いそうだ。
「だけど、なんの反応もなくて…。あのときのペーター、なにを考えているのかわからなくて、不気味だったわ」
回想するアリスは不安そうに瞳を揺らした。その様子を見ながら、〇〇は顎に指を添えて頭を働かせた。
ペーターの態度がいつもと違うのは、本当に自分が原因なのだろうか。
繕うこともせずにアリスを心配させる、白ウサギの異変。
それほどの影響を与え得る存在であるはずがない〇〇は、いまひとつぴんと来ない。
(これはちょっと…確かめたほうがいいかもしれない)
成り行きを見守るという手もあるが、すっきりさせたいという気持ちもあった。
アリスと役持ちの仲をこじれさせるものがあるのなら、排除しておくのもよかろう。
(恋に障害は付き物だけど、万が一あたしがそうなら居心地が悪いし…)
アリスの幸せを一番に応援しているのは〇〇なのだから。
〇〇は笑顔で「ペーターならすぐに元に戻るって」と少女を慰めながら、白ウサギが立ち去った方向に意識を向けていた。